大阪万博で使用されたEVバス(C)日刊工業新聞/共同通信イメージズ

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 “負の遺産”となるのは確実だ。

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 大阪・関西万博で使用されたEVバスの販売元「EVモーターズ・ジャパン」(北九州市、EVMJ)が14日、東京地裁に民事再生法の適用を申請したと発表した。負債総額は約57億円だ。

 大阪メトロは2022〜24年度に、EVMJから190台のバスを購入し、万博期間中は会場周辺で運行させていた。閉会後は、路線バスへの転用を見据えていた。

 しかし、万博期間中に、自動運転中のシャトルバスが走行位置を誤認するなど、会場付近で2件の衝突事故が発生。車両の不具合も相次ぎ、国交省は昨年9月に総点検を指示し、立ち入り検査にも踏み切った。その結果、EVMJは11月に計85台のリコールを届け出た。要するに、不良車だったということだ。

 大阪メトロは結局、先月31日に安全性を確保できないとして、190台の全車両について今後の転用中止を決定した。

 行き場をなくしてしまったバスは現在、大阪市城東区の大阪メトロの敷地内に集められており、SNS上で「バスの墓場」と揶揄されている。

■なぜ国は採用したのか?

 EVMJのバスは、福岡県筑後市でも突っ返されている。市によると、昨年4月にEVMJからスクールバス4台を導入したが、信号待ち中に突然システムがダウンして動かなくなったり、ハンドルの反応が悪くなったりするトラブルが相次いだ。EVMJが点検を実施しても改善されず、安全性への懸念が払拭できないことから、7月に他のディーゼル車に置き換えることとなった。

 EVMJのバスは、伊予鉄バスや阪急バス、東急バスなどでも使用されている。関東地方のあるバス運行会社関係者はこう話す。

「うちの会社でもEVMJのEVバスを使用していますが、路上で突然立ち往生してしまったり、バッテリーの充電がうまくいかなかったり、トラブル続きです。運転手など現場からの評判は悪く、“いわく付き”扱い。『よくこんなメーカーのバスを万博で使用したな』ともっぱらです」

 問題なのは、万博バスに多額の血税が注がれていたことだ。大阪メトロはバス190台を購入する際、国と府、市の補助金合計40億円超を充てている。すでに補助金を返還する方針を示しており、EVMJにも費用負担を求め、応じない場合は提訴する可能性もあるという。

 なぜ国は、万博に“いわく付き”バスを採用したのか。検証されてしかるべきだ。

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