ハンガリー選挙 欧州極右伸長の流れ変わるか
ハンガリー議会選挙で新興野党が圧勝し、オルバン首相の退陣が決まった。
16年ぶりの政権交代が実現する。
ロシアや中国に融和的で、欧州連合(EU)を揺さぶってきた異色の強権指導者の退場である。EUとの関係が改善し、欧州が結束を取り戻す契機となることを期待したい。
オルバン氏は、司法に介入し、政権に批判的なメディアを抑圧するなど強権的な統治手法で、長期政権を担ってきた。
ロシアのプーチン大統領と関係が近く、EU加盟国の全会一致が必要な対露制裁やウクライナ融資などで再三、「拒否権」をちらつかせてきた。
今回の選挙では、オルバン氏を支持するロシアがSNSなどを通じて偽情報を拡散し、世論工作を仕掛けたと指摘される。
米国のトランプ大統領もオルバン氏の勝利を願うメッセージを送り、選挙中にバンス副大統領をハンガリーに派遣した。内政干渉のそしりは免れない。
選挙の公正性を歪(ゆが)めかねない動きは不発に終わり、オルバン氏は大差で敗北した。オルバン氏が早々に敗北を認め、選挙という民主的な手続きがなお機能していることを示した点は評価できる。
新首相には、定数の3分の2以上の議席を獲得した中道右派「ティサ(尊重と自由)」のマジャル党首が就く。統治体制の立て直しや、EUとの関係修復に尽力してもらいたい。
ハンガリーは、ロシア産エネルギーの輸入や、中国からの投資を頼りに経済成長を目指してきた。だが、国内総生産(GDP)成長率が2023年以降、3年連続で1%を下回った。1人あたりGDPはEU加盟国で下位にある。
中露に依存し、国家管理を強化する手法が限界を迎えていたのは明らかだ。オルバン体制で横行した汚職や縁故主義も、経済成長を妨げてきた要因といえる。
経済低迷や物価高などに対処できなければ、いかなる体制であってもいずれ国民の不満を抑え切れなくなるのだろう。
オルバン氏は、移民やEU、ウクライナなどを「仮想敵」とし、敵意や憎悪を煽(あお)ってきた。
同様の手法はハンガリー以外の欧州にも広がり、ドイツやフランスなどで「自国第一」を掲げる排外的なポピュリズム(大衆迎合主義)勢力を伸長させてきた。
オルバン氏の退陣が、欧州の極右勢力の伸長の変調につながるかどうかを注視する必要がある。
