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唯一無二の存在として熱烈なファンが多い

フォルクスワーゲン・タイプ2が嫌いだという人は、殆どいないだろう。エンジンは非力で燃費はイマイチ。それでも、爽快な初夏の早朝に浜辺を目指すクルマとして、これほど適したモデルはそう多くないと思う。

【画像】オーナーを虜にする フォルクスワーゲン・タイプ2 T2 T6と最新のT7、EVのID.バズも 全135枚

カリフォルニアのサーファーにとって、タイプ2は不可欠なアイテムかもしれない。完璧なクルマとはいえなくても、唯一無二の存在として、熱烈なファンが多いことは事実だ。


フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1967〜1979年)

1967年にT1からアップデートされたタイプ2のT2、通称レイトバスでも、速さを求めてはいけない。ノーマルの空冷式・水平対向4気筒エンジンは、1.6Lで最高出力が50ps。静止状態から100km/hまでの加速は、風向きが良くても30秒程度かかる。

ブレーキの効きも期待しない方がいい。ペダルの感触はスポンジのようにフワフワで、制動距離はボート並みに長い。市街地でも充分な速度に達するだけで一苦労。赤信号には、予測的に備える必要がある。

背が高く重いワゴンボディだから、コーナリングも得意とはいえない。サスペンションはゼリーのように柔らかく、カーブでは傾くボディへ乗員が耐える必要がある。ステアリングホイールは重く、曲がる度にドライバーは沢山の筋力を使う。

それでも人気は高く、英国で状態の良いT2を探す場合は、2万ポンド(約322万円)以上の予算が必要。しっかりメンテナンスされ、サビの少ないボディがオリジナルへ近いインテリアを包む例を探せる。

オーナーの気持ちを掴んで放さない個性

既に半世紀以上前のクルマだから、経年劣化でエネルギー効率は大幅に落ちていると考えたい。燃費は、7.0km/Lに届いたら褒めてあげてほしい。排気漏れにも注意したい。

安全性も高くはない。運転席はフロントアクスルの真上で、クラッシャブルゾーンは殆どない。ヘッドライトも暗い。ワイパーは充分にフロントガラスを拭き取れず、雨の日は外出を諦めさせるだろう。


フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1967〜1979年)

エンジンルームの周辺に、デッドニングを施しているマニアも多い。走行中のエンジン音が大きいためだ。風切り音も盛大だから、ノイズは小さいに越したことはない。

現代的なクルマのように、気を使うことなく毎日乗れるわけではない。日々の整備と調整、忍耐が欠かせない。予定時間通りに目的地まで着きたい場合は、新しいT7 マルチバンなどを選んだ方が賢明だろう。

それでも、好きだという人は多い。T2を運転することは、アクティブな体験だ。常にドライバーは構えている必要があっても、弱点を乗り越えられれば深い恋に落ちてしまう。

扱い方を習得すれば、その魅力が見えてくる。所有すること自体が斬新な体験になる。身近な旅行でも、思い出に残るイベントになる。フワフワの操縦性も、嫌いではなくなる。

フォルクスワーゲンT2は見た目も可愛いし、フラット4のサウンドも特徴的。最大のストロングポイントは、オーナーの気持ちを掴んで放さない個性だといえる。1度虜になれば、弱点も見逃せてしまうものだ。

新車時代のAUTOCARの評価は

新しい1584ccエンジンは、以前より軽快に吹け上がる。動力性能は80km/h程度までは悪くないものの、そこから先は大きく鈍る。空冷フラット4エンジンが放つノイズは大きく、路上では周囲の人を振り向かせるほど。

シフトレバーは曖昧で、変速には少しの慣れが必要。ステアリングホイールやペダルの感触は緩く、バネが介在するようでもある。クラッチペダルは滑らかで、充分に軽い。


フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1967〜1979年)

ステアリングの正確性は良い。だが、横から吹く強い風に進路が乱されがちだ。(1968年2月1日)

オーナーの意見を聞いてみる

ジョン・コンスタブル氏

「メカニズム的には、フォルクスワーゲンT2は堅牢です。でもボディは錆びやすく、多くの修理と予算が必要かもしれません。パテで隠されていないか、確認する価値はありますね。養生したマグネットがボディにくっつくかで、ある程度確かめられます」


フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1967〜1979年)

「古いクルマですから、ボディパネルが平滑すぎる場合はパテ盛りされている可能性があります。新車でも、サイドパネルが波打っているのは珍しくありませんでした。購入する前にしっかり状態を確かめ、他の例と比較すると良いでしょう」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

多くのクラシックカーと同様に、始動性が悪い場合がある。コイル周辺など、電気系統に水分が含まれると不調を招きやすい。潤滑油を定期的に吹くことである程度防げる。

安定して回転しない場合は、ディストリビューターのポイント調整やキャップ交換などで改善することも多い。気温が高くなると、燃料パイプ内でガソリンが気化するベーパーロック現象が起きがち。充分にガソリンが供給されなくなり、パワーが落ちる。


フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1967〜1979年)

クランクシャフト・プーリーを前後に動かして、余分な遊びがないかも確認したい。過度に動く場合はベアリングの摩耗が疑われ、リビルドが必要になる。

アクセルとクラッチのワイヤーは伸びている例も少なくない。定期的な点検と、予防的な交換でトラブルを防げる。

トランスミッション

トランスミッション・ケースからフルード漏れしていないか確かめる。リア・クランクシャフト・シール部分は要注意。内部のベアリングからの異音もチェックポイント。

ブレーキ

T2は前後ともドラムブレーキだが、現代のモデルほど効くわけではない。ブレーキシューの固着を防ぐためにも、定期的なメンテナンスは欠かしたくない。

ボディ

この頃のフォルクスワーゲンは錆びやすい。基本的にどこでも錆びる。ホイールアーチや窓のエッジ、サイドシル、フロアやシャシーレールなど隅々まで確かめたい。浜辺で長時間過ごしてきた例は、海水の塩分で余計にサビが進む。

フロントシートの後方や、ルーフのガーター部分は錆びで穴が空くことも。窓ガラスを囲むラバーシールや、パネルが補修されている場合は、その状態も要確認。

知っておくべきこと

フォルクスワーゲン・タイプ2は、初期型のT1が1950年に登場。2分割のスプリット・フロントウインドウから、湾曲した1枚もののベイ・フロントウインドウへ刷新され、モダナイズされたT2は1967年に登場した。

1979年には、スタイリングにも大きく手が加えられたT3へバトンタッチしている。リアエンジン・レイアウトはT3までで、1990年のT4ではフロントエンジンへ変更された。


フォルクスワーゲン・タイプ2 T1(アーリーバス/1950〜1967年)

タイプ2の人気は高く、レストアされ復活を遂げる例も多い。インターネットを活用すれば、部品の入手も比較的容易。状態の良いスライド式サイドドアは、英国では約200ポンド(約3万円)で入手できる。フロントパネルも約250ポンド(約4万円)で探せる。

シートのリフレッシュには、800ポンド(約13万円)程度は必要。ただし、完璧を求めすぎると請求書の金額も膨らむ一方だ。

英国ではいくら払うべき?

5000ポンド(約80万円)〜9999ポンド(約160万円)

ボディ各部が錆びたフォルクスワーゲンT2を英国では探せる価格帯。溶接でパネル修理できる人なら、狙い目かもしれない。

1万ポンド(約161万円)〜1万9999ポンド(約321万円)

構造的に悪くないT2を探せる。ボディの錆は少なくなり、インテリアも部分的に補修されていることが多い。落胆させるようなトラブルの確率は減る。

2万ポンド(約322万円)〜2万9999ポンド(約482万円)


フォルクスワーゲン・タイプ2 T2(レイトバス/1973年)

ボディのサビが目立たず、塗装の状態も良いT2を英国では選べる価格帯。整備記録も一式残っている例が多いようだ。インテリアは良好なオリジナル状態を保っているか、適度にリフレッシュされている場合が殆ど。

3万ポンド(約483万円)以上

サビが見られない極上のT2なら、この価格帯から。エンジンは快調で、インテリアには清潔感があるはず。ここまで奮発するなら、妥協せずにベストな1台を選びたい。

英国で掘り出し物を発見

フォルクスワーゲン・タイプ2 T2 登録:1973年 走行距離:13万1000km 価格:1万7950ポンド(約289万円)

状態の良いT2のようだ。シャシーはしっかりしていて、ボディの錆も少ないという。車内には、真新しいベッドが敷かれている。ドアパネルや天井の内張り、フロントシートはオリジナルとのこと。