ますます円熟味が増している伊東。(C)Getty Image

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 日本代表の快速アタッカー、伊東純也(ヘンク)は、2月8日のアンデルレヒト戦(2−0)で“3シャドー”の一枚に入った。右から伊東、コンスタンティノス・カレツァス、ダーン・ヘイマンスと並ぶ布陣だ。

 18歳のホープ、カレツァスが小回りの効くテクニックを、ヘイマンスが馬力のあるところを見せた一方、伊東はその快速を活かしきれず、64分にベンチに下がった。

「いつもとポジションが違って、“10番”気味でやってたんですけれど、あんまりうまくいかなかった。個人的にもあんまり良くなかったのでしょうがない。終盤、フレッシュな選手を入れたかったんじゃないかなと思います」

 10番が3人並ぶことから「スリー・テン」と呼ばれる布陣。そこで伊東は持ち味を出し切れなかったが、それでもニッキー・ハイエン監督が伊東を10番で試したくなるのも分かる気がする。“稲妻ジュンヤ”は今、視野が広がり、ボールを持った時の落ち着きと判断が良く、円熟期を迎えているのだ。

 前節、左ウインガーで出場したデンダー戦(2−1)の開始3分、伊東は左サイドライン際からストライカーのアーロン・ビブーにくさびを入れて、そのままゴール正面へ。カレツァスからのスルーパスを伊東がアウトフロントで流し、ヘイマンスの先制ゴールをアシストした。
 
 前線のカルテットがワンタッチパスで崩し、ワンタッチシュートで仕留める、至高の得点シーンを「自分で打とうと思ったんですが、ディフェンダーがいた。中に味方が見えていたのでチョンと出すだけでした」と振り返った伊東。その“チョンと出すだけだった”というラストパスは、お膳立てという言葉がふさわしい、柔らかなものだった。

 デンダー戦から1週間後のアンデルレヒト戦。ハイエン監督は伊東を「スリー・テンの右」に抜擢した。しかし、試合後の伊東は「正直、やり辛かった」と感想を漏らした。

 昨年10月の日本対ブラジル(3−2)、森保一監督は後半途中から伊東をシャドーのポジションで起用。伊東は見事にその役割を全うした。

「あれは2枚だから良いんですけれど...」。そう伊東は語る。日本の「ツー・シャドー」とヘンクの「スリー・テン」は似ていて非なるものなのか?

「2枚だとサイドに流れることができるので」

「スリー・テン」での伊東の窮屈さは、そこだった。アンデルレヒト戦で伊東は右サイドで相手DFと1対1に挑み、時おりダミーで中に視線を送りながら縦突破を図り、意図してスローインを奪った。

 このドリブルにはスピードに加え、貫禄のようなものも感じられたが、アンデルレヒト戦の伊東がサイドライン際を疾走したのは、この1回だけだったはずだ。

「前回のデンダー戦は、左でワイドに張る係だった。ワイドに張る係だったら、右でも左でも良さを出しやすい。今日みたいに中だと正直、ちょっとやり辛い――」

 アンデルレヒトに完勝したことで、ヘンクは勝点32となり、11位から一気に8位にジャンプアップ。プレーオフ1圏内の6位ヘント(勝点33)との差はわずか1。アンデルレヒト(勝点36)とは4差と、4位の背中も見えてきた。

 しかもアンデルレヒト戦のヘンクは内容も一方的だった。伊東に「特に前半はワンサイドゲーム。試合を見ながら『なぜこのチームが11位に沈んでいたのだろう』と思いました」と訊くと、思わぬ答えが返ってきた。
 
「俺が怪我して、いなかったんで。俺がスタメンになってから負けてないんですよ」

 10月後半から約2か月戦列を離れた伊東は、12月末に復帰。先発に返り咲いたのは1月22日のELのユトレヒト戦(2−0)から。その後、ヘンクはベルギーリーグで2勝1分け、ELで2連勝と、調子が上向いている。

――なるほど、それだ!

「(笑)。それも多少はあるとは思いますけれど。あとは、もともとポゼッションはできてたので、最後のゴールのところだったり、相手にワンチャンス、決められるとか、セットプレーとかで負けていたところがあった。そういうことがなくなって、しっかり点を取れば(ヘンクは)勝てるチーム。だから、こういう(アンデルレヒト戦のような)試合になると思います」
 
――今の伊東選手には円熟味を感じます、と声をかけた。

「32歳でまだまだやれている選手もいっぱいいますし、そこは頑張りたい。自分はまだ落ちてはないと思いますし。だけど、ちょっとコンディションが悪かったりすると『落ちてる』と言われるので、毎試合、頑張りたい」

 3月9日に33歳の誕生日を迎える伊東は「今年はワールドカップで結果を残すこと。そしてヘンクではプレーオフ1にしっかり入って、“いつもいる位置”までいかないといけな」と2026年の抱負を語った。

取材・文●中田 徹

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