ヨーグルト以外では何がおすすめ? 腸活にいい食べもの&とり過ぎNGなもの

【画像で見る】専門医がすすめる「子ども向け腸活アイテム」
「腸活」と聞いて、パッと頭に浮かぶのは「ヨーグルト」。その他には、どんなものを食べると、腸内環境が良くなるのでしょうか。今回は、腸活にいい食べ物やとり過ぎると良くない食材、さらに腸内環境と病気の関係性についてお伝えします。

教えてくれたのは…
▷内藤裕二先生
京都府立医科大学大学院教授(生体免疫栄養学)。専門は、腸内細菌学や消化器病学。講演会などを通して、健康長寿になれる腸の知識を広めている。『健康の土台をつくる 腸内細菌の科学』(日経BP)など著書多数。
ヨーグルト以外では何がおすすめ?とり過ぎ注意の食材と併せてご紹介。
■日本人に合う腸活食材が分かってきた▶▶▶ホント
日本人の腸内細菌には日本食がマッチする!
世界では、野菜やオリーブ油などを多くとる「地中海食」を食べると腸内細菌が変化し、老化を予防できるという研究結果が。ただし、日本人にはなじみが薄い食材も。そこで日本人に合う腸活食材を研究した結果、腸にいい食材が見えてきました。下記の11食材をなるべくすべてとるのが腸活に理想的な食事です。

米、みそ汁、海藻、魚介類、緑黄色野菜、きのこ、豆、漬物、果物、緑茶 ・コーヒー
■食物繊維が足りなければサプリでとるのもあり▶▶▶ホント
基本は食事から。多様な食物繊維をとろう

腸内環境のためには食物繊維が必須ですが、摂取量が足りない人がほとんど。理想は食事でとること。食材の種類が多ければ、多様な食物繊維を摂取できます。どうしても不足する分はサプリメントで補ってもOK。天然由来のものを選びましょう。
■子どもは腸活を意識しなくてOK▶▶▶ウソ
子どもにこそ腸活が必要。根菜たっぷりのみそ汁を
腸内細菌の種類は、生後3〜5年でほぼ決まります。子どもにとって腸活は、大人以上に大事。便秘症や、小児アレルギーを予防するためにも、食物繊維を積極的に食べさせましょう。おすすめはごぼうや大根、にんじんなど、根菜たっぷりのみそ汁です。
【内藤先生おすすめ】麦茶やみそ汁に溶かして水溶性食物繊維をプラス

インドやパキスタンで食べられている「グァー豆」由来の食物繊維パウダー。サッと溶けやすく、大さじ1杯で約4gの水溶性食物繊維をとれる。こどもサンファイバー 120g \4,400/タイヨーラボ 050(3183)0756
■腸活にはとり過ぎ注意な食べ物もある▶▶▶ホント
3つのSが不健康な体をつくる腸内細菌を増やす
腸活は食べる食材に目が向きがちですが、とり過ぎに注意すべき食材も。それが「Salt (塩)」「Sugar(砂糖)」「Sausage(ソーセージ)」の3つのS。これらをとり過ぎると、塩分や糖分、脂質が好きな有害菌が増加。肥満や高血圧などになりやすい体質へ変わっていきます。
【3つのSに注意して!】
塩
とり過ぎると腸内の塩分濃度が上昇し、その環境に耐えられる菌が増加。薬を飲んでも血圧が下がらないなんてことも!
砂糖
砂糖を利用する腸内細菌にはエタノール産生菌が多い。そのせいで、お酒を飲んでいないのに脂肪肝になるケースも。
ソーセージ
加工肉をとり過ぎると消化が追いつかず、腸の炎症を引き起こすおそれが。気になるときは、魚肉ソーセージに置き換えを。
■腸活で防げる!? 腸活と病気編
腸内環境の悪化を放置すると、病気になることも。リスクを知っておきましょう。
■腸内環境が悪いと腸に穴があく▶▶▶ホント

腸から吸収してはいけないものが体内に漏れてくる
腸は体の内部と思いがちですが、口や肛門から外部に直結。ちくわの穴のようなもので、消化ずみの食べ物だけを体内に吸収しています。腸内環境が悪化し腸壁のバリア機能が低下すると、未消化の食べ物や腸内細菌が漏れることに。さまざまな不調が現われます。
■不健康な腸にはかびが生える▶▶▶ウソ
どんな人の腸にもかびは生えている
腸内にはかび(真菌)が常に存在。腸内環境が悪いせいで発生するわけではありません。ただし、病気になったり疲労が続いたり、強いストレスがかかったりすると抵抗力がガクンと落ち、かびが増殖。健康被害をもたらす可能性はあります。
■腸内細菌は認知症にも関係している▶▶▶ホント
ビフィズス菌が多いと認知症になりにくい!
100歳以上の人が多く、認知症疑いの人が少ない京都の京丹後市の人々の腸には、ビフィズス菌が多いという調査結果が。ビフィズス菌は大腸で酢酸を産生し、酢酸には炎症を抑制する働きが。脳の細胞が炎症で傷つき認知機能が低下するのを、防いでいると考えられます。
■便秘を放置すると大腸がんになる▶▶▶ウソ
便秘と大腸がんを結びつけるエビデンスはない
日本人女性のがん死亡原因の1位である大腸がん。食生活の欧米化や肥満、飲酒などが原因といわれています。便秘との因果関係はなく、自覚症状がないまま進行することも。早期発見のために定期的に大腸がん検診を受けることも、大事な腸活です。
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日本人の腸には、「ザ・日本の朝食」がマッチするのですね! アレルギーや病気との関係性を知り、腸内環境を意識した食事作りを心がけたいと思いました。
イラスト/日江井 香 編集協力/及川愛子
文=徳永陽子