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相撲がコロナに飽きてきてる説!

本日はお出掛けの記録です。今回向かいましたのは大相撲五月場所千秋楽の観戦です。緊急事態宣言の最中ではありますが、気がついたときにはすでにチケットを持っていたということもあり、「やはり僕が支えてやらねばなるまい…」とむしろ勇んで出掛けた次第。まぁ、改めて当日の状況を鑑みると「ラグビーだったな」「福岡堅樹の引退試合のほうだった」「あーーーー!」とは思いましたが、まぁこれも巡り合わせです。福岡さんには遠く国技館から労いを飛ばします。

↓こっちに来ちゃった。


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入場口は普段の千秋楽よりも閑散としています。まだチケット販売中の緊急事態宣言ということで、売り逃しもあったでしょうか。前後の人もなく入場は流れるようにスムーズです。あまりにスムーズすぎて「カメラによる顔認証タイプの体温計」を僕が見てもいない段階から「こちらへどうぞー」と館内に通されたほど。「すごい反応がいいヤツなんだよな?」「見た感じ大丈夫そうなら体温計は見ない、とかじゃないよな?」「万一見てなくても、問題があれば音が鳴るんだよな?」という質問はグッと飲み込みます。もしコレを聞いて「あー、これ今壊れてるんすわ」という回答が来たら話し合いが長くなりそうなので…。

少し前までは小分けの消毒液をくれたり、係員がみなフェイスガードをつけていたり、チケット半券の裏面に連絡先を書かされたりしたものですが、だんだんそれも面倒臭くなってきた模様。ついには、運営がときめく「やめちゃおう」の魔法によって、手荷物検査もなくなりました。コロナ禍用のチェックはいつか止める時が来るとしても、手荷物の検査は人類がテロを止めるその日まで一応キープしておいたほうがいいんじゃないかと思いますが、大相撲は思い切ってやめてみました。まぁ、見た感じテロっぽくない人は大体テロじゃない、という意見には僕もおおむね賛成です。人生で「例外」に遭遇しないことを祈るばかりです。

↓なんかこの間まで力士の写真とか飾っていた消毒液も、広告がくっつくようになった!


カレーとハヤシとちゃんこの広告の裏に「糖質と脂質の摂り過ぎ注意」って注意書きがあるのは自己批判かな?

それともどっちかがどっちかの嫌味なのかな?


館内を散策しているとさらに「飽きてきとるなー」の光景に遭遇します。公式グッズを売る売店に立ち寄ると、何と元・琴奨菊の秀ノ山親方が売り子をしているではありませんか。親方が売り子をすること自体は国技館では特に珍しい光景でもありませんが、ちょっと前まで大関だった人が売り子をやるとは、なかなかに攻めた営業です。「琴奨菊にファンが殺到することはナイ説を採用かな?」「実際問題、殺到してなかったしな」「新米親方はこういう下働きを経験すべきではある」と揺れ動く僕の胸中。

最終的には僕も「ま、琴奨菊が売っているからと言って、いらないものを買うほどではない」と結論付けたので今回はスルーしますが、これが稀勢の里だったら大変なことになりますので、十分に注意をしてもらいたいところです。稀勢の里が売り子をやる場合は商品を倍仕入れておけ……じゃなくて、待機列などをちゃんと作るように仕切って、よしんば熱烈なファンが殺到しても安心安全に販売ができるようにしていただきたいところです。

↓琴奨菊には殺到しませんが、相手によってはわかりませんからね!


そんななかで安堵したのは、飲食に関しては引きつづきしっかりと対策を取られていたこと。場内での食事はもちろん禁止ですし、ちゃんこなどを食べるのも指定の飲食スペースに限られています。今回も国技館名物のちゃんこをいただきましたが、日差しを浴びるオープンエアーの飲食スペースで食べるちゃんこは格別の美味しさでした。家で作っても絶対にこうはならないというコクと、あとを引く深い旨味。これを食べるためにここにきた、という気持ちにさえなります。

相撲観戦というのはマス席という名の宴会場で飲んで食って騒いでというのが醍醐味だっただけに、ちゃんこのふるまいも存分にできない状況というのは忸怩たる思いがあることでしょう。「え?食い物以外でどんなおもてなしをすればいいんですか?」くらいの迷いもあるかもしれません。しかし、飲食が一番の急所と見られるなかで、大相撲もしっかりそこを抑えているのは幸いです。なんとかそこは飽きずに頑張ってもらいたいなと思います。ポロリポロリと「飽きてきとるなー」という行動が散見され、大関朝乃山のキャバクラ巡業なども報じられた今場所ですが、ここでもうひと踏ん張りの粘りを期待したいものです!

↓日差しを浴びながら換気100%の屋外でちゃんこをいただきました!



↓日本相撲協会は「安心・安全な大相撲観戦」のため、感染防止対策に全力で取り組んでいます!



↓大関陣からも感染防止対策へのご協力をお願いします!


もうすぐ2人になりますが、頑張って大相撲を支えていきます!

大関陣からのお願いでした!



さて、幕内の取組が始まり、普段なら土俵に集中している頃も引きつづき散策をつづけていると、またも珍しい光景が。「毎回やっているのだろうが、あえて見に来たことはなかった」天皇賜杯ほかのトロフィー類を展示ケースから運び出していく場面に遭遇したのです。改めて見ると雑というか、「よっこらせ、どっこいせ」くらいのノリで運び出されていくトロフィーたちの扱いは極めてカジュアルです。もちろん落としたり投げたりはしませんが、「万が一手が滑ったらしゃーない」という割り切りは垣間見えます。なにせ、わりと大きいヤツでもひとりで持ってひとりで運ぶのですから。ひとりが手を滑らせたら即座にドンガラガッシャーンです。

とりわけ目を引いたのは大人気のマカロンを副賞に据えた日仏友好杯です。副賞のマカロン(の模型)を友好杯のカップにポーンと入れまして、遠目に見たら銀皿に載ったハンバーガーみたいな感じで運んでいきよります。表彰式で渡すときは、呼出しがそんきょしてマカロンを掲げていたりもしますが、普段はこの感じの扱いなら、表彰式でもカップにマカロンをポーンと入れて渡してもいいんじゃないかという気もします。あまりにもおさまりがよく、完全にハンバーガーの皿でしたから!

↓皿に載ったハンバーガーみたいですが、これが日仏友好杯と副賞のマカロンです!


↓トロフィートレインが出発!


↓そしてトロフィーはいなくなった…!


散策も終えていよいよ土俵に集中です(←ここまで散策ばかりで全然集中してない)。今場所の主役はやはり大関に復帰した照ノ富士です。序盤から順調に白星を重ね、もっと早い段階で照ノ富士が優勝を決めそうな雰囲気もありましたが、11日目にはマゲに手がかかったとしての反則負けがあり(※これは致し方なし)、14日目には遠藤との死に体同士の投げの打ち合いから行司軍配差し違えによる負けがあり(※これもその通り)、優勝争いは千秋楽までもつれました。

どちらも「その通り」な判定ではあるのですが、「惜しい」とか「損した」という気持ちになりやすい負け方でもありました。特にマゲのほうはまったく勝負に影響しない「事故」のようなものでした。その意味では、もつれたこと自体への苛立ちもあるのかなと思っていました。しかし、照ノ富士は落ち着いていました。「ハッ!」と気迫を発する場面こそありますが、焦りや苛立ちはまったくなく、静かに本割の土俵を迎えます。

本割の土俵では優勝を争う貴景勝が、強く当たってからの引き技でまずは先勝。ただ、これで優勝の行方は大きく照ノ富士に傾きました。2番つづけて勝たねばならない貴景勝は負けられないがゆえに、本割のほうで引き技を使ってしまった。もともと突き押しの相撲で「組んだら大したことはない」貴景勝ですので、押して勝つか引いて勝つかの二択しかありませんが、ストレートとフォークのどっちが来るかみたいな話で、どっちが来るかわからないから相手も難しいのです。強く当たれば引き技を喰うかもしれないし、中途半端になれば一気に押し出されるかもしれない、そういう迷いが相手を困らせるのです。

それが本割で引き技を出してしまえば、まずもって2回連続はありませんので、次は素直に当たっていくしかない。素直に当たってくるしかないのなら、立ち会いの勢いさえ止めてしまえばあとはどうとでもなる。休憩を挟んでの優勝決定戦、案の定貴景勝は素直に当たりに行き、照ノ富士はそれを突き放して勢いを止めました。これでほぼ勝負アリか。あとは「もうひと当たり」を狙って貴景勝が突っ込めるかどうかでしたが、最後はその突進を闘牛士のように照ノ富士がかわして貴景勝はバッタリ。優勝決定戦での負けがつづき、決定戦に弱いという話も出ていた照ノ富士ですが、決定戦を制し、大関として初の優勝を決めました!

↓リードしているほうが強い、追いついて勝つのは難しい、そういう決定戦でした!


突き押し一辺倒の貴景勝だから、という側面は否めませんが、それを割り引いても照ノ富士は強かったし、強くなったなと思います。ギラついていた一度目の大関時代のほうが身体や技は万全だったかもしれません。ただ、今場所のような不運に見舞われるなかで、それをも受け止め、自分にできることを粛々と積み上げるような振る舞いは果たしてできただろうかと思います。

優勝後のインタビューではいつもと同じ言葉を繰り返すように「一日一番」と語った照ノ富士ですが、怪我や大きな苦境を乗り越えるなかで、日々の一瞬を大切に過ごし、過ぎたことや先のことに囚われないという、一種の悟りのような境地に至ったでしょうか。あれほど横綱への野心を隠さなかった男が「なろうと思ってなれるものではない」と綱への関心を平常心で受け流すというのも、新たな照ノ富士の強さなのかなと感じました。

それは横綱として土俵をつとめるのにも必要な強さだろうと思います。横綱には終わりがありません。いくつ勝ったら横綱で、どうなったら合格で、という基準はありません。「品格力量抜群」という答えのない目標に向かって自分を高めていく途中に、人々から横綱と認められる時が来るというだけのこと。なったら終わりというものではなく、むしろ横綱となったあと「この先は何を目指せばいいんだ」という始まりが来るのです。

今の照ノ富士ならば綱の重みも受け止められる、そう思います。身体は相変わらず厳しく、年齢とともにどこかで限界は来るかもしれませんが、そのときまで自分を高め、横綱とは何かを探っていってほしいもの。個人的にはもう上げてしまっても…とは思いますが、厳しい目と試練のなかで上がってこそ照ノ富士らしい綱取りでもあるでしょう。優勝次点などではなく、スッキリと三場所連続優勝で決めてほしいもの。最近、いつ行っても横綱がいないので、早く誰か昇進してほしいです!

↓師匠の伊勢ヶ濱親方から優勝旗をいただきました!


↓マカロンは皿と別々でいただきました!


さっきまで皿に乗ってたのに!

いっぺんに渡してもらっても大丈夫です!



名古屋場所で綱取りを決めてもらい、九月の国技館で土俵入りを待ちます!