EV充電網、拡充への転機か ENECHANGEと「e-Mobility Power」が業務提携 メリットは?
EV充電のカードで、ENECHANGEを執筆:Ohto Yasuhiro(大音安弘)
6kWの普通充電器の充電サービスを提供する「ENECHANGE」は、2023年2月9日、日本最大の充電ネットワークを提供する「e-Mobility Power」との業務提携契約の締結を発表。
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都内にて、発表イベントを行い、ENECHANGEの城口洋平代表取締役CEOとe-Mobility Power四ツ柳尚子代表取締役社長が登壇した。

ENECHANGEの城口洋平代表取締役CEO(右)と、e-Mobility Power四ツ柳尚子代表取締役社長(左)
ENECHANGEは、2021年11月より「EV充電エネチェンジ」のサービス名称で、日本全国で6kW出力の普通充電器の設置を行っている。
施設向けに補助金の活用による負担ゼロで導入を可能としたプランなどを展開することで、2022年第4四半期までに、2475台を受注。今年第2四半期までには3000台の受注を目標に掲げるなど、独自の充電ネットワークの拡大を図っている。
現在は、利用者が同社の充電器を使用する際には、専用アプリのみとなっているが、今回の提携により、e-Mobility Powerが連携する充電カードで、ENECHANGEの普通充電器が利用できるようにすることが目的だ。
最大手であるe-Mobility Powerの充電ネットワークに、ENECHANGEの普通充電器が仲間入りすることには、一体どんなメリットがあるのだろうか?
まず、現在の日本の電気自動車用の充電ネットワークについて振り返りたい。
2030年に3万台の目標 現状は?
日本のEV充電インフラは、EVおよびPEHVユーザーの利便性を考慮し、自動車メーカーが主導することで、いずれかの充電カードを所有していれば、利用できる体制作りを行ってきた。
例えば、他社のディーラーでも愛車であるEVの急速充電が利用できるのも、その一例だ。

ENECHANGEの6kW普通充電器
その基礎を作り上げた日本充電ネットワーク(NCS)で利用できる急速および普通充電器には、目印として、「ゾウ(チャージスルゾウ)」のキャラクターが描かれたステッカーで判別することができた。
その事業を受け継いだのが、e-Mobility Powerなのだ。
日本の一般利用が可能な最大の充電ネットワークであり、そこにENECHANGEも加わることで、ユーザーの利便性を向上させることができるというわけだ。
さらにe-Mobility Powerは、自社でも充電設備の設置・運営も行っているが、それは高速道路やコンビニなどに設置する急速充電器に限定される。もちろん、EVインフラの基礎となる社会貢献として、利用頻度が少ない場所でも急速充電器の設置を行っており、今後も設置拡大し、政府が掲げる2030年に「急速充電器3万台設置」の実現を目指していきたいとしている。
しかし、設置費用が高額となるため、絶対的な数では普通充電器には敵わないのも事実だ。
そこでe-Mobility Powerでは、前NCSより、提携パートナーの急速・普通充電器にも加わってもらうことで、よりカバー率を高めてきた。
今までの普通充電器 直面する問題
ただ普通充電器の多くが、3kW出力な上、導入より8年を迎えると契約が満了し、更新問題が生じている。
単なる契約上のことだけでなく、内蔵する通信機が3G対応なことや機器の老朽化など、設備の一新が必要な状況でもある。

ENECHANGEが展開する「EV充電エネチェンジ」の直近の実績。
そのため、それぞれの事業者が、「継続か廃止の判断」を迫られるのが状況だ。
しかし、現時点での普通充電器の利用率は決して高いとはいえず、せっかく設置されたものが、廃止されるケースもある。そこで条件によってはコスト負担なしで、6kWの普通充電器が設置できるENECHANGEとのパートナーシップが、既存の普通充電器の維持に加え、充電ネットワーク拡大にも繋がると期待している。
ENECHANGEにとっても、提携のメリットは小さくない。
同社の充電器を施設側に売り込む際、様々な充電カードを所有するEVやPHEVの利用が期待でき、集客効果をアピールできるからだ。
現時点での設置予定台数は、全国で3000台と決して大きくはないが、城口CEOは、「政府が2030年に掲げる充電インフラの数は、普通充電器だけで12万台としている。逆算すると、年間1万台ペースの設置が必要となる。今後、年間5000台ペースで設置が行える体制にはあるので、日本の普通充電器インフラの半分を当社が担っていけるように進めていきたい」としている。
2社の提携 ユーザーのメリットは?
もちろん、使える充電器が増えるのだから、ユーザーメリットもしっかりとある。
いずれかの充電カードを所有していれば、そのままカードタッチ認証で利用が可能なだけでなく、追加のコスト負担もゼロだ。

2023年4月から、ENECHANGEの普通充電器を各種充電カードで利用できる予定だ。
それぞれの充電カードで利用時の追加コスト負担がなく、それぞれの契約プラン内となる点も嬉しいところ。
海外では、複数の会社が“独自”の充電ネットワークが構築され、そこが競争領域となっているが、日本では、“ユーザーの利便性を重視したネットワークづくり”を優先してきた。
e-Mobility Powerの四ツ柳代表取締役社長は、「ENECHANGEとの協力で、日本の充電ネットワークの利便性を高めていきたい。そのためには、成長期にある今、協力することが大切だと考えた。世界とは異なる“利用者中心”の充電ネットワークを作り上げていきたい」と提携への想いを語った。
ENECHANGEの普通充電器の各種充電カードでの利用は、2023年4月からを予定している。
EVやPHEVの購入者には、充電カードの加入が勧められるだけでなく、メーカーによる一定期間の無償サービスなどの提供もあるため、充電カードの保有率は高い。
ENECHANGEでは、提携パートナーとの協力により、宿泊施設・ゴルフ場などの設置も進めてきたいとしているので、同社の普通充電器の稼働率が高まることが予想される。
今回の提携は、充電器の拡大にも繋がる取り組みだけに、EVユーザーだけでなく、検討者にとっても吉報といえそうだ。
