ポイペトの特殊詐欺拠点の内部の様子(愛知県警提供)

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 カンボジアに拠点を置く特殊詐欺グループの「オーナー」とみられる佐々木裕介容疑者(38)が16日、愛知県警に逮捕された。

 この事件では県警がこれまでに拠点の指示役や、詐欺電話をかける「かけ子」ら計36人を摘発。押収資料や供述からは、生成AI(人工知能)で加工した偽動画を使うなど、巧妙な手口が浮かんでいる。(藤江広祐、小林岳人)

 「あなたの携帯電話があと2時間後に使用不可になります」。県警によると、カンボジア北西部のポイペトの拠点から発信されていた最初の電話は、通信会社を装った自動音声だ。被害者が反応すると、「1線」と呼ばれる通信会社役のかけ子が「あなたの電話が不正に使われている可能性がある。警察に連絡して」などと不安をあおる。

 電話はその後、習熟度の高い「2線」のメンバーに引き継がれる。「ビデオ通話のアプリはあるか」と相手に呼びかけてLINEに誘導し、制服や偽の警察手帳をビデオ通話で示す。

 この際、詐欺グループ側は拠点内に設けた「AIルーム」と呼ばれる部屋を使っていた。被害者とのビデオ通話時に、AIが作成した顔画像を映し出して警察官を装っていた。AI画像は動いた際に輪郭がぼやけるなど不自然な点があるため、かけ子らは見破られないようにするため30秒程度で画面を切るなどして被害者とやり取りしていたという。

 最後に登場するのが「3線」の警察官や検察官役。「逮捕状が出てしまった」と相手の名前入りの偽の逮捕状の画像などを送りつけ、「逮捕せずに資金の捜査を進めるため」などと言って指定した口座に現金を振り込ませていた。

 一連の流れについて、県警幹部は「逮捕への不安や恐怖につけ込んだ手口だ。LINE通話や生成AIの登場で、手口はより巧妙化している」と指摘する。県内では短期滞在の外国人に現金の受け取り役をさせる手口も確認されており、県警が警戒を強めるとともに、注意を呼びかけている。