【北中米W杯出場国紹介|第39回:ブラジル】気になるのは核になる選手の不在。大型FWイゴール・チアゴの台頭は嬉しいプラス材料
安定して上位に進出しながらも、決定的な局面で勝ち切れない状況が続いているが、1994年のアメリカ大会で優勝した経験があるだけに、今回の北中米大会での復権も大いに期待される。
悲願の優勝を目ざす「セレソン」(ブラジル代表の愛称)の指揮を執るのは、イタリア人のカルロ・アンチェロッティだ。ブラジル代表としては初の外国人監督であり、クラブレベルでの豊富な実績を背景に、選手の特性を活かしたマネジメントに定評がある。
気になるのは、チームの核になる選手の不在だ。長年にわたり最終ラインを支えてきたチアゴ・シウバ(フルミネンセ)が代表を退き、守備面での経験値と統率力に変化が生じている。
また、攻撃の中心だったネイマール(サントス)もカタールW杯後は負傷が続いており、コンディション面に不安を抱える状況。すでにリーグ戦で復帰はしているが、セレソン基準でのパフォーマンスを疑問視する声もあるのは事実だ。
基本システムは4−3−3が想定される。中盤の底にはカゼミーロ(マンチェスター・U)が入り、守備の安定と試合運びの調整を担う。
最終ラインではキャプテンのマルキーニョス(パリSG)が中心となるが、パートナーは流動的だ。エデル・ミリトン(R・マドリー)が負傷の影響を残しているため、大会に間に合ったとしても、開幕戦はブレーメル(ユベントス)かレオ・ペレイラ(フラメンゴ)が起用される可能性が高い。そこに20歳のヴィトール・レイス(ジローナ)が食い込めるか。
攻撃面では、ヴィニシウス・ジュニオール(R・マドリー)が重要な役割を担う。クラブでの実績を踏まえれば、中心選手としての期待は大きいが、パフォーマンスの波や時折見られる独善的な態度が、本大会でどう出るか。実力的にはヴィニシウスと肩を並べるラフィーニャ(バルセロナ)もまた、負傷の影響でフル稼働は難しい状況だ。
攻撃面で最も頼りになるのはマテウス・クーニャ(マンチェスター・U)かもしれない。タイミングの良い仕掛けに加えて、プレーの選択肢が多い。周囲との連係の意識が高いことも、個性的なタレント集団にあって貴重だ。
若手のアタッカーではエンドリッキ(リヨン)やエステバン(チェルシー)がブレイク候補に挙がるが、エステバンは負傷歴もあり、コンディションが前提条件となる。
主力の怪我など、不安材料が多い現在のセレソンにあって、大型FWイゴール・チアゴ(ブレントフォード)の台頭は嬉しいプラス材料だ。テクニカルなアタッカーが多い傾向があるなかで、待望のパワー型であり、ボックス内での競り合いの強さと決定力は目を見張る。
プレミアリーグではノルウェー代表のアーリング・ハーランドに次ぐ得点数を記録しており、得点力の面でチームを押し上げる役割を担いそうだ。
GKはリバプールで負傷離脱中のアリソン・ベッカー(リバプール)が前回のカタール大会に続くフル稼働が難しい場合、エデルソン(フェネルバフチェ)がゴールマウスを守ことになりそうだが、3月のクロアチア戦で起用されたベント(アル・ナスル)にもチャンスはある。
そのGK陣も含めて、2025年6月のエクアドル戦から率いるアンチェロッティ監督は、ここまであまりメンバーを固定しておらず、国内組も含めて幅広く招集している。怪我人も多いなかで、最終メンバーがどうなるかは読みにくい。
グループステージはモロッコ、スコットランド、ハイチとの対戦で、戦力的には順調な勝ち上がりが見込める。ただし、一瞬の油断が落とし穴になる大会で、チャンピオンズリーグなどの大舞台を経験してきた名将が、ブラジルをどう導いていくか。
1位か2位でラウンド32に進めば、いきなり日本と対戦する可能性もあるだけに、大会のスタートから目が離せない。
文●河治良幸
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