市場調査企業・Counterpointがリリースしている市場分析レポート・Market Monitorが、2022年第4四半期(10〜12月)の全世界スマートフォン出荷台数データを公開しました。これによると全世界スマートフォン出荷台数は前年同期比で18%減の3億390万台となっています。

2022 Global Smartphone Shipments Lowest Since 2013; Apple Regained No. 1 Rank with Highest-Ever Operating Profit Share of 85%

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Market Monitorによると、世界のスマートフォン市場は2022年第4四半期も引き続き圧力を受けており、総出荷台数は前年同期比で18%減の3億390万台を記録しています。これは第4四半期のスマートフォン出荷台数としては2013年以来の低水準だそうです。これにより、2022年通年のスマートフォン出荷台数は12億2670万台となり、これも2013年以来最も少ない出荷台数となります。

以下は2021年第4四半期以降の四半期ごとのスマートフォン出荷台数をまとめたグラフ。2022年第4四半期のスマートフォン出荷台数トップ5社の出荷台数は前年同期比でAppleが14%減、Samsungが16%減、Xiaomiが26%減、OPPOが13%減、Vivoが20%減、その他が21%減となっており軒並み出荷台数を減らしています。



CounterpointのシニアアナリストであるHarmeet Singh Walia氏は、「2022年第4四半期のスマートフォン市場は生活費の危機、労働市場不足、消費者の購買力の低下により、スマートフォン出荷台数上位5社の出荷台数がそれぞれ大幅に減少しました」と述べています。

スマートフォンの出荷台数減少に伴い、世界のスマートフォン市場の売上高および営業利益も減少しています。主要なOEMによるハイエンドスマートフォンが増加したことで、2022年全体のスマートフォンの平均販売価格(ASP)は前年比で5%上昇しましたが、売上高は9%減少し4090億ドル(約53兆6600億円)を記録。スマートフォン市場の年間売上高としては2017年以来最も低い数字です。

以下はスマートフォン市場におけるAppleの出荷台数シェア(Shipment Share)、売上高シェア(Revenue Share)、営業利益シェア(Operating Profit Share)をまとめたグラフ。2022年時点でのAppleの出荷台数シェアは18%、売上高シェアは48%、営業利益シェア85%です。



Appleのスマートフォン市場における躍進について、Counterpointのリサーチディレクターであるジェフ・フィールドハック氏は「AppleのiPhone Proシリーズは好調を維持しており、Proシリーズの大部分を生産している中国河南省鄭州にある工場で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による一時閉鎖がなければ、iPhoneの出荷台数シェアはさらに高かった可能性があります」と述べました。

スマートフォン市場におけるハイエンド端末の需要増加について、Counterpointのリサーチディレクターであるタルン・パタック氏は「Samsungは2022年にスマートフォン出荷台数が前年比で5%減少し、営業利益も前年比で1%減少したにもかかわらず、Appleを除くトップ5社の中で唯一売上高が前年比で1%増加した企業でした。Samsungの主力スマートフォンのパフォーマンスは市場予測を上回りました。それにもかかわらず、スマートフォン市場全体よりも利益の減少が小さく、2022年の営業利益シェアはわずかに増加して12%となっています」と述べています。

なお、中国のスマートフォンメーカーは軒並み世界的な景気後退と地政学的な困難に直面することになったとCounterpoint。中国のスマートフォンメーカーは国内での新型コロナウイルスのパンデミックに伴うロックダウンに苦戦しており、その結果、Xiaomi、OPPO、Vivoといったメーカーのスマートフォン出荷台数は20%以上減少することとなりました。中国メーカーもハイエンド端末をリリースしているものの、AppleやSamsungと言ったメーカーと比べるとハイエンド端末市場で大きなシェアを獲得できていないとCounterpointは指摘しています。