こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した銀河「NGC 4319」。


りゅう座の方向、約7600万光年先にあります。


明るい中心部分の周りで、1本の渦巻腕(渦状腕)がぐるりと大きく包み込んでいるような姿をしています。


また、画像の左下には、さらに外側を大きく取り囲んでいる別の渦巻腕の一部もうっすらと見えています。


【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した「NGC 4319」(中央)と「Markarian 205」(右上)(Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA); Acknowledgment: R. Knacke (Penn State Erie))】

NGC 4319の右上には、「Markarian 205(Mrk 205)」と呼ばれる銀河があります。


隣り合うNGC 4319のすぐ近くにあるように思えますが、実際はそうではありません。地球からMrk 205までの距離は約10億光年で、NGC 4319の10倍以上も離れています。


Mrk 205は、銀河中心部の狭い領域から強い電磁波を放射する活動銀河核(AGN)のなかでも、特に明るいタイプである「クエーサー」としても知られています。クエーサーは遠方の宇宙に多くみられる天体ですが、Mrk 205は比較的近くにあるクエーサーです。


そんなMrk 205をよく見ると、左下のすぐ近くに小さな光点があるのがわかります。これは実際にMrk 205の近くにあって、重力を介して相互作用している伴銀河(衛星銀河)だと考えられています。


ちなみに、Mrk 205とは“見かけ上のご近所さん”であるNGC 4319も、左上の視野外にある別の銀河「NGC 4291」と重力相互作用しているとみられています。


隣り合っているようで違ったり、孤独なようでいてペアを組んでいたり。見た目だけではわからないところもまた、銀河の魅力的な一面です。


冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡にかつて搭載されていた「広視野惑星カメラ2(WFPC2)」で取得したデータを使って作成されたもので、NASA=アメリカ航空宇宙局が2002年10月3日付で公開したものを、2025年12月10日にSNSで改めて紹介しています。



文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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