松本零士が『わが青春のアルカディア』で盟友ハーロックと過ごした時間【日曜アニメ劇場】
追悼特集の最後を飾る6月25日(日)放送分は、松本さんが生み出したキャラクターの中でも屈指の人気を誇るキャプテンハーロックの若き青春の日を描いた1982年公開の劇場アニメ『わが青春のアルカディア』だ。
松本零士さんは本作を制作していた時期のインタビューでこう語っている。
「ハーロック、トチロー、エメラルダス、そして彼らをとりまくすべての人々は、みな私が中学生のときに描いた ”キャプテン・キングストン” というまんがを出発点として生まれ、ともに成長してきたキャラクターです。ハーロックの青春時代の物語、それが『わが青春のアルカディア』ですが、わが青春とはほかでもない私自身の青春なのです。(中略)すべてはおれの友・ハーロックならこう行動するという私自身の青春の夢を描いたものです」(アニメージュ1982年6月号)
宇宙戦艦アルカディア号を駆って”俺の旗”の下に自由に生きる宇宙海賊・キャプテンハーロックは、『銀河鉄道999』のメーテルと並んで松本ワールドを象徴する存在であり、今なお多くのファンに愛され続ける特別なキャラクター。
そして松本さん自身にとってもハーロックは、己の愛するロマンを体現し、志や生き様を共有する唯一無二の ”おれの友” なのだ。
本作『わが青春のアルカディア』はそんなハーロックが愛と正義に燃えていた若き日の物語で、彼の知られざる過去や秘密が描かれる。
侵略者・イルミダスとの戦いに敗れ、失意とともに地球に帰還したハーロックは、屈辱の中で盟友・大山トチローとの出会う。生涯でたったひとりの恋人との、悲しい別離も経験する……。
彼はいかにして悲しみと屈辱を乗り越え、宇宙海賊となったのか? ハーロックの誕生秘話、そして集大成として松本ファンには決して欠かすことのできない作品だといえるだろう。
(C)松本零士・東急エージェンシー・東映
さらに本作を観てみると、今となっては非常に感慨深く見逃せないシーンがある。それは「松本零士さんの出演シーン」だ。
映画が始まって間もなくの場面、戦いに敗れたハーロックはデスシャドウ号に避難民を乗せてイルミダスに占領された地球に帰還する。
避難民が艦を降りようとするとハーロックを武装解除させるためにイルミダス軍(実は物語で重要な役割を果たすキャラクター・ゾルとその部下)が駆け込んできて、髑髏の描かれたカバンを持つひとりの避難民を突き飛ばす。この避難民が松本さんなのだ。
すっかりファンにはお馴染みの帽子とヒゲの姿で、「ああ、ああ、痛い痛い! ああ、ひどい」という台詞も飛び出す。ノークレジットだが、間違いなく松本さん自身の声だろう。
これは単純に考えてしまえば、確かによくある作者のカメオ出演であり、気の利いたファンサービスには違いない。
だが、ここはもう少し勝手な想像をさせてもらおう。なぜなら、どこまでも広がっていく自由なイマジネーション、それもまた松本零士が描き出した世界の大きな魅力でもあるからだ。
デスシャドウ号の帰還はハーロックにとって大いなる挫折を噛みしめる航海だったはずだ。
その航海に松本さんが同舟していたということは、”おれの友” ハーロックにとっての屈辱の時間を共に過ごし、その傍に寄り添っていたことになる。
やがてハーロックは志を同じくする人々を募り、トチローが造り上げたアルカディア号で共に出航する。もしかしたら、松本さんもその中にいたのかもしれない……そう考えると、胸が熱くなるではないか。
松本さんはきっと今も、ハーロックと共にアルカディア号で広大な宇宙を旅している……そんな想像をしながら、今回の放送を楽しんでみてはいかがだろうか。
(C)松本零士・東急エージェンシー・東映
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