『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』©テレビ朝日

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 木曜ドラマ『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』(テレビ朝日系)第2話は、「複雑国税事案処理室」(通称ザッコク)が追う脱税疑惑が、老舗の慣習を悪用した横領へとすり替わっていた事実を暴く一方で、作久子(大地真央)が抱えてきた“痛み”を少し深く掘り下げていく。

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 発端は、正子(松嶋菜々子)が情報屋・白井(鳴海心斗)から受け取ったブタレ。おはぎで評判の老舗和菓子店「福はぎ庵」に不正の疑いがあるという。先代店主である萩本(おかやまはじめ)の死後、店は右肩下がりで、双子の兄・亜紀也(結木滉星)が店を守る一方、弟・莉杏(上村海成)は新店「シン・FUKUHAGI-&」を立ち上げ、兄弟の溝は深まっていた。

 正子はいつものように「糠の匂いがする」と踏み込むことを決めるが、ここで作久子が猛反発する。先代や兄弟を幼い頃から知る彼女にとって、福はぎ庵は守られるべき場所だ。会議の流れに乗れないまま単独行動に出た作久子は店を訪れ、番頭の砂原(徳井優)から赤字続きの嘆きを聞き、亜紀也が「親父の金を使い込むやつは許さない」と弟に敵意を向ける姿を目撃する。

 正子、耕一(佐野勇斗)、豊作(高橋克実)は雑誌取材を装って新店へ。莉杏は「兄のやり方に納得できなかった」と語り、父の味を継ぎつつも新しい形で勝負したい意志を見せる。調査の焦点は、単なる売上の誤魔化しではなく、先代の死後に生じた相続まわりの汚れへ。

 ザッコク内の違和感は、作久子の行動でも強まる。代休中の俵優香(長濱ねる)は、作久子が若い男性の住むアパートへ入っていくところを見てしまい、本人に伝えると作久子は不機嫌に去ってしまった。けれど作久子も、裏で独自に動いていた。

 中盤で明かされる作久子の過去が、第2話の見え方を変える。かつて彼女は“ガサ入れの魔女”と呼ばれた敏腕国税調査官だった。だが、その手腕はある一件で重荷になっていく。ガサ入れの現場で家族の前に踏み込んだ結果、父親が強いストレスで、その場で亡くなってしまったのだ。作久子の中には「私は正しかったのか」という問いだけが残ってしまうことになった。作久子がおはぎに特別な思いを抱くのも、その後の行動とつながっている。彼女は遺族のもとを訪ねるとき、手土産におはぎを持っていった。福はぎ庵は、その記憶と結びついた店だ。だからこの案件は、作久子にとって単なる調査ではなく、過去の傷を触ってしまう出来事でもあった。

 作久子にとってその一件は、長いあいだ胸に刺さったままの楔だった。優香が見た若い男性は、かつての現場で残された家族の息子。けれど今回、その家族から「もう大丈夫だ」と受け止めてもらえたことで、作久子はようやく自分を許し、前を向き始める。福はぎ庵への調査では、作久子が先代の名を出して相手の警戒を和らげ、正子が踏み込むための入口を作る。明示の承諾を得て一斉捜査が始まると、作久子が目をつけた代々の壺は空振り。けれど、番頭の砂原が触れるのを必死に止めたヘルメットから札束が出てくる。そこには簿外取引の痕跡が。現金で回る老舗の慣習を利用し、砂原が中抜きして横領していたのだ。兄弟を仲違いさせていたのも、砂原の仕掛けだった。

 砂原は、「先代が守り続けてきた店を、あんたたちが潰そうとしているのが正しいのか」と食い下がる。作久子は言い返して切り捨てるのではなく、いったんその問いを受け止めるように間を置いて、「それを確かめるために、この仕事を続けます」と答えた。迷いを抱えたまま立ち止まるのではなく、もう一度きちんと仕事と向き合っていく――作久子の前向きな覚悟がはっきり滲む一言だった。

 そして、もう一つ気になることがあった。正子と耕一が、「シン・FUKUHAGI-&」にもち米を卸す農家へ当たった際にたまたま居合わせた正子の知り合いとの会話から、その農家の町が支持基盤とする経済産業大臣・鷹羽(千葉雄大)の名が浮かび上がってきた。正子が次に嗅ぎつける糠の匂いは、もっと厄介な場所から漂ってきそうだ。

(文=川崎龍也)