なぜ”ストレス”がたまると「下痢」するのか?受診すべき5つの症状も医師が解説!
なぜストレスで胃腸が荒れるのか?メディカルドック監修医が、自律神経との関係や過敏性腸症候群(IBS)などの疾患、即受診が必要な危険なサインについて詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「ストレス性の下痢」は放置すると危ない?特徴と治し方のポイントも医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
関口 雅則(医師)
浜松医科大学医学部を卒業後、初期臨床研修を終了。その後、大学病院や市中病院で消化器内科医としてのキャリアを積み、現在に至る。内視鏡治療、炎症性腸疾患診療、消化管がんの化学療法を専門としている。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医。
なぜストレスがたまると胃腸に影響がでるのか?
ストレスは自律神経のバランスを崩し、胃や腸の運動と分泌に大きな影響を及ぼします。具体的には、脳のストレス刺激が交感神経・副交感神経を介して、胃腸のぜん動運動や胃酸分泌、腸の働きに伝わります。結果として、痛みや不快感、胸焼け、下痢、便秘などさまざまな不調を引き起こします。また、ストレスで腸内環境(善玉菌・悪玉菌のバランス)が崩れたり、免疫力が落ちたりするため、感染症や機能性疾患を発症・増悪しやすくなります。過敏性腸症候群やストレス性胃腸炎はその典型例です。
すぐに病院へ行くべき「ストレスによる下痢」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
ストレスによる下痢と重い症状の場合は、消化器内科・内科へ
ストレス性の下痢に加えて、激しい腹痛・高熱・血便・黒色便・脱水・吐き気・体重減少などが見られる場合は、医療機関を受診しましょう。機能性の病気だけでなく、感染症や炎症性腸疾患、まれに大腸がんが関与している可能性もあります。下痢が1週間以上続く場合、1日10回以上の排便やトイレから出られないほど症状が強い場合も、緊急受診の対象です。受診時は症状発生の時期・回数・便の形状・食事内容・服用中の薬などをメモして伝えると診断がスムーズです。
病院受診・予防の目安となる「ストレスによる下痢」のときのセルフチェック法
・強い腹痛、発熱、血便、黒色便、脱水症状がみられる場合
・ストレスが強く、精神的な不調(不眠・不安感など)も続いている場合
・下痢が3日以上から1週間以上続く場合
・急な体重減少・食欲低下がある場合
・日常生活に支障をきたしている場合
これらの状態では自己判断せず、早めに消化器内科・内科を受診しましょう。医師は必要に応じて血液検査や便検査、腹部の画像診断などを行い、感染症や治療が必要な疾患がないか慎重に調べます。
「ストレスによる下痢」の症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「ストレスによる下痢」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群は、強い緊張・不安・ストレスなどが引き金となり、腸管の運動異常を引き起こして、下痢・便秘・腹痛などを慢性的に繰り返す疾患です。突然の便意や腹痛を感じやすく、外出や会議の直前など精神的に負担のかかる状況で発症しやすい特徴があります。腹痛は排便後に軽快することが多く、他の臓器症状(例:吐き気、頭痛、不眠)が現れることもあります。
治療の基本は生活習慣の改善・食事療法・薬物治療の3本柱です。消化に良い食事(低FODMAP食)、規則正しい睡眠、適度な運動などを心がけ、症状に応じて腸の働きを整える薬や整腸剤を使用します。心理的な負担が強い場合は、認知行動療法や抗不安薬の処方も有効です。
受診の目安は、「1週間以上症状が続く」「血便・体重減少・激しい痛みを伴う」「市販薬で改善しない」場合などであり、消化器内科または内科で診断と治療が可能です。
自律神経失調症
自律神経失調症は、精神的・身体的なストレスによって自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが乱れ、消化器症状を中心に全身の様々な不調が現れる病気です。強いストレスや睡眠不足、過労が引き金となり、腸の動きが不安定になって下痢や便秘を繰り返すのが特徴です。主な症状は腹痛・下痢・便秘・動悸・発汗・不眠・疲れやすさなどです。精神的な症状として「不安感」「気分の落ち込み」が加わることもあります。
治療はストレス緩和と生活習慣の見直しが基本です。質の良い睡眠(7~8時間推奨)、定期的な適度な運動、バランスの良い食事、趣味やリラックス法を取り入れることで自律神経を整えます。必要に応じて消化器症状の薬や抗不安薬を処方します。
病院受診の目安は「症状が1~2週間以上続く」「日常生活に支障を来している」「精神的な不調が強い」場合などで、まず内科や消化器内科を受診し、専門的な治療が必要な場合は心療内科や精神科への紹介も行われます。
ストレス性胃腸炎
ストレス性胃腸炎は、強い精神的・身体的ストレスが胃腸粘膜に影響して炎症が生じ、腹痛・下痢・吐き気・食欲低下・みぞおちの不快感などの症状を引き起こす疾患です。症状が長期間続く場合や、激しい痛み、急な体重減少・持続する食欲不振などがあれば注意が必要です。まれに「嘔吐・血便・黒色便」「強い脱水症状」も起こります。
治療は薬物療法と生活習慣の改善が中心です。医師の診断で消化管運動機能改善薬や胃酸分泌抑制薬、抗不安薬、漢方薬などが処方されます。根本的なストレス対策が治療の要となり、十分な休養、ストレス源の把握と解消、バランスの良い食事・規則正しい睡眠・適度な運動が重要です。
病院に行くべき目安は「数日~1週間以上症状が続く」「痛みが強い」「日常生活に支障が出ている」「体重減少や食欲不振が続く」場合などです。まず消化器内科や内科で受診し、必要があれば心療内科・精神科の受診も検討します。
「ストレスによる下痢」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ストレスによる下痢」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
仕事の緊張や不安でお腹を壊しやすいです。内科で治療できますか?
関口 雅則医師
ストレスで下痢や腹痛が生じる場合、内科または消化器内科で治療が可能です。病気の背景に過敏性腸症候群(IBS)や自律神経失調症、ストレス性胃腸炎などが隠れていることが多いですが、これらは症状や生活背景から総合的に診断されます。まずは生活習慣の見直しやストレスマネジメント指導を行い、必要に応じて整腸剤・下痢止め・安定剤などの処方や、心療内科・精神科と連携した治療が受けられます。
ストレスによる下痢の治し方はどうしたら良いでしょうか?
関口 雅則医師
まずはストレスの原因となる環境や出来事への対策を考え、生活リズムの安定(十分な睡眠や三食のバランスの良い食事)、適度な運動やリラクゼーションを意識することが大切です。症状の悪化を感じるときは、消化によい食べ物を選び、水分と休息を優先しましょう。症状が強い場合は整腸剤や一時的な下痢止めの活用も有効ですが、血便や高熱、体重減少など他の症状を伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。
ストレスで下痢になった場合、何日ぐらいで治りますか?
関口 雅則医師
ストレス由来の軽い下痢なら、充分な休養や環境の見直しによって2日程度で回復することが多いとされています。一方で、ストレスが続いていれば症状も再発しやすいため、根本的なストレス対策が重要になります。また、数日休養しても改善せず、長引く場合は慢性化のサインか別疾患の可能性があるため、早めに医師へ相談することをおすすめします。
まとめ ストレスによる下痢は生活改善と早期対応が重要
ストレスによる下痢は、生活の質(QOL)を大きく損なうだけでなく、体調悪化やほかの症状(下腹部痛、全身の倦怠感、集中力の低下など)も招きやすいため、単なる一過性のトラブルと見過ごさず早期対応がとても大切です。
下痢が続く場合や強い腹痛・血便・高熱などの重い症状がある場合は、重大な疾患のサインや、脱水・低栄養などのリスクを伴うこともあるため、自己判断で放置せず必ず早めに医療機関を受診してください。
ストレス性下痢を改善するためには、規則正しい生活とバランスの取れた食事、そして適度な運動や質の良い睡眠など、生活全体を見直すことが重要です。無理をせず「心と体を労る」ことが、根本的な改善への第一歩となります。
「ストレスによる下痢」症状で考えられる病気
「ストレスによる下痢」から医師が考えられる病気は13個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
消化器系の病気
過敏性腸症候群(IBS)
ストレス性胃腸炎機能性下痢
自律神経失調症慢性下痢症・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎/クローン病)
感染性腸炎(ウイルス・細菌性など)
大腸がん・大腸ポリープ
婦人科系の病気
月経前症候群(PMS)
月経随伴症(ストレス関連で下痢・腹痛を伴う場合)
女性の慢性骨盤痛(ストレス悪化)
ホルモンバランス異常に伴う下痢
循環器系・その他の病気
ストレスに起因する頻脈・動悸・発汗(自律神経失調と関連)
強い緊張からの過換気症候群
全身のだるさや疲労と連動した消化障害
「ストレスによる下痢」に似ている症状・関連する症状
「ストレスによる下痢」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
腹痛発熱血便黒色便
脱水症状
急な体重減少
食欲低下
【参考文献】・過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)と補完療法について知っておくべき7つのこと|厚生労働省
・過敏性腸症候群(IBS)|日本消化器病学会ガイドライン
