【A4studio】「GMARCH」「日東駒専」大学序列は崩壊しつつある一方で…難関大学をめぐる競争は「激化」のワケ
「GMARCH以上なら勝ち組」は過去のもの?
「GMARCH以上なら勝ち組」「いい国公立大学に入れば人生安泰」――そんな大学受験の常識が変わりつつあるという。
偏差値、就職実績、知名度といった要素から割り出され、広く浸透してきた日本の大学序列。「名門に入ってこそ成功」という価値観は依然として根強く、難関大学を目指す流れは現役高校生の間でも続いている。
実際、JSコーポレーションのインターネット調査「高校生15万2494人が答えた大学人気ランキング」(2026年2月集計)でも、その傾向は明らかだ。
国公立大学では、1位「東京大学」、2位「筑波大学」、3位「京都大学」、4位「大阪大学」、5位「名古屋大学」。私立大学では、1位「青山学院大学」、2位「慶應義塾大学」、3位「近畿大学」、4位「明治大学」、5位「関西大学」と、いずれも高偏差値の名の知れた大学が上位を占めた。
さらに「GMARCH」(学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)、「SMART」(上智大、明治大、青山学院大、立教大、東京理科大)、「日東駒専」(日本大、東洋大、駒澤大、専修大)といった大学群の呼称も浸透。ネット上では「GMARCH以上・以下」といった基準で大学の序列を語る議論が繰り返されている。
知名度も就職力もトップクラスで、在籍するだけでも“かっこいい”――。そんなブランドに惹かれ、エリートを夢見る高校生が名門大学の受験に殺到する構図は、今も昔も大きく変わっていないようにみえる。
だが、「名門に入れば将来安泰」という前提は、静かに過去のものになりつつあるというのだ。じわじわと崩れ始めた“神話”の内情を、東京大学大学院・教育学研究科の本田由紀氏に聞いた。(以下、「」内は本田氏のコメント)
偏差値だけでは測れない時代へ
「大学序列は受験産業やメディアが商売のためにつくり出したもの。たいして意味はありません」
はじめに本田氏は、そう指摘した。
「そもそも『序列』という言葉自体が、かなり恣意的なものです。現在は大学入試の半数近くが推薦・総合型選抜に移行しており、入学者の半数近くが“偏差値では測れない層”になっています。つまり、学力テストの点数だけで序列化する構造は崩れつつあるのです。
受験産業やメディアが偏差値を基準とした大学序列を発表するのは、マーケティングのために価値観を一元化し、受験生を煽るためでしょう。こうした旧来の構造が、多様化する社会にどれほど意味を持つのか、はなはだ疑問です」
上位層の競争はどんどん濃縮
では、こうした“見せかけのランク分け”は近いうちに崩壊するのだろうか?
「実際にはそう単純ではありません。現状、難関とされていたり人気が高いとされていたりする国公立大学や有名私立大学の地位が、短期間で大きく揺らぐ可能性は低いでしょう。
確かに少子化の加速により受験人口は減っていますが、上位層の大学に限れば話は別だからです。依然として学力上位の受験生が集中しており、競争の構造そのものは崩れていません」
それは上位層の大学とそれ以外の大学の格差が、さらに広がっているということも示しているのだろう。
「上位層の大学では今も一般入試を軸とした選抜が続いており、限られた枠をめぐって高い学力層がしのぎを削る状況に変わりはありません。全体の母集団が縮小しているにもかかわらず、上位層の競争はむしろ“濃縮”されていると言えます。
少なくとも今後10年程度のスパンで見れば、上位層の難関大学としての位置づけが急激に失われる可能性は低いでしょう」
難関大学は社会的評価の蓄積が大きく、一朝一夕に変わるものではないということか。受験生の進路選択に与える影響力は相変わらず強いようだ。
記事後編は【「GMARCH以上が高学歴」は視野が狭い…「日本のエリート層」に起きている予想外の変化】から。
