7月3日、韓国で元慰安婦を支援する「和解・癒やし財団」が解散された。この財団は2015年、当時の朴槿恵政権と安倍政権が締結した「日韓合意」に基づき設立された。日本政府はそこへ10億円以上を拠出し、生存が確認された7割以上の元慰安婦たちに現金が支給された。

【写真】慰安婦問題の“真実”を語る櫻井よしこ氏

 にもかかわらず、文在寅政権は再検証を行った上、「この合意には法的な根拠がない」と結論づけた。つまり、韓国は国家間で結ばれた公式の約束をひっくり返したというわけだ。


韓国の文在寅大統領 ©AFLO

「慰安所で働く女性の多くは日本人でした」

 慰安婦問題は、長く日韓両国の外交課題になってきた。韓国が国際社会に向けて大々的に慰安婦問題をPRしてきた結果、現在は韓国人慰安婦ばかりに注目が集まっている。しかし、ジャーナリストの櫻井よしこ氏は「日本人慰安婦の存在も忘れてはなりません」と指摘する。

「あまり語られていませんが、慰安所で働く女性の多くは、朝鮮の女性ではなく日本人でした。現代史家の秦郁彦氏は、直接、日本人の元慰安婦を取材したことがあるそうです。その方は、慰安婦時代に貯めたお金を元手に、戦後商売を始め、成功を収めました。被害者がましいことは何一つ言わず、私はとても素晴らしい人生を送りましたと話したそうです」

 さらに、櫻井氏はシベリア、満州で諜報員として活動した陸軍少佐の石光真清と、日本人慰安婦のあるエピソードを明かした。

命がけで諜報活動を手伝った日本人慰安婦

「真清は、自著のなかで慰安婦とも思われる日本人女性との交流を明かしています。石光はある時、満州でその日本人女性と出会います。その後、女性は命がけで石光の諜報活動を手伝うことになりました」

 石光は彼女を日本に帰国させる際、「真面目なお百姓さんと結婚しろ。良い家庭が築けたら一度だけ葉書を送ってくれ」と、大金を渡したという。

「彼女は、実際に真面目な農家の人と結婚して家庭を築き、石光に無事を伝える葉書を送ってきたということです。これらの事例を一般論に敷衍することは、勿論、できません。しかしこのような女性もいたことは知っておきたいと思います」

 現在発売中の「文藝春秋」9月号に掲載した櫻井氏の論考「慰安婦『贖罪』が韓国に利用された」では、日本人慰安婦の存在に加えて、慰安婦が「強制連行された性奴隷」というイメージを国際社会に流布させた日本人活動家や日本メディアの責任についても詳述している。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年9月号)