「吉村代表を追い出したい」大阪都構想再燃で『維新の会』の内部分裂と反体制派が描く「シナリオ」

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マスコミを使った情報戦

吉村洋文大阪維新の会代表(50)が打ち出した3度目の「大阪都構想」の是非について、主導する『大阪維新の会』の内部で歪みが生じている。維新の会の大阪市議団は、3月の法定協議会設置議案の提出に反発。提出は見送られた。横山英幸大阪市長(44)が市議団と吉村洋文代表との間に入るも、両者の溝は埋まらなかった。

4月に入り、吉村氏が都構想の住民投票の対象が府民全体に及ぶ可能性に言及したことで、大阪市議団はさらに態度を硬化させた。4月5日から始まった大阪市民のタウンミーティングでは、都構想に対してすでに懐疑的な声が飛び交っている。

維新の会の内部で不穏な空気が漂い始めたのは3月4日。大阪都構想の制度案を作る法定協議会の早期設置に反対する市議団と、松井一郎元代表(62)との会食がマスコミにリークされたことがきっかけだ。会食には松井氏のほか、維新の会の古株である井上英孝衆議院議員(54)、大阪市議団出身の岡崎太参議院議員(58)も出席したとされる。大阪維新の会の所属議員が言う。

「クローズドな会食のはずが、一部メディアが待ち構えていました。松井さんも法定協議会の早期設置には慎重な姿勢を示していて、今なお党内で影響力がある。会食をマスコミにリークしたのは、『反対派がこんなにいるんだ』と印象付けることが目的でしょう。

ただ、松井さんは会食の場で今の執行部を真正面から否定するのではなく、一部の市議たちの強烈な反対意見をひたすらなだめて聞き役に回っていたそうです。調整役として、党内の分裂を避けるために振る舞っていた節もあります」

この会食の数日後、松井氏はMBSの取材に「筋は市議団のほうが通っている」と答えたうえで、以下のように吉村代表に言及している。

「もっと風通し良くしたほうがいいと思うね。一部の人たちが決めて、それに従わなければ『維新のメンバーとして違うだろう』みたいになるのはね……。吉村さんが頑張っているのは分かるけど、『仲間なんじゃないの?』と思う。橋下(徹)さんのときでもこんなことはなかった。もっと風通し良くやってましたよ」

今年2月、都構想への3度目の挑戦の是非を問うとして、大阪府知事・大阪市長の出直しダブル選挙が行われたことに端を発する今回の騒動。当初から、大阪維新の会からは不穏な声が上がっていた。全国紙の府政担当記者が解説する。

「都構想の再燃は党本部の職員ですら寝耳に水で、『報道で知った』と話していました。国会議員団はおろか、大阪維新の会の市議団もほとんどは知らされていなかった。吉村氏と横山氏の独断です。昨年夏の参議院選挙前後から、『独裁』という言葉が聞こえてくるようになりました。もともと維新の政策はトップダウン型ですが、吉村政権は歴代で最も対話の機会が少なく、それが内部の反発を高めているとも言えます」

吉村代表を追い出したい

大阪市議団が都構想に反対していることはすでに多くのメディアが報じているが、ある市議団の議員は「内実は少し異なる」と明かす。

「市議団全員が都構想に反対しているのではなく、3名ほどの“アンチ吉村代表”の議員が熱心に声を上げているという状況です。大半の議員は中立か、どちらにつくのが正しいのか判断しかねている。

ただ、吉村代表や党から都構想が実現して大阪市が消滅した後、市議団がどうなるのかという説明は一切ありません。都構想を公約に掲げたダブル選挙も体裁だけで、民意を得たとも言えない。これらを不安に思う議員が少なからずいるため、市議団からすると『筋はこちらにある』と言えるのです」

市議団議員はこう続けた。

「市議団の大半が都構想に反対しているという報道や一部の市議の発言には、強い違和感がある。正しい情報が伝わっていると思えません。大阪維新の会の最大の問題は、すべてがトップダウンで、議論して決めるという姿勢がまったく見られない組織体制にあると思います。そもそも、前回の都構想が住民投票で否決された際、吉村代表が『(私の)任期中は3度目の挑戦はしない』と言っていましたから……」

そんな市議団の反対もあり、法定協議会の設置は1月、3月の2度、見送られた。5月の市議会とその後の府議会で認められなければ、吉村氏が定める来春までの住民投票実施は頓挫することとなる。それは「明確な失策として、吉村代表の信を問うことができる」という反対派の筋書きへとつながっていく――。

そんななか、住民投票の対象を府全域に広げるという案が突如、浮かび上がってきたのである。吉村氏の発言を受けて市議団の竹下隆幹事長は、「丁寧にやっていこうと考えていたところに、いきなり話が広がった」と記者団に苦言を呈した。前出の大阪維新の会の議員は党内の騒動についてこう言い放った。

「吉村代表を大阪市から追い出したい、国政へも行かせたくないという勢力がいるということです」

だが、維新の会で独裁的な振る舞いを見せるのは吉村氏だけではなかった。