『WIRED』日本版の会員サーヴィス「SZメンバーシップ」では、“特区(スペキュラティヴ・ゾーン=SZ)”の名のもとにスペキュラティヴ(思索/試作的)な実験を促すテーマが毎週設定され、次の10年を見通すインサイト(洞察)が詰まった選りすぐりのロングリード(長編)をお届けしている。

2021年12月に公開した会員向け記事のテーマは、「SPACE」「ENVIRONMENT」「THE WORLD IN 2022」だった。なかでも、2週にわたって特集した「THE WORLD IN 2022」では、雑誌『WIRED』日本版VOL.43の発売に伴い、本誌連動の特設サイトをオープン。「未来へ漕ぎ出すための必携キーワード」として、全10ジャンルから100本の記事を厳選した。そこには、デジタル革命とパンデミックを経て到来しつつある、新時代のパラダイムシフトを解き明かすための最新トレンドが散りばめられている。

「メタヴァースは本当にインターネットの未来なのか、今月注目のストーリー:SNEAK PEEKS at SZ MEMBERSHIP(2022年1月)」の写真・リンク付きの記事はこちら

1月のテーマは「METAVERSE」「CLIMATE CRISIS」「NFT」「Sci-Fi」。1週目の「METAVERSE」は、22年における最重要キーワードといっても過言ではない。メタヴァースがテック企業のマーケティングに利用された一過性のバズワードとして失速するのか、それともわたしたちが生きる日常の延長線上に存在するのか。22年は、その真価が問われる1年となるだろう。

1週目の記事では、メタヴァースがテック企業の語るようなインターネットの未来となる可能性について考える。結局のところ、メタヴァースとはVRなのか、ARなのか、ヴィデオゲームなのか。かつてのインターネットがそうであったように、いまのところ広義だけが独り歩きしていて、具体的な未来のヴィジョンはほとんど見えていない。メタのようなテック企業が打ち出すデモ映像も、まだ実現可能性の低い技術を織り交ぜることで未来像をごまかしていると指摘されている。

2週目のテーマは「CLIMATE CRISIS」。どれだけメタヴァースという新たな世界が広がり続けようと、人類が直面する地球温暖化や気候変動という現実から目を背けることはできない。22年も『WIRED』は、わたしたちが気候危機に対抗するためのアイデアやイノヴェイションに光を当てていく。今回特集するヒートアイランド現象は、地球の人口増加と都市化の進行に伴って、今後より深刻さを増すことが予想される。そうしたなか、建築物の緑化や道路の遮熱性塗装の有効性を専門家の視点から考察する。

3週目には、デジタルアートの高額売買を皮切りに一部でバブル経済を引き起こした「NFT」(非代替性トークン)を取り上げる。NFTは音楽や文章、動画、ヴィジュアルアートといったデジタル作品と所有者をブロックチェーン技術で結びつけることで、その所有権を売買できるようにする仕組みだ。21年における取引の急増によって多くの関心を集め、いまや所有という概念を拡張した存在といえる。

注目のストーリーでは、まだNFTという呼称が定着していなかった黎明期まで時間をさかのぼり、のちにNFTバブルの導火線となるCryptoPunksというプロジェクトの誕生秘話を紹介する。その始まりは、1万種類のユニークなキャラクターアイコンを実質無料で配布するという、ふたりのプログラマーによるささやかな実験だった。

そして4週目は「Sci-Fi」。『WIRED』は22年もSF推しだ。SFとは必ずしも予測可能な未来を描くために生み出された創造の器ではない。現在と断絶した世界観だからこそ描ける大胆かつ精緻な未来像も存在する。米国のSF作家ベッキー・チェンバースが織りなすホープパンクな世界観も、そのひとつなのかもしれない。今回のピックアップ記事では、ティータイムの安らぎと評される彼女独特の作風に触れる。

実際のところ、メタヴァースは本当にインターネットの未来なのか

メタヴァースについて語ることは、1970年代当時のインターネットの議論にある程度までは似ている。“メタヴァース”は何か特定のテクノロジーというより、人間とテクノロジーの関係の広範な変化を指している。だとしても、この未来のヴィジョンが「楽観的」から「完全なファンフィクション」の間のどこに位置するかは検討の余地があるだろう。(1月第1週に公開予定)TOLGART/GETTY IMAGES

深刻さを増すヒートアイランド現象を軽減するためにいまできること

世界中でヒートアイランド現象が深刻さを増している。農地や樹林地が豊富な郊外や地方と比べて、アスファルトやコンクリートで覆われた都市部の気温はいまや7度近くも高い。建築物の緑化や道路の遮熱性塗装は、どこまで有効なのか。(1月第2週に公開予定)FANG XIA NUO/GETTY IMAGES

NFTの黎明期を支えたプロジェクト、CryptoPunks誕生の軌跡

CryptoPunksは、非代替性トークン(NFT)という言葉が定着するきっかけになったプロジェクトのひとつだ。ブロックチェーンで生成された1万種類の顔画像を流通させる小さな実験は、のちにNFTバブルの導火線となる。(1月第3週に公開予定)OXYGEN/GETTY IMAGES

SF作家ベッキー・チェンバースが織りなす希望と安らぎの世界観

ディストピアを暴力的に描くグリムダークというサブジャンルと対をなすものとして、近年ホープパンクというサブジャンルが提唱された。SF作家ベッキー・チェンバースが織りなす世界観は、ハーブティーのごとく読み手を癒やしてくれる。(1月第4週に公開予定) EMILIJA RANDJELOVIC/GETTY IMAGES

このほかにも、SZメンバーシップでは選りすぐりのテーマについて編集部メンバーからゲストに公開インタヴューするオンラインイヴェント「Thursday Editor’s Lounge」を毎週木曜に開催している。12月は以下のふたつのイヴェントを実施。魅力的なゲストが毎週登場し、リアルタイムで寄せられた参加者からの質問にも回答しながら、多角的な思考で議題を掘り下げていった。

1.「人類学」と「ビジネス」は、いかにして交わるのか?
ゲスト:比嘉夏子(人類学者/博士)
いまビジネスの現場で人類学的アプローチが注目されている。人類学者としてさまざまな企業との共同研究やプロジェクトを手がけてきた比嘉夏子に、人類学とビジネスの交差点について話を訊いた。

2.2022年「未来へ漕ぎ出すための必携キーワード」
ゲスト:伊藤直樹(『WIRED』日本版クリエイティヴディレクター)
全10ジャンルにわたり2022年の最新トレンドを見通す『WIRED』の人気特集号「THE WORLD IN 2022」が発売された。最新号の読みどころを、編集長の松島倫明とクリエイティヴディレクターの伊藤直樹が徹底解題した。

1月の「SZメンバーシップ」も、ぜひお楽しみいただきたい。

※掲載予定の記事タイトルや内容は、予告なく変更される可能性があります。

お知らせ:Thursday Editor's Lounge
1月20日(木)のテーマは「共助とコモンズ:地域を開くネイバーフッド経済圏のつくりかた」。ゲストは古田秘馬(プロジェクトデザイナー/umari代表)。現代の高度資本主義社会において再びコモンズを実装するなら、鍵となるのは「共助」の実装だ。それは自助や公助に並ぶ社会保障という枠を超え、地域の共有資源である人々の関係資本や文化資本、自然資本をも掘り起こすことで地域の事業者自身でその地域の事業を生み出すことでもある。URASHIMA VILLAGEやSAAI Wonder Working Communityのプロジェクトデザインを手掛ける古田に、都市や地域で共助を生み出す実践について訊く。詳細はこちら。