“最も美しく、最も優勝に近い国”オランダ。今度こそ悲願の世界一を成し遂げられるか。(C)Getty Images

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「オランイェ(オレンジ)」の愛称で親しまれるオランダ代表は、W杯の歴史において“最も美しく、最も優勝に近い国”とされてきた。

 世界に強烈なインパクトを残したヨハン・クライフを擁する1974年大会を筆頭に、1978年、2010年と3度のW杯準優勝を経験している。

 さらに最強クラスのタレントを擁した1998年大会は4位、ルイス・ファン・ハール監督が“美しく勝つ”伝統的なプライドを捨て、堅守速攻を打ち出した2014年大会は3位。前回大会は優勝したアルゼンチンを追い詰みながら、あと一歩のところで競り負けて、ベスト8に終わった。

 世界の頂点に近づきながら、あと一歩届かない。その歴史を踏まえれば、北中米W杯でもオランダは当然ながら優勝候補の一角として見られている。

 チームを率いるのは、代表のレジェンドでもあるロナルド・クーマン監督。オランダ伝統のポゼッション思想をベースにしながら、理想に溺れないリアリストの顔もある。

 基本システムは3トップに、中盤を正三角形で組む4−2−1−3。伝統的なパスワークからサイドを崩すスタイルを軸に置きつつ、守備のリスク管理を徹底する。

 ボールを保持することが、守備の時間を減らす手段という思想を持ち続けているのはオランダ的だが、リスク管理が強く反映されているのはクーマン流だ。

 その安定感は欧州予選でも際立った。8試合で6勝2分け。2つの引き分けはグループの対抗馬だったポーランド戦で、いわゆる“格下”からは危なげなく勝点を積み重ねた。その戦いを支えた安定感抜群の最終ラインは、今回のオランダ最大の強みだろう。
 
 リーダーであるフィルジル・ファン・ダイク(リバプール)を中心に、ユリエン・ティンベル(アーセナル)、マタイス・デ・リフト(マンチェスター・U)、ミッキー・ファン・デ・フェン(トッテナム)と、強度、スピード、対人能力を兼ね備えたセンターバックが並ぶ。

 さらに右サイドには、爆発的な推進力を誇るデンゼル・ドゥムフリース(インテル)が控える。空中戦、カバーリング、ビルドアップ、トランジション対応まですべて高水準で、世界でも屈指の守備ユニットと言っていい。

 最強クラスのバックラインを支える守護神のバルト・フェルブルッヘン(ブライトン)は高さ、反射神経、足もとの技術を兼ね備える。

 攻守のバランスを司る中盤の心臓は、フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)。最終ラインからボールを引き出し、テンポを作り、相手守備のズレを生み出す司令塔だ。

 その隣で攻守の強度を高めるライアン・フラーフェンベルフ(リバプール)はサイズと機動力を兼備し、守備範囲も広い。テクニカルでありながら、高強度の戦いに適応したワールドクラスのユニットと言える。

 この2人に続く実力者のトゥーン・コープマイネルス(ユベントス)はスタメンでも、途中投入でも遜色ない質を約束する存在だ。

 一方で、課題とされるのは前線の決定力だ。コディ・ガクポ(リバプール)とドニエル・マレン(ローマ)は共にワイドアタッカーとして高い能力を持つが、列強のライバルに比べると、もうひとつ物足りなさは残るのが実情だ。
 
 さらに不安材料となっているのが、経験豊富なメンフィス・デパイ(コリンチャンス)のコンディション。大舞台に強く、前線の精神的支柱でもあるが、太ももの負傷を抱えており、開幕の日本戦に間に合うかは不透明だ。

 デパイの復調が開幕に間に合わない場合、代役候補は、197センチの高さを誇るヴォウト・ベフホルスト(アヤックス)。プレミアリーグでパワフルな突破を見せるブライアン・ブロビー(サンダーランド)の評価も高まっているが、元々はインサイドのアタッカーであるガクポを中央に置き、左に快速ドリブラーのノア・ランフ(ガラタサライ)を起用する“プランB"が発動してもおかしくない。