黒木華、しっかり者の弟は「今はとても心強い味方」:僕の姉ちゃん

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かわいい女性に「白井君みたいな人、憧れる」と言われニヤける弟に、「『白井君"に"憧れる』と同じじゃないからね」とズバッと言い放つ姉ちゃん! その通りです! ユーモラスで辛辣な"姉ちゃん"白井ちはると、素朴で素直な弟・順平の二人暮らしを描いた益田ミリの人気漫画を、黒木華×杉野遥亮でドラマ化。「僕の姉ちゃん」がAmazon Prime Videoにて全10話一挙配信中(※テレビ東京では2022年放送予定)。姉ちゃんの鋭い観察眼と考察力によるぶっちゃけトークは、思わず膝を打つこと間違いなし!

"姉ちゃん"にも通じる鋭くも柔らかい、唯一無二の存在感を放つ黒木華さんにインタビュー。実際に弟がいる"姉ちゃん"でもある黒木さんの素顔に迫ります。

黒木華はどんな"姉ちゃん"?



――益田ミリさんの同名コミックが原作ですが、読んでみてのご感想は?

「"姉ちゃん"が発する言葉、順平がそれを受けて感じることなど、言葉のセンスが素晴らしいですね。きっと益田さんご自身がたくさんのことを感じ経験されているからかなと感じました」

――演じてみて、"姉ちゃん"こと"ちはる"はどのような人物でしたか?

「弟がいること、食べる事にちょっとしたこだわりを持っているところは自分と似ていると思いました。が、私はあんなにセンスあるワードを選べません(笑)。姉ちゃんは、みんなが言葉にできないことをズバッと言葉にしてくれるんです。

姉ちゃんらしさを表していると感じたのが、『3Dプリンターがあったら、何コピーしたい?』という質問に『地面。繋げて地球』と答える場面。枠から飛び出る壮大な発想がステキだし、地に足がついてるからこその枠の超え方だと思いました。

悩める弟を励ます『あんたのいいところは友達が知ってるから、自分自身が知らなくてもいいんじゃない』という言葉も好きです。すごくうれしく安心できて、みんなが楽になる言葉。とても共感できたし、こういう言葉をさらっと言えてしまう姉ちゃんに不思議な魅力を感じました」

――男性との何気ない会話にみせかけて「アイロンかけながら」などのワードを入れ込むことで家庭的なところをアピールする女子の話など、姉ちゃんの考察には「そうそう!」と共感してしまいます。黒木さんは人を観察したり考察されたりしますか?

「姉ちゃんの考察は、どれも『わかる、わかる!』って思いますよね。"自分が上司に気を使ってる間に、野暮ったさを武器にイケメンの隣りにいつも座ってる女がいる"話など (笑)。

私は考察といえるほどではないですが、仕事上"こういう方がいるんだ""こういう考え方があるんだ"というのはすごく見ている気がします。なんとなく"こういう傾向にあるな"という法則は考えたりもしますが、当然当てはまらない人もいるし、その当てはまらない人がいることが面白いと感じます」


――弟・順平役の杉野遥亮さんとの"姉弟感"はいかがでしたか?

「撮影当初は役柄や空気感をつかむのが難しいとおっしゃっていましたが、私にはそんな風には見えず自然な感じがしました。打ち解けてからは姉ちゃんの言動に素直に返してくださって、本当に順平がそこにいるような感覚があり楽しかったです。素直で真面目な方ですが、時々見せるやんちゃさや面白い部分がステキだと思いました」

――黒木さんと実際の弟さんとの関係はどのような感じですか?

「まさに姉ちゃんと順平のような感じです(笑)。私の話を弟が『はいはい』と聞いてくれている、あの姉弟ならではの空気感は同じですね。私は姉ちゃんのような格言的なことは言えないですが、弟と順平の佇まいは似ています。うちは弟の方がしっかりしているので、逆に私が助けられることも多いんです。悩んでいる時に『大丈夫じゃない?』と言ってくれる力強さもあり、弟がいてよかったなと思うことは多々あります」

――姉ちゃんと順平のやりとりの中に、"姉弟あるある"だなと思う言動はありますか?

「順平が他のことをしようとしているのに、姉ちゃんがしつこく話しかけたことで『なんかあった?』と戻って来てくれる感じは"あるある"だなと感じました(笑)。姉弟は、力関係もあって弟がめちゃくちゃ優しくなるのというのは"あるある"かなと思います」

――弟さんにとって自分はどんな"姉ちゃん"だと思いますか?

「『変なやつだな』と思われているかもしれません(笑)。ただ、私はすごく感謝しています。小さい頃はそれほど仲良しではなかったですが、大人になってお互い腹を割って色々な話が出来るようになり、今はとても心強い味方だと思っています」



青春を思い出す言葉



――姉ちゃんの「イケメンと付き合った過去は、青春を振り返る小道具みたいなもん」というセリフには「その通り!」とうなずいてしまいました(笑)。黒木さんにとって"青春"を思い出すものは?

「高校時代に打ち込んでいた"演劇"が、まさに青春そのものですね。今でも"演劇部"というワードを見たり聞いたりすると、活動場所だった体育館の緞帳裏の狭い空間や、薄暗くてカビっぽい感じを思い出します。辛かったことも多々ありましたが、そのおかげで今もこうしてお芝居を好きでいられて、当時の友人とも付き合いが続いているので、いい思い出です」

――もうひとつ姉ちゃんと順平のやり取りから。順平に「人生やり直したいことなさそう」と言われた姉ちゃんが「そんなことない。いつでも30分前をやり直せるといいわな」と答え、なるほどと思いました(笑)。黒木さんは「30分前からやり直せたら」と思うことはありますか?

「『食べ過ぎた!』という時です(笑)。なんでこんなにお腹いっぱいになるまで食べちゃったんだろう......と反省することがあるので、30分前に戻って節制したくなります」

――昨年末「2021年は自分ファーストな1年にしたい」とおっしゃっていましたが、実現できた年になりましたか?

「はい。またご一緒したいと思っていた演出家の方とお芝居ができました。コロナ禍で今年も自由とはいえない状況ではありますが、その中でも少しずつ舞台や映画を観られるようになってきたこともうれしいですし、この環境下だからこそ無理をせずに生活できているのはいいことなのかな、と感じます。もちろん友達と自由に会ったり、食事に行きたいという気持ちもありますが、それはこの状況が落ち着いてからの楽しみとしてとっておきます」


【プロフィール】
黒木華(くろき・はる)
1990年3月14日生まれ。大阪府出身。2010年、NODA・MAP番外公演「表に出ろいっ!」でデビュー。映画「小さいおうち」(2014年)で、第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を日本人最年少で受賞の他、「母と暮せば」(2016年)、「浅田家!」(2020年)などで数々の映画賞を受賞。ドラマ「重版出来!」、「凪のお暇」(ともにTBS系)、「みをつくし料理帖」(NHK)などで主演を務め、舞台「DISCOVER WORLD THEATRE vol.11『ウェンディ&ピーターパン』」(2021年)などでも活躍。今後の待機作に、映画「ノイズ」(2022年1月28日(金)公開)、舞台「もはやしずか」(2022年4月上演)がある。

ドラマ「僕の姉ちゃん」は、Amazon Prime Videoにて全話一挙先行配信中!(※テレビ東京では2022年放送予定)
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あらすじ
ユーモラスで辛辣な姉・白井ちはる(黒木華)と、姉に翻弄されるが素直に話を聞いてくれる弟・白井順平(杉野遥亮)は、両親不在のつかの間、二人暮らしをしている。
仕事を終え帰宅した部屋で、お酒を飲み、それぞれ好きなものを食べながら、恋・仕事・趣味・人生にまつわる会話を繰り広げる。姉弟だからこそのぶっちゃけトークで炸裂する"姉ちゃんの本音"は、一見ひねくれていて意地悪なように聞こえるが、実はしごく真っ当で、順平は妙に納得してしまう。

(撮影/uufoy 取材・文/伏見香織)