トランプ政権が中間選挙対策で打ち出す「暗号資産」政策という切り札…トランプ大統領が「アメリカを暗号資産の中心地にする」と国家戦略を明確化した本当の理由

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 イラン攻撃で世界中を振り回している米・トランプ大統領の喫緊の課題が、今秋に控えた中間選挙に向けた支持率アップである。



 トランプ第一次政権の誕生を見事に言い当て、米共和党との深いパイプを有している国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「トランプ大統領は、中間選挙対策で暗号資産政策を打ち出してくる可能性が高い」と分析する。なぜなのかーー。



 みんかぶプレミアム特集「トランプ、習近平、高市の本音」第2回。


支持率低下中のトランプ政権は、中間選挙に向けて巻き返し策を練っている



 トランプ政権の支持率が低下しており、同政権は中間選挙までに強力な選挙キャンペーンを実施することが必要となっている。



 その柱の一つが減税法案の還付などで米国民に資金が戻ることであるが、その資金流入が更なる実体経済のインフレに繋がるようでは、また新しい問題が発生してしまう。そのため、トランプ政権は実体経済のインフレにはあまり影響を及ぼさないが、有権者の利益に直結する二律背反の目玉政策を打ち出すことが求められている。



トランプ政権が支持率の起死回生を狙い、「暗号資産」政策を打ち出してくる可能性が高い理由



 そこで白羽の矢が立つ可能性が高い政策が「暗号資産」政策だ。バイデン政権とは異なり、トランプ政権では暗号資産関連の政策枠組みや規制緩和などが進むものと期待されてきた。しかし、現在までのところ、予想されたよりも期待外れの状態が続いているが、トランプ政権にとっては暗号資産政策は中間選挙対策としては持ってこいの政策だ。



 暗号資産はあくまでも金融資産であるため、その価格の高騰が実体経済のインフレには直結しにくい。しかし、株価と同様に暗号資産価格は選挙戦には多大な影響を与える重要な政策になりつつある。



 特に重要なのは、米国内における暗号資産保有者の規模である。複数の調査では、アメリカ国内の暗号資産保有者数は約5,000万〜6,000万人に達し、有権者全体の約20%前後を占めると推計されている。同保有者の最大ボリュームゾーンは郊外部の住民であり、この規模は中間選挙の接戦選挙区で勝利をもたらすのに十分な数字だ。つまり、暗号資産政策は経済政策であると同時に、選挙戦略としても大きな意味を持つことを示している。



トランプ大統領が「アメリカを暗号資産の中心地にする」と国家戦略を明確化した理由



 トランプ大統領は、アメリカを「暗号資産の中心地」にするという国家戦略を掲げ始めている。これは単なる金融政策ではなく、グローバルな資金の流れを自国に引き寄せるための覇権戦略の一環でもある。



 暗号資産市場は国境を越えて資金が移動するため、規制環境や税制次第で資金の流入先が大きく変わる。規制を緩和し、企業や投資家にとって魅力的な環境を整備することで、アメリカがその中心地としての地位を確立しようとしているのだ。



トランプ政権が注力する「ビットコインの戦略備蓄構想」



 さらに注目されるのが、「ビットコインの戦略備蓄構想」である。これは国家としてビットコインを保有し、金融資産の一部として位置づけるという構想だ。



 仮にこれが実現すれば、ビットコインの信認は飛躍的に高まり、価格にも大きな影響を与える可能性がある。同時に、ドル中心の金融システムに対する新たな選択肢としての意味合いも持つことになる。



 トランプ政権にとっては、支持率回復と国家戦略を同時に実現し得る一石二鳥の政策であり、中間選挙に向けた強力なカードとなる可能性が高い。