約500本のビデオテープが不法投棄された(画像はイメージ)

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大阪市西成区の公園に男2人が500本のアダルトビデオを不法投棄した事件は、そのインパクトから「500本?よくそんなに集めたな」「レアな物もありそうな気がする」などと多くの注目を集めた。

実は、寝たきりの知人に代わって捨てたという、男らの「善意」にもとづく行為だったことが分かった。

「価値のあるものも含まれていたろうに...」と惜しむ声

事件のあらましは、同市福島区に住む男(70)と岡山県久米郡美咲町の男(40)の2人が、2014年10月17日13時過ぎ、萩之茶屋公園、通称・三角公園に2トントラックで乗り付け、VHSのビデオテープと書籍など計200キロを複数の袋に分けて不法投棄したというものだ。

現場に居合わせた人から110番通報があり、駆け付けた西成署員が2人の身柄を確保。廃棄物処理法違反の疑いで逮捕した。

同署によると、押収したVHSのほとんどがアダルトビデオで、その数は500本近くに上った。男らは「置いておけば業者が回収、処分すると思った」などと供述しているという。

この事件が報じられると、すさまじい量と、VHSという今や「絶滅動物」的な物珍しさからか、

「相当に価値のあるものも含まれていたろうに...」
「80年代のヴィンテージAVなら俺にくれって感じ」
「DVDだったら貰いに行ったんだが」

などとツイッターなどで注目を集めた。また、逮捕された男のうち1人が70歳という高齢で、「この歳でもAV見るんだ〜」とからかうような書き込みもあり、これも大いにネット上をにぎわせた。しかし、事情は少し違ったようだ。

ホームレス支援のため、7年前から毎週炊き出しに参加

現場となった三角公園はあいりん地区と呼ばれる、日雇い労働者やホームレスの多い地域に位置する。お祭りが行われたり、行政への要求を訴えたりする場ともなる、同地区の象徴的な空間だ。

NPO団体などは彼らを支援するために炊き出しなどを行っていて、70歳の男もこうした団体に所属し、7年ほど前から週に2度、炊き出しに参加していたという。

不法投棄したVHSは男のコレクションなどではなく、入院して寝たきりの知人の倉庫を整理した際に見つけたものだった。「不要なものなら知人に代わって捨ててあげよう」として、今回の不法投棄に至ったという。

いわば知人への「善意」「好意」にもとづいて行った行為だったが、そのやり方はあまりにも乱暴だった。廃棄物処理法により、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金、その両方に処せられる可能性がある。

西成署は2人に逃亡の恐れはないとして、釈放。検察が捜査を進めている。大量に投棄されたVHSは同署が証拠品として押収している。