[5.6 J2J3百年構想第15節 大宮 3-2 いわき NACK]

 いわきFCが誇る期待の高卒ルーキーが、J2トップクラスの強度を誇るRB大宮アルディージャに食らいついた。

 神村学園高出身のDF中野陽斗は6日、第15節・大宮戦に3バックの右CBでフル出場。試合序盤は今大会10得点目を記録したMF泉柊椰とのマッチアップに間合いを図りかね、苦戦する場面もあったものの、徐々に対人で高い順応性を発揮すると、劣勢の時間帯にはボール保持でも相手の激しいプレッシング負けずに果敢な配球を試み、攻守のワンプレーごとに存在感を発揮した。

 泉とのマッチアップはこの試合のキーポイント。失点シーンは反対サイドからことごとく崩されたものだったため、中野自身はうまく対応していたようにも思われたが、試合後には“J2トップ基準”との違いに目を向けていた。

「自分が思っていた以上にドリブルで仕掛けるという選手ではなく、簡単に外にはたいて、良い状態ならドリブルで仕掛けるという選手だったので、今まで戦った選手の中でも一番苦戦した。もう一つ自分の基準を上げないといけないと感じました」。10ゴール3アシストの活躍で今季のJ2J3百年構想リーグを席巻する25歳から良い示唆を与えられたようだ。

 またこの試合で印象的だったのは配球面だ。プロ入り当初は高校以上のスピード感の中でセーフティーなパスが目立っていたが、この日は大宮の激しいプレッシングにチーム全体が苦しむ中、ウイングバックや前線にメッセージのあるパスを何度も配球。前線を背後に走らせるだけでなく、セカンドボールの生まれにくい足元へのパスも通すなど、高い基準で攻撃に絡んでいく意識が垣間見えた。

 90分間を通してのパフォーマンスには満足しておらず、「ボールをつなぐところでは普段の練習や試合を通してちょっとずつ見えるようになってきていると思うけど、こういったプレッシャーの速い相手とやる時はもっと基準を上げないといけないとあらためて感じた」と話した中野。それでも大宮のプレーからは学ぶところが多かったようで、「大宮さんの『繋ぎながらも相手を見て判断する』ところでは自分たちのほうが劣っていたと感じたので、もっと一人一人のポジショニングであったり、深さの立ち位置を見直して次に挑まないといけないと感じた」と次への収穫も手にする1試合となった。

 神村学園高のキャプテンとして成し遂げた1月の全国高校選手権優勝からわずか4か月。大宮戦当日に19歳の誕生日を迎えた中野はここまでJ2J3百年構想リーグで13試合(※高校の卒業式とU-19日本代表活動で不在だった2試合を除いた全試合にあたる)に出場し、今季の高卒ルーキー最多1090分間のプレータイムで目覚ましい成長を遂げている。

 それもチームは現在、J2J3百年構想リーグで2位につけており、優勝争いの真っ只中。この日は大宮に敗れたことで首位浮上こそ逃したが、次節には首位・甲府との大一番を控えており、成長だけでなく結果を問われながらシーズンを戦っていることにより、現在の成長につながっているようだ。

Jリーグに入らせてもらってこうして良い経験ができているので、そういったところは自分自身もありがたさを感じているけど、それ以上にやらないといけないなという思いがある。もっと責任感を持ってプレーしないといけないし、この1試合の負けが重くのしかかってくるので、もっと見つめ直していかないといけないと感じている」

 今年夏には北中米W杯のトレーニングパートナーにU-19日本代表の20人程度が同行すると発表されており、中野はもちろんその筆頭候補。「行きたいですね。いい刺激になりそうなので」と意欲も大きい。また同時期にはW杯に同行しないU-19日本代表がモーリスレベロトーナメントにも出場を予定。「自分が得られるものが非常に大きいと思う。W杯のほうでも、フランス遠征のほうでも、自チームとはまた違うものを感じられると思うのでいいきっかけにしたい」と目を輝かせる。

 それでもなお、いまの中野は「もし選ばれれば良いチャンスもあるけど、今はチームが勝つこと、チームのために戦うことが一番」と優勝争いに全てを捧げる構えだ。J2J3百年構想リーグ優勝からのW杯同行となれば理想的。「この3連戦が大事だと思うので、下を向いていられない。チームのために戦うことであったり、声かけだったり、あとは一番若いのでもっともっと走りたいなと思います」と決意新たに最後の3連戦に挑む。

(取材・文 竹内達也)