【永宮 和美】3期連続最高益のドーミーイン「客室単価マシマシ」でも選ばれ続ける要因…「天然温泉への巨額投資」で他社と大差か

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顧客満足度調査でドーミーインが5年連続1位――。公益財団法人・日本生産性本部が毎年おこなう「JCSI(日本版顧客満足度指数)調査」のビジネスホテル部門の結果である(2021〜2025年度)。

しかも25年度の全業種対象の顧客満足度スコアでも、ドーミーインはヨドバシ・ドット・コム(通販部門)、宝塚歌劇団(エンターテインメント部門)に次ぐ堂々の3位。その高い評価の背景には、なにがあるのか。

客室単価はこの十数年で倍以上に…!

調査結果を反映するように、ドーミーインを中核事業に据える共立メンテナンスの2026年3月期決算は、3期連続で過去最高益を更新した。

エコノミー宿泊特化型ブランドであるドーミーイン事業(リゾート事業を除く)は、同期の売上高922億円(全事業部門比率30.1%)、営業利益190.9億円(同61.6%)で、寮運営受託、総合ビルマネジメント、飲食なども展開する共立メンテナンスの全事業部門のなかで、断トツの稼ぎ頭である。部門営業利益率も20.7%と優秀だ。

当然、ドーミーインの運営指標も好調で、同期中の客室稼働率88.9%(前期比2ポイント増)、客室単価1万6700円(同0.8%増)、RevPER(稼働状況を反映した客室単価)1万4800円(同1%増)という数字を叩き出している。

インバウンド旅行がいまのように急拡大する以前の2012〜13年度では、客室単価は7000〜8000円だった。それがいまは倍以上になっているのだから、巷間叫ばれる物価高どころの話ではなく、とくに出張旅行者にとっては厳しい時代になっている。

それなら、じっさいの出張旅行の宿泊費はどれくらいのレベルなのか。

ドーミーイン絶好調の「背景要因」

人事労務の調査機関である産労総合研究所の「2025年度 国内・海外出張旅費に関する調査」によると、宿泊費支給額の平均は、「全国一律支給額」の企業群では部長クラス1万0425円、一般社員8878円。また、出張地域で支給額を変えている企業群の「大都市圏」での支給額は部長クラス1万2094円、一般社員1万1262円となっている。

つまり十数年まえなら支給額におさまっていたエコノミーホテルの料金は、いまでは部長クラスでも自腹で追加料金を出さないと泊まれないということになる。もはや「エコノミー」と呼べないのだ。出張の多い会社員にとっては、料金上昇の主因であるインバウンド旅行拡大がなんともうらめしかろう。

さて、硬い数字の話が長くなったが、ドーミーイン絶好調の背景要因について。

ドーミーインの最大のセールスポイントといえば、やはり大浴場だ。「大浴場のあるホテル」というよりも「訴求力の高い温浴施設に宿泊機能がついている」と表現したほうがいいくらいに、その開発に力が入っている。

出店地の風土文化や周辺景観を巧妙に取り入れながら、店舗ごとに異なる意匠でつくる男女別の露天風呂や展望大浴場。岩風呂、石風呂ふうのものも多く、ほかのチェーンの大浴場のつくりとは一線を画す。

社内には大浴場設計・施工の専門チームがあって、ホテルの新規開発が決まるとさっそく現地に出向いてプランを検討するのだという。多くの店舗でサウナを併設している点も特徴だ。

「最低でも1億円」天然温泉を地道に掘り続け…

そしてお湯が天然温泉である点も、他チェーンとの大きなちがいだ。

ドーミーイン事業はビジネスホテル業態の「ドーミーイン」87軒(海外2軒)と、和風ビジネスホテル業態の「御宿 野乃」15軒の計102軒を展開する(2026年3月末現在)が、そのほとんどで天然温泉を入れている。

これには事業所単位で温泉を掘り当てている「自家温泉」の店舗と、近隣エリアの湧出地から温泉をタンク車両で運んでくる「運び湯」の店舗とがあり、自家温泉は全国で29店舗だ。

100のうち29だけか、と思うかもしれないが、この数は驚異的といえる。平野部の場合、1000〜1500メートルは掘削しないと泉源に到達できず、その費用は100メール掘るごとに1000万円が相場。つまり最低でも1億円かかる。掘っても出ないことだってある。そんな投資をこの会社は地道にやっているのである。

もっとも、湧き出した自家温泉は近隣の店舗にも運ばれるわけだから、ドミナント化が進むほど投資回収も進むことになる。ホームページでは店舗ごとに自家温泉、運び湯、沸かし湯(非天然温泉)の別や泉質、効能が表示されている。

つづく【後編記事】『「物価高それでも消えぬ夜鳴きそば」業績絶好調のドーミーイン“無料の充実サービス”原点は「祖業の寮運営」に』では、「ドーミーイン」のセールスポイントである「朝食」や様々な「無料サービス」など、さらなる強みの核心に迫っていく。

【つづきを読む】「物価高それでも消えぬ夜鳴きそば」業績絶好調のドーミーイン”無料の充実サービス”原点は「祖業の寮運営」に