美容専門学校の撮影授業で支持されるiPhone。未来の美容師が写真技術を学ぶ理由とは
美容師は手がけたヘアスタイルをSNSで公開し、顧客はInstagramや検索アプリで気に入った美容師を予約。なじみの担当との予約も、美容院を介さずにLINEで直接やりとり......といったことも珍しくありません。

この授業は、住田美容専門学校が2017年度から新たに開講したもの。「たのしいカメラ学校」の講師・矢島直美氏が授業を担当し、スマートフォンのカメラを使った撮影方法からはじまり、最終機にはデジタル一眼レフカメラでの本格的な作品制作を目指すというものです。
「今や美容師自身で顧客を掴まなければいけない時代になりました。美容業界では、顧客に向けて自ら発信する能力が求められています」と語るのは、住田美容専門学校理事長の住田知之氏。
「作品のよさだけでなく、担当の人間性や居心地の良さ、相性が重要になってきています。趣味やシンパシーが合えば、ノンストレスで会話もできます。その相性検索に使われるのがSNSなのです」。
写真課題の提出はInstagramで
取材時の授業では、まず課題で事前に撮影した写真について、生徒が工夫したポイントを発表。講師が講評と指導をするところから始まりました。

驚いたのは、課題提出がInstagram上で行われており、講師がiPhoneの画面をプロジェクタに映して写真を紹介していたこと。今やSNSも授業で使われるツールの一つになっているようです。
驚きのiPhone率、その多さの理由は?
次に2人1組でペアとなり、スマートフォンでのポートレート撮影方法を実践。わいわい撮り合う生徒たちの手元を見てみると、圧倒的なiPhone率に驚きます。

それもそのはず。取材したクラスは、なんと40人を超える生徒全員がiPhoneユーザーでした。20人弱の教員も、1人を除くほぼ全員がiPhoneを使っています。
カメラ講座の始めにiPhoneを採用した理由について、住田理事長は「美容学校の生徒がiPhoneを愛しているからです」ときっぱり。「高校時代からiPhoneを持っている人が多いです。デジタルに詳しい人はスペックを見て選ぶのでしょうが、美容学校の生徒は持つことによる"幸福感"で選びます」。

住田理事長は「仲間と同じものを持ち、さまざまな体験を共有することで、感情を分かち合える幸福感がある」と分析します。他クラスでは数名Android端末を持つ生徒がいるものの、理由は「好きな韓流アイドルが使っているから」。スペックの高さだけでスマホを選ぶ人はあまりいないのです。
1年間みっちりとカメラ技術を学ぶ
住田美容専門学校では、1年間みっちりとカメラ技術を学ぶプログラムを組みました。スマートフォンでの撮影方法を8コマかけて習得したあとは、一眼レフカメラでの撮影講座に移ります。

写真の技術を学ぶ授業は、本来重要視されるカットの技術には直結しません。それでも1年もの時間を費やすのは、プロフェッショナルを育成する美容専門学校ならではの考え方があります。
「技術を学ぶには長い時間を割かないと無理です。どんな技術も、身体がしっくり来るまで時間をかけて身につけてもらいます。プロが朝起きた直後も、友人とケンカしたあとも、同じように技術を提供できるのは日々の積み重ねがあってこそ。カメラでも1年間向き合うことでできる世界観があると思います」。

冒頭で紹介したように、もはや「好きな髪型に切って、もらってまた次回」の時代は終わりです。
新たなサロン選びの可能性が増える一方、美容師自身のセルフプロデュース力が求められる時代が始まっています。今回の写真撮影授業は、そうした美容師の変化の一端を象徴するものと言えるでしょう。
