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「スピードを出して威嚇する」だけがあおり運転ではありません。今、路上で恐れられているのは、逃げ場のない場所で執拗に繰り返される「粘着型」の妨害行為です。
「令和7年版 警察白書」の最新統計によれば、路上でのつきまといと共通する心理を持つ「ストーカー事案」の加害者は、20代から50代まで幅広い世代に分布していることが浮き彫りになっています。「女性なら反撃されない」「自分より弱い」と踏んでターゲットを定める卑劣な心理は、世代を問わず路上で牙を剥いているのです。

今回は、過去に反響の大きかった実録エピソードから、温泉地へ向かう峠道や高速道路の出口で女性たちが遭遇した、ストーカーさながらの不気味な「つきまとい」の事例を振り返ります。警察官が明かした、卑劣な加害者が「ターゲットを定める基準」と、被害者が直面した恐怖の実態とは――。

記事の後半では、警察庁の膨大なデータを紐解き、数字が物語る「世代を問わず潜むつきまといのリスク」についてもさらに切り込みます。

◆【事例1】休憩所でも逃げ場を失った…恐怖の“あおり運転

 山口麻衣さん(仮名・30代)は、友人と2人で北海道の温泉へ向かっていた。峠道を走っていると、バックミラーに黒い車が映り込み、“ぴたり”と張りついてきたという。

「ずっと後ろにいて、友人も『これ、あおられてるよね』と不安そうでした」

 端に寄って追い越しを促しても、相手は一向に抜こうとしなかった。15分ほど続く緊張に、息が詰まりそうになったそうだ。ようやく小さな休憩所を見つけて停車したが、その黒い車もすぐ横に止まった。

「心臓がバクバクで、車から降りる勇気も出ませんでした」

 相手がトイレに立ち寄る様子を見て、少し安堵したのだが……。

「車を別の場所に移してから休憩をしたんですけど、再び戻ると黒い車がまた隣にあったんです。偶然ではないと思った瞬間、体が固まりました」

 そこへ、若い男性が「車の不調ですか?」と声をかけてくれた。事情を説明すると、「もう一度移動してみましょう」と提案されたとのこと。恐る恐る車を動かすと、やはり黒い車はついてくる……。

 若い男性が黒い車の窓をノックすると、中から現れたのは無精ひげの中年男性だった。

「なぜ彼女たちをつけ回すんですか?」と問いただすと、「ムカつくから」と繰り返すばかり。意味不明の返答に、場の空気は凍りついたという。

 最終的に休憩所のスタッフが助けてくれたそうだ。スタッフと中年男性が話をしている隙に、「今のうちに、ここから出てください」と促してくれたことで、山口さんたちは無事に出発できたそうだ。

「助けてくれた人たちには、本当に感謝しかありません。あのときの恐怖は忘れられません」

◆【事例2】高速の出口で不気味な駆け引き

 高橋由紀さん(仮名・40代)は、高校生の娘を乗せて高速道路を走っていた。前の車が渋滞もしていないのに、低速走行や幅寄せを繰り返すなど、“不審な動き”をしていたという。

「距離をとろうと減速しても、相手も同じように合わせてくるんです。気味が悪くて仕方ありませんでした」

 高速道路の出口が近づいたためウインカーを出すと、前の車も同じタイミングで合図を出したそうだ。

 その異様さに高橋さんは咄嗟に直進へと切り替えた。すると、相手は出口前で急停車。そしてその後も速度を合わせながら、執拗に前を走り続けた。

「娘が『警察に通報しよう』と言ってくれて、すぐに110番をしました」

 次の出口に差しかかるころ、相手の車はすでに出口を通り過ぎていた。高橋さんは、タイミングを見てウインカーを出し、先に出口に向かったという。