韓国スタバが炎上 5・18民主化運動めぐりフェイクニュース拡散 「北朝鮮背後説」の新聞紙面ねつ造で女性逮捕
韓国のスターバックス(スターバックスコリア)が実施した販促キャンペーンが、1980年の「5・18光州民主化運動(光州事件)」を冒とくしたとして批判を浴び、大規模な不買運動が広がっている。
スターバックスコリアの親会社オーナーが保守色の強い人物とのイメージが定着していることもあり、「政治的意図を持ったプロモーションではないか」との見方が拡大。会員カードをハサミで切断する動画などが拡散している。
光州事件は、韓国の民主化運動を象徴する事件だが、「背後に北朝鮮軍がいた」という、フェイクニュースがつきまとってきた。今回のスタバ騒動でも、現地紙が北朝鮮軍の介入を報じていたかのような画像をSNSで拡散したとして、女性が逮捕された。
容疑者は50代女性
韓国メディアによると、韓国南西部にある光州警察のサイバー犯罪捜査隊は24日、5・18民主化運動などに関する特別法(5・18わい曲処罰法)違反、名誉毀損(きそん)、業務妨害などの容疑で50代の女性を逮捕した。
女性は、光州・全羅南道地域の有力日刊紙、光州日報の記事形式を模倣した画像を21日に自身のSNSアカウントを通じて広めた疑いが持たれている。
紙面は1980年5月20日の日付。記事の見出しには「北朝鮮の指令を受けた工作員らが武器庫を奪取」などとある。顔を隠した男たちが、武器を奪う写真なども添えられている。AIを使えば、比較的容易に作成できるレベルのものだ。
悪ふざけとも思えるが、警察関係者は「社会混乱を引き起こす悪意のある虚偽情報であり、厳正に対応する」と話しているという。
保守層にくすぶる「北朝鮮介入説」
韓国では、保守派の一部には光州事件への「北朝鮮介入説」を主張する人たちがいる。
民主化を求めて立ち上がった市民の中に、北朝鮮の特殊部隊員600人が潜入し、争乱を扇動した、というものだ。
しかし、北朝鮮から遠く離れた韓国南部に600人もの特殊部隊員を送り込むのは現実的ではなく、事実調査をした韓国国防省も「確認できない」としている。
こういった偽情報に対して韓国政府は「5・18わい曲処罰法」を制定し、厳しい罰則を設けている。スターバックスコリアの事件を受け、与党からは、この法律をさらに強化し、光州事件に対する嘲笑(ちょうしょう)・侮辱だけでも処罰できるよう求める意見が出ている。
政府機関も不買運動参加に「行き過ぎ」懸念も
スターバックスコリアに対しては、厳しい対応が続いている。
李在明大統領が「低質な商人の非人間的な態度に怒りを覚える」とSNSに書き込んだほか、経営陣に対しては、市民団体が侮辱や名誉毀損(きそん)容疑で刑事告発し、警察の捜査が始まっている。
さらに商品の不買運動には政府機関も参加を表明したが、保守系野党は「集団狂気だ」(中央日報)と、行き過ぎを懸念する声もある。
文/五味洋治 内外タイムス
