武者陵司「2024年相場の本質、地政学が決定的要因に」
●米国の台湾放棄は有り得ない
トランプ氏はウクライナからの撤退を主張している。となれば、より大きな犠牲が予想される台湾防衛にどこまでコミットするか、信用できないのだろうか。
武者リサーチはトランプ氏であっても、誰であっても次期米国大統領に台湾放棄の選択肢はないということを強調したい。中国の台湾併合が成功し、日韓のシーレーンが核保有国の中国に支配されれば、日韓は中国の軍事的影響下に入る。それは米国が世界の成長センターであるアジアから撤退することを意味し、米国覇権は終わる。ドル覇権は崩れ、人民元経済圏が優勢となっていく。
それは世界最大の債務国・米国に対する各国の債権取り立てを一気に強め、ドルの大暴落を引き起こす。米国で強烈な輸入インフレが起き、米国経済の世界プレゼンスは急収縮する。米国人の生活水準の急激な悪化は避けられない。
●MAGAの一丁目一番地はドル覇権の維持である
米国は巨額の対外債務を積み上げているが、基軸通貨であることにより、その債務履行に債権者は全く不安を抱いていない。しかし、一度ドル覇権が終わるとなれば、その債務返済額は膨大となる。この巨額の返済義務のない借金という特権を米国が手放せないことによって、どのような犠牲を払ってでも米国は台湾にコミットせざるを得ないのである。トランプ氏のMAGA(Make America Great Again)にとって、ドル覇権維持は生命線であることを強調したい。
(2024年1月16日記 武者リサーチ「ストラテジーブレティン348号」を転載)
株探ニュース
