グラフィック設計にも、一貫して”認知的負荷の低減”という発想が見える。クラシックカーに加え、ヘリコプターや飛行機といった航空業界の無駄のない明快なグラフィックをインスピレーション源とし、アナログメーターに似た親しみやすい外観を持ちながら内部は完全デジタル。ビナクルのグラフィックは、1950〜60年代のヴェリアやイェーガーのメーターに着想し、腕時計のような読み取りやすさを目指したモダンでクリーンなレイアウトが生み出された。ひと目で理解できる情報提示によって、ドライバーは道路から注意をそらすことなく重要情報を素早く自然に得られる――その狙いが明言されている。

センター・コンソール周辺では、シフトにもコーニング フュージョン 5 ガラスが用いられる。機能的で強靭でエレガントな装備として紹介され、フェラーリの求める精度を達成するためにレーザーを用い、人間の毛髪の半分の幅の微小な穴をガラスに開け、そこにグラフィック用インクを落とすことで均一な仕上がりを実現したという。フュージョン5は一般的なガラスに比べ表面耐久性が高く、耐衝撃性・耐傷性にも優れ、コントロール・パネル、ビナクル、センター・コンソール表面にも使われる。

フェラーリはこの段階で、ルーチェを”支える技術”を2025年10月にマラネッロ本社内のEビルディングで公開すると予告している。そして最後となる発表は、エクステリアの公開も含め、2026年5月にイタリアで開催されるとのことだ。インテリアとインターフェースから始まる物語。名前に込めた「光」は、車両そのものの輪郭だけでなく、フェラーリが次の時代へ踏み出す姿勢を照らす意志表示として提示されたといえよう。