ロシアのウクライナ侵攻による被害は、日に日に深刻さを増している。先月24日にウラジミール・プーチン大統領が特別軍事活動を承認し、軍事作戦が本格化。以来、民間人を含む犠牲者は増え続けるばかりだ。

「政治とは切り離すべき」と言われるスポーツ界にも、多大なる影響が出ている。各界でロシアと彼らを支援するベラルーシを排除する動きが加速。今月1日にサッカー界ではFIFA(国際サッカー連盟)とUEFA(欧州サッカー連盟)が、早々に国際大会からの締め出しを決定した。

 FIFAとUEFAが率先し、軍事行為に及んだ大国へ断固たる決意を示した。だが、サッカー界には、ウクライナだけではない深刻な国際情勢を憂う選手もいる。スペイン代表DFのエクトル・ベジェリンだ。

 昨夏にアーセナルからベティスに移籍し、今シーズンも精力的にプレーを続けている27歳は、スペインのYouTubeチャンネル『La Media Inglesa』のインタビューで「この戦争に、みんながどんな関心を持っているかを見ると、かなり厳しい声が上がっているようだ。だけど、まったく気にされてもいない他の戦争があることを忘れてはいけない」と語った。

「経済的、あるいは難民の状況によって、各国で影響があるからなのかどうかはわからない。だけど、パレスチナでの戦争については沈黙している。誰もそれについて話そうとすらしない。パレスチナ、イエメン、イラクでも戦争が日々起こっているのにね。いま、僕らはロシアだけをワールドカップでプレーするかどうかを断じている。だけど、彼ら(ロシア)がやっていることは、他の国々も長年やってきたことなんだ」
 
 さらに「他の戦争に目を瞑って(ロシアだけを)批判する立場にあるなら、人種差別主義者だよ」とキッパリと言い放ったベジェリンは、こう続けた。

「そういう考えは、多くの戦争によって、失われた命の数に対する共感の欠如だ。結局、僕らは自分たちの近くにいる人々を優先しているんだよ」

 世界各国へ目を向けるべきだと訴えたベジェリン。彼の声は、サッカー界にどう響くだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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