8人死亡の医療事故教訓に…群馬大病院、患者が検査画像や薬処方記録などをスマホ閲覧できるサービス提供
群馬大病院(前橋市)は、検査結果や医師の診療録などの電子カルテ情報について、患者がスマートフォンで自由に閲覧できるサービスを提供している。
2014年に発覚した医療事故を教訓に、患者側に正確な情報を提供することで、医療の透明性を高めるのが狙いだ。
サービスは、医療情報サービスを手がける「PSP」(東京)と連携し、同社のアプリ「NOBORI」を活用して3月から始めた。
アプリでは、通院日や入院日の履歴、磁気共鳴画像装置(MRI)の検査画像、薬の処方記録などが見られる。医師の診療や看護、理学・作業療法士などの記録を含め、ほぼ全ての診療情報が閲覧できる事例は珍しいという。手書きの図など、アプリ上で共有できない情報については今後、技術的な問題の解決に取り組む。
今回の取り組みで、同病院は「患者が診療経過を同時進行で把握することで、治療への主体的な参加が促される」と期待する。情報の閲覧で疑問が明確化し、診察時間に密度の高い対話ができるほか、離れて暮らす家族と詳細な情報共有ができるメリットもある。
同病院では19年から、院内に設置された専用端末で、診療記録の情報提供を行ってきた。利用者の9割以上から「病気への理解が深まった」と好評だった一方、時間の制約などが課題だった。
端末利用と同じく、アプリでの閲覧には担当医の判断が事前に必要となる。病状や家族の状況などが詳細に記載され、本人や家族が知りたくない情報が含まれている場合もあるためという。18歳未満は、親権者と本人の意思に食い違いが生じる可能性などを想定し、提供の対象外としている。
アプリでの利用登録後、病院窓口で本人確認を行うことで利用できる。28日時点で583人が利用しており、おおむね好評だが、手続きの簡素化が今後の課題となる。
同病院を巡っては14年、腹腔鏡(ふくくうきょう)を使った肝切除手術を受けた患者8人が死亡していたことが発覚。調査報告書では、正確な情報提供を通じた患者中心のチーム医療の実現を求めていた。
