「大人キャンパス」「磁気テープ」…。ローテクが元気である
書店の文房具売り場では、平日というのにビジネスパーソンが足を止め、老舗文房具専門店のリニューアルオープンのニュースは後を絶たない。
いま、文房具が存在感を増しているように感じるのはなぜか。
「文房具屋さん大賞2017」を受賞したコクヨ「大人キャンパス」の発売は2015年1月。17年は販売数で前年比80%増を記録し、累計販売数は410万冊に上っている。
イノベーションとは無縁に見えるローテク分野で、世界を驚かす技術革新が起きている。ITやバイオなどの先端分野と異なり、革新を起こしている主役はいずれも日本企業である。ローテクイノベーションをモノにすれば、日本の製造業が生き残る確率は大きく高まる。
完全に時代遅れとみなされてきた技術が、再評価され一躍脚光を浴びるケースもある。最近は使い方を知らない子どもも多いというビデオテープ。そこに使われてきた「磁気テープ」がその典型である。
データを記録するメディアの代表格といえば、ハードディスク駆動装置(HDD)。しかし、磁気テープは、コスト安と長期保存性でHDDをはるかにしのぐ。運用にかかる総費用は数分の1、寿命は10倍に達する。
ただ、磁気テープには大きな弱点が二つある。一つは、データにアクセスするまでに時間がかかる点。もう一つが、保存できるデータ容量が限られていたことである。
一見地味ながら、着実にノウハウを蓄積してきたローテク分野のイノベーションが、今後も日本の製造業が生き延びる突破口になるはずである。
(文=上野延城・日本経営士会)
