夏休みに読みたい「経営者24人のこの1冊」【1】
成功者の愛読者を一挙公開。この夏休みは経営トップ推薦の本を読破してみてはいかがだろう?
■休暇中に読んだ本を仕事に生かす!「マル秘」読書法
日常的な読書は、移動や待ち時間など隙間時間を使った読書になりがち。では、まとまった休暇には、どのように本を読めばいいだろう。
会社経営のかたわら作家、出版プロデューサーとしても活躍する中島孝志さんに、忙しいビジネスマンが夏休みを有効に使うための読書法を教わった。
「まず、これまで読まなかったジャンルに挑戦してはどうでしょう」
読書は個人的嗜好が強く出る。
仕事に関係するからと普段はマネジメント書ばかり読んでいる、好きな推理小説ばかり読んでいるなどと偏ることが多くなる。
「私はこれを偏読と呼んでいますが、偏読はビジネスマンにとって損な読書法です。偏読よりも雑読。普段ビジネス書ばかりの人は哲学書や文芸書を、また、料理本や女性誌などこれまで手に取ることのなかった本をお勧めします。様々なジャンルの本を読むことが未知の知識や情報、価値に対して偏見を持たない、自由な発想力につながるはずです」(中島氏)
今回紹介した「経営者の一冊」も、古典からヒット本、小説などジャンルは多岐にわたっている。中島さんが「さすが、成功者はいい本を読んでいますね」と評するように、成功者は多くの本から知識を得ているのだ。
次に、「テーマを決めて読む」という方法を教わった。テーマは仕事関係に絞らなくてもいい。時流や話題のニュースをテーマにするのも手だ。新聞やニュースで耳にして理解しているつもりでも、実はその裏側にあること、時代背景を含めた本質を理解するまでには至っていないことが多い。
「今ならアベノミクス関連の本をまとめて読むのもいいでしょう。そして、参院選後の日本経済を自分なりに予測してください。ほかにキーワードとして『円安』『インフレ』『増税』『原発』などもありますね」(中島氏)
人物をテーマにするのもいい。
「例えば松下幸之助さんや渋沢栄一さんなどのように著名な人物をテーマに決めて関連本を読むことです。本人の著書だけでなく、第三者が書いたその人物についての本も読むことがポイント。本人の著書以外の本には客観的な視点で本人すら気づかないことや、第三者だからこそ書けることがある。その人の仕事術や人生から学ぶべきことに気づくはずです」(中島氏)
※推薦本は、2012年6月4日号〜2013年7月15日号までのプレジデント誌連載「経営者の一冊」で推薦してもらったものをまとめた。肩書は当時のまま掲載。
アサヒビール●小路明善社長推薦
『トレードオフ』
ケビン・メイニー著/プレジデント社
本書は企業戦略に必要なのは「上質をとるか、手軽をとるか」の二者択一(トレードオフ)だと迫る。多くの事例を取り上げ成功、失敗の法則をトレードオフで紐解いていく。
ワタベウェディング●渡部隆夫相談役推薦
『心を高める、経営を伸ばす』
稲盛和夫著/PHP研究所
京セラ創業者、稲盛和夫氏が悩み苦しみながら学び得た人生哲学書。1テーマが見開き完結で、短い言葉の中に仕事や人生に真摯に立ち向かうためのメッセージが込められている。
エムアウト●田口弘社長推薦
『芸術起業論』
村上隆著/幻冬舎
芸術家による、社会で生き残るためのビジネス論。戦略の重要性、業界の分析、精神力の訓練、根回し術、モチベーションは怒りや執念という独自の理論は説得力がある。
一休●森正文社長推薦
『海賊とよばれた男』(上・下)
百田尚樹著/講談社
出光興産の創業者・出光佐三がモデル。社員は家族、財産として社員一人もリストラすることなく会社を再生させた男の生き様は感動を与える。
ローソン●玉塚元一COO 推薦
『100年予測』
世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図
ジョージ・フリードマン著/早川書房
地理的な位置関係から政治・国際問題を研究する「地政学」を基に、独自の情報収集と調査により未来の科学的進歩、社会情勢などを予測。
キャリアバンク●佐藤良雄社長推薦
『ゴールは偶然の産物ではない』
フェラン・ソリアーノ著/アチーブメント出版
スペインのサッカーチーム・バルセロナを破綻寸前からわずか1年で黒字、3年後には収益3倍にしたという、強力な経営戦略と組織力を向上させるためのマネジメント書。
神戸ポートピアホテル●中内仁社長推薦
『なぜ、働くのか』
田坂広志著/PHP研究所
現実社会という激流に流されず格闘していくためにも、仕事には「思想」が必要だと著者は説く。「死生観」「世界観」など10のテーマで働くことの意味を考える。
日本M&Aセンター●三宅卓社長推薦
『ザ・チーム』
齋藤ウィリアム浩幸著/日経BP社
「チームがない」。著者が発見した日本の問題点は、個人が優れていても組織となると力を発揮しないこと。チームの本質を説き、日本に必要なチームづくりへと導く。
富士重工業●吉永泰之社長推薦
『渋沢栄一100の訓言』
渋澤健著/日経ビジネス人文庫
明治時代に生きた日本の実業家・渋沢栄一の名言集。選び抜かれた100の言葉は時代を超えてビジネスマンの心に響く。5代目子孫にあたる著者の現代向けの解説付き。
三菱鉛筆●数原英一郎社長推薦
『日本のもの造り哲学』
藤本隆宏著/日本経済新聞社
企業は切磋琢磨していいものをつくればいいだけではないと著者。製造現場は強いが本社の戦略立案が弱いことを認めたうえでの現場発信の戦略論。
アウディジャパン●大喜多寛社長推薦
『論語と算盤』
渋沢栄一著/角川ソフィア文庫
「日本資本主義の父」と呼ばれる著者は、利益を得たら社会に還元しなければならないという確固たる倫理・道徳観を持つ。健全な利益と築いた財産を永続させる、先達の叡智が詰まった一冊。
インテル●吉田和正社長推薦
『敬語の英語 実践編』
デイヴィッド・セイン&佐藤淳子著/ジャパンタイムズ
「意見に賛同できない」「残業を断る」などTPOに応じたフレーズを「とても丁寧」「常識的に丁寧」「ずばり、言いたいこと」の3段階で使い方を解説。
(一柳麻衣子=文 早川智哉=撮影)

