アイドルからダンスインストラクターに 元ribbon松野有里巳が約20年ぶりの復帰
1989年に「ribbon」として佐藤愛子、永作博美と3人組でデビュー、90年代前半を代表するアイドルだった松野有里巳。現在はスポーツインストラクターとして活躍しており、今月14日には「松野有里巳のアゲアゲダンス」という初のエクササイズ本を出版するという。アイドルからインストラクターになるまでに何があったのか、当時の思い出とともに話を聞いた。
−芸能界での仕事は久しぶりですか?
松野有里巳(以下、松野):「松野有里巳」としての活動は、20年ぶりぐらいになります。演劇の舞台には2007年に立ったのが最後。本を出すのはribbonの写真集以来ですね(笑)
−ribbonって、解散したイメージがないのですが
松野:実は、解散してないんです。1995年までグループとして活動していたのですが、個人個人の仕事が少しづつ増えていって、自分なりにも考える時間が少しずつできてきて。
だんだん世の中が求めている事と、自分がやりたいことのギャップが見えてきて、1回自分を「休ませてあげよう」って思ったのが20歳を過ぎたころでした。
16歳で飛び込んだ世界だったので、立ち止まって自分を客観的に見たときに、少し自信がなかった部分があって。
普通の女子高生が、あるとき突然TVに出て世界が変わってしまって、ずっと突っ走って来たけど、個人の仕事になったときに、自分の薄っぺらさを感じたというか、もう少し勉強する時間と振り返る時間が欲しくなったんです。
事務所に少しお休みをしたいと話をしまして、当時若いながらにそんなわがままを言って申し訳なかったんですけれども、そのままribbonは解散せずに、それぞれ個人の考え方を尊重してくれて。私は少し最前線から引いたって感じですかね。
−当時メンバーの佐藤愛子さんは「笑っていいとも」のレギュラーで、永作博美さんはドラマやソロシンガーをやられている時期ですよね。ribbonって仲悪かったんですか?
松野:ぜんぜんいいですよ(笑)、ribbonちゃんはホントに仲良かったと思います。あ、でも、今のほうが仲いいかも。
−今も交流があるんですか?
ありますあります。
−永作さんは女優として活躍中ですが、佐藤さんもお元気ですか?
松野:はい、(佐藤)愛ちゃんも元気です!
だいたい集まるときは、メールで一斉に永作が声かけてくれます。何事もなかったように「集まるよ!いついつ空いてる?」って。当時からここぞ!という時は永作がきちっとまとめてくれるんです。
−その後、ユニット活動をしたり、演劇の舞台に立ったりした後、芸能界を引退。引退しようと思ったきっかけは?
松野:普通の専業主婦をやりたいと思ったのが正直なところなんですけど、料理を作るのが毎日楽しくて。25歳で結婚して、専業主婦になりました。
−そこからダンスのインストラクターになります。いったい何があったんですか?
松野:話せば長くなるんですが(笑)、25歳で結婚してなかなか子供も授からなかったんですけど、29歳くらいのときに、そろそろ運動しないとダメだなって感じて、スポーツジムに入りました。結婚してからは料理して、ワイドショー見て、おせんべい食べてって生活だったので、太ってきてしまって。
最初は黙々と走ったり、自転車をこいでたりしてたんですが、途中で引越しをしまして、ジムが変わったんですね。その引っ越し先のジムが、ちょっと駅から離れた、地元密着の所だったんです。そうすると、ジムにご近所の方しかいないので、サウナとかで仲良くなってくるんですよ。
ジムの後にみんなでご飯を食べに行ったり、だんだんと付き合いが深くなっていったんです。そうしていくと、あるときから部活動みたいになってきて、ジムも休めなくなってしまって、週5でみっちり通いました。そこでスポーツをすることと、汗を流しておいしいものを食べる喜びを教えてもらいました。
そのジムの仲間が、私が元アイドルだという事を知っていても言わなかったりとか、それぞれが心に傷を負っていても、暗黙の了解でそれは聞かなくても分かってくれる居心地のよさみたいなものというか、やさしさを感じて。
アイドル時代、芸能界以外の方と触れ合うことがあまりなかったので、ジムで初めて仲間ができたときに、自分の心がスッと軽くなって。すごく助けていただいたんです。本のあとがきにも書かせていただいたんですけど、その仲間たちがいたから、このダンスプログラムも誕生することができました。
−インストラクターになったのは、それから6年後の35歳ということですが。
松野:一番最初のきっかけは、スカウトだったんです。インストラクターを育てていた先生が、私の"ふくらはぎ"を見て、「そのふくらはぎは、結構運動できるでしょ…インストラクターやってみない?」と誘われたんです。
−競馬のパドックみたいですね
松野:(笑)その先生も私が元アイドルとは知らなくて、本当に「ふくらはぎ」に一目ぼれしていただいて、スカウトされました。5年間くらいジムに通い詰めていると、レッスンを受けてるときに「自分ならこうしたい」というイメージがあったんですよ。なので、「やってみるか!」と決心しまして。
そこから資格を取るために半年間学校に通いました。35歳の自分に試練を与えるいい機会でしたね。学校はすごく厳しかったです。インストラクターは体と、脳と、口と、全部別のことをやらなくてはいけないので、その訓練をしました。体の構造も全部覚えなくてはいけないし、半年で合格するには難しい試験なんです。その時はとにかくがむしゃらに頑張って、無事合格することができました。
−ご主人は反対したりしなかったんですか?
松野:「やってみな!」と言ってくれました。夫は35歳にして「怒られる」って経験はなかなか出来ないからといい経験だと背中を押してくれて。実は、その半年前に夫もインストラクターの資格を取っていたんですよ。
−ご主人、ミュージシャンでしたよね?(元バナナギャングスの高橋剛さん)
松野:実は、スポーツジムジムでインストラクターもやっているんです。
−音楽一家だと思っていましたが、体育会系なんですね
松野:2人ともダンスが大好きで、私と主人が出会ったのも、ダンスレッスンだったんですよ。
−インストラクターになって、健康や美に対する考え方に変化はありましたか?
松野:インストラクターはお客さんにとって憧れの存在でなくてはいけないと思います。美に関しては5分で汗だくなんで、顔はいいとして(笑)スタイルや服装には気を配りますね。
自分の健康だけではなく、レッスンでは気分が悪くなったり、ケガをしたりしたときの対応も出来なくてはいけませんし、息が上がってる人を見つけたら、プログラムを柔軟に変えてペース調整もします。常にスタジオ全員の顔色や健康状態に目を光らせています。
−人に教えるというのは大変ですか?
松野:2008年にインストラクターデビューして、やっと5年目です。初めてのレッスンは今までに味わったことのない緊張感でした。前日は眠れないし、足はガクガクするし。自分が何を言っているのか分からないくらい緊張してました。
−大きな会場でコンサートをやったり、TVで歌っていたのにですか?
松野:ぜんっぜん別ですね。今まで甘いところにいさせてもらったんだなあっていうか、お客さんとの距離も近いし、皆さんに満足していただくにはどうしたらいいのかって。3ヶ月くらいは、毎朝3〜4時間練習してからレッスンに行くような日々でした。
その後、エアロビクスだけでなく、ヨガやピラティス、フラダンスと、講師の資格を増やし、いろんな授業を持つようになって。
エアロビクスは初級者、初中級者、上級者とクラスが分かれているんですが、その中で、自分らしさを少しずつ出せるようになってきて、ダンスに遊びでアイドルっぽい振り付けを入れてみたんですね。
普段しないアイドルポーズって、恥ずかしがりながらも意外と楽んでやってもらえて、そんなお客様を見たときに、「これだ!」って思いました。「だって私、元アイドルだもん」って吹っ切れちゃったというか。
それから私の振り付けにはアイドル的な手振りが多くなりました。照れるのは最初だけで、AKB48さんやモーニング娘。さんみたいな動きを楽しんでやってくださってます。
私のオリジナルプログラムに求められている事がもう一つありまして、それは「汗をかきたい」というご要望です。お客様から「ありみさんのレッスンって、なんでこんなに汗をかくの?」って2年目くらいから言われるようになってきて、そこから私のレッスンには汗をかきたい方たちと、笑顔になりたい方たちが、じょじょに集まってくれるようになりました。それが今回の本に出てくるダンスの基礎ですね。
−今回、本を出版しようと思われたのはなぜですか?
松野:レッスンに参加していただいた方に声をかけてもらったのがきっかけです。旦那様が出版社にお勤めの方がいて、「今日のインストラクターすごく面白かった」って話をしていただいたらしいんですよ。で、たまたまその週のFLASHに私が1ページ出ていて、(http://ameblo.jp/arimin55/entry-11251385421.html)。それを旦那さんが偶然にも読んでいて、興味を持ってくれたみたいで。ご縁ですね。
−この「AgeAgeDance」はどんな本ですか?
松野:未経験、初心者の方でも、本に付属しているDVDを見ながら5分ですぐにできるステップから始まって、曲に合わせて踊ってもらえるプログラムになっています。
3曲、60分のDVDでだんだん難しくなっていくので、初心者から上級者まで、自分のレベルに合わせて楽しんでもらえると思います。
−5分で出来るんですか!?
松野:5分というのは完成系を踊るときの所要時間で、完成系の5分にいくまでに20分かけてダンスの動作を分解して、1個1個の動きをやっていきます。その20分で、私が誘導しながら動きを教えますので、見終わったころには、なんと不思議。5分のダンスが踊れるようになっています。しかも、20分一切足を止めることがない!
−某ブートキャンプみたいなものですか?
松野:そこまでキツクないです(笑)でも、ハードなのが好きな方は歩幅広げて大きく動けば、満足していただけると思います。
20分がAメロ、Bメロ、サビと、3ブロックくらいに分かれているので、今日はAメロだけとか、サビだけとか、完成系とか、どこをとっても5分くらいでトレーニングできます。3曲入りなので、体調と気分に合わせて自由に選んでもらえれば。
−DVDを見ながらのレッスンって、家で一人でやってると寂しくなりませんか?
松野:一緒にその場にいる気分になれるように心がけながら、カメラの前に立ちました。指導者なんだけど、指導者でいたくなかったので、同じ目線で一緒に踊っている感覚で、話しかけるようにいろいろ声がけしています。きっと寂しくないです(笑)
女性も男性も、お子さんも楽しんでもらえると思います。。意識して大きな筋肉を使う振り付けにして、手振りの動きもあるので心拍数もほどよく上がり、気持ちよく汗をかいていただけると思います。
−食事のアドバイスも掲載されているとか。
松野:普段食べている料理のレシピを書かせていただきました。私はすごく太りやすいので、食事には気をつけているんです。普段運動していることによって、おいしいものを沢山食べられるという。プラスマイナスゼロで(笑)
なので食事のバランスはすごく考えていて、朝・昼・夜、おつまみと20レシピほど紹介しています。共通しているのは「まごはやさしい」という、食品研究家で医学博士の吉村裕之先生が提唱されている、食材の組み合わせ方が基本になっています。
ま「まめ」ご「ごま」は(わ)「わかめ(海草)」や「やさい」さ「魚」し「しいたけ(きのこ類)」い「いも」
という覚えやすい語呂あわせなんですけど、例えば朝食として紹介している豆乳スムージーは、「まごはやさしい」のうち、4種類が入ってます。毎食7種類を取るのは大変なので、朝昼夜で7種類が揃えばOKにしているんです。あとはお酒が好きなので、「飲むときにはヘルシーなおつまみがいいんじゃないか?」という提案をさせてもらっています。
他には、ここ5年で愛用している美容グッズも紹介していて、飽き性ですぐ新しいものに行ってしまう私が長年愛用しているものたちで、むくみを取るものが多いです。お酒を飲みすぎた朝に大活躍している実績があります(笑)
−今回の本は、アイドル時代の歌と踊り、専業主婦時代のレシピ、インストラクターの指導と、松野さんの人生が凝縮しているような気がするのですが。
松野:40歳にしてこの本が出せたことが、ミラクルなんです。ダンスレッスンがタダで受けたくて乙女塾に応募して、ribbonになって、主婦になりお料理の勉強して、ふくらはぎを見初められてインストラクターになって、まさか本まで出せるとは思ってもみなかったですね。本当にありがたいです。
ジムで出会った仲間がいたからこそ、今の私がいると思いますし、一人でも欠けてはいけない出会いがこれまでにあって。皆さんの力をお借りして本ができた、という感じです。
−本を出すことで、一番伝えたいことは?
松野:この本とDVDを見ながら踊ることで、スポーツジムに行かない方にも、汗をかくことの楽しさや、1曲踊れる達成感を味わってもらいたいんです。その達成感が少しでもその方の生活にプラスになってくれたらいいなと思っています。
メディアに出て行くことも機会があればしたいですけど、それよりもいろいろなところでイベントを開いて、より多くの方に踊っていただいて、ダンスがきっかけで新しい服が着られるようになったり、お化粧の乗りが良くなったり、生活に潤いが出たりしてくれると嬉しいです。
スポーツジムに来てくれる人口って、そこまで多くないんですよ。ジムを飛び出して、より多くの方にお会いしたい!そんな想いでいっぱいです。
(取材・執筆・撮影 田野幸伸)
◆プロフィール
松野有里巳(まつの ありみ)
1973年生まれ、東京都出身。
3人グループribbon(佐藤愛子、永作博美、松野有里巳)のメンバー。
音楽制作会社を設立し経営する傍ら、自らも女優として舞台に立つ。
前々から特技であったダンスも生かし、都内各地のスポーツジムで、有酸素系のダンスエクササイズや、伝統のあるフラダンス、骨盤などを動かす調整系エクササイズなど数々のプログラムを提供している。
・松野有里巳オフィシャルブログ おいしい毎日
ribbon解散の真実
−芸能界での仕事は久しぶりですか?
松野有里巳(以下、松野):「松野有里巳」としての活動は、20年ぶりぐらいになります。演劇の舞台には2007年に立ったのが最後。本を出すのはribbonの写真集以来ですね(笑)
−ribbonって、解散したイメージがないのですが
松野:実は、解散してないんです。1995年までグループとして活動していたのですが、個人個人の仕事が少しづつ増えていって、自分なりにも考える時間が少しずつできてきて。
だんだん世の中が求めている事と、自分がやりたいことのギャップが見えてきて、1回自分を「休ませてあげよう」って思ったのが20歳を過ぎたころでした。
16歳で飛び込んだ世界だったので、立ち止まって自分を客観的に見たときに、少し自信がなかった部分があって。
普通の女子高生が、あるとき突然TVに出て世界が変わってしまって、ずっと突っ走って来たけど、個人の仕事になったときに、自分の薄っぺらさを感じたというか、もう少し勉強する時間と振り返る時間が欲しくなったんです。
事務所に少しお休みをしたいと話をしまして、当時若いながらにそんなわがままを言って申し訳なかったんですけれども、そのままribbonは解散せずに、それぞれ個人の考え方を尊重してくれて。私は少し最前線から引いたって感じですかね。
ここぞ!というときは永作博美がまとめ役
−当時メンバーの佐藤愛子さんは「笑っていいとも」のレギュラーで、永作博美さんはドラマやソロシンガーをやられている時期ですよね。ribbonって仲悪かったんですか?
松野:ぜんぜんいいですよ(笑)、ribbonちゃんはホントに仲良かったと思います。あ、でも、今のほうが仲いいかも。
−今も交流があるんですか?
ありますあります。
−永作さんは女優として活躍中ですが、佐藤さんもお元気ですか?
松野:はい、(佐藤)愛ちゃんも元気です!
だいたい集まるときは、メールで一斉に永作が声かけてくれます。何事もなかったように「集まるよ!いついつ空いてる?」って。当時からここぞ!という時は永作がきちっとまとめてくれるんです。
ribbonはシングル13枚アルバム10枚をリリース
芸能界引退、インストラクターの道へ
−その後、ユニット活動をしたり、演劇の舞台に立ったりした後、芸能界を引退。引退しようと思ったきっかけは?
松野:普通の専業主婦をやりたいと思ったのが正直なところなんですけど、料理を作るのが毎日楽しくて。25歳で結婚して、専業主婦になりました。
−そこからダンスのインストラクターになります。いったい何があったんですか?
松野:話せば長くなるんですが(笑)、25歳で結婚してなかなか子供も授からなかったんですけど、29歳くらいのときに、そろそろ運動しないとダメだなって感じて、スポーツジムに入りました。結婚してからは料理して、ワイドショー見て、おせんべい食べてって生活だったので、太ってきてしまって。
最初は黙々と走ったり、自転車をこいでたりしてたんですが、途中で引越しをしまして、ジムが変わったんですね。その引っ越し先のジムが、ちょっと駅から離れた、地元密着の所だったんです。そうすると、ジムにご近所の方しかいないので、サウナとかで仲良くなってくるんですよ。
ジムの後にみんなでご飯を食べに行ったり、だんだんと付き合いが深くなっていったんです。そうしていくと、あるときから部活動みたいになってきて、ジムも休めなくなってしまって、週5でみっちり通いました。そこでスポーツをすることと、汗を流しておいしいものを食べる喜びを教えてもらいました。
そのジムの仲間が、私が元アイドルだという事を知っていても言わなかったりとか、それぞれが心に傷を負っていても、暗黙の了解でそれは聞かなくても分かってくれる居心地のよさみたいなものというか、やさしさを感じて。
アイドル時代、芸能界以外の方と触れ合うことがあまりなかったので、ジムで初めて仲間ができたときに、自分の心がスッと軽くなって。すごく助けていただいたんです。本のあとがきにも書かせていただいたんですけど、その仲間たちがいたから、このダンスプログラムも誕生することができました。
「ふくらはぎ」をスカウトされる
−インストラクターになったのは、それから6年後の35歳ということですが。
松野:一番最初のきっかけは、スカウトだったんです。インストラクターを育てていた先生が、私の"ふくらはぎ"を見て、「そのふくらはぎは、結構運動できるでしょ…インストラクターやってみない?」と誘われたんです。
−競馬のパドックみたいですね
松野:(笑)その先生も私が元アイドルとは知らなくて、本当に「ふくらはぎ」に一目ぼれしていただいて、スカウトされました。5年間くらいジムに通い詰めていると、レッスンを受けてるときに「自分ならこうしたい」というイメージがあったんですよ。なので、「やってみるか!」と決心しまして。
そこから資格を取るために半年間学校に通いました。35歳の自分に試練を与えるいい機会でしたね。学校はすごく厳しかったです。インストラクターは体と、脳と、口と、全部別のことをやらなくてはいけないので、その訓練をしました。体の構造も全部覚えなくてはいけないし、半年で合格するには難しい試験なんです。その時はとにかくがむしゃらに頑張って、無事合格することができました。
−ご主人は反対したりしなかったんですか?
松野:「やってみな!」と言ってくれました。夫は35歳にして「怒られる」って経験はなかなか出来ないからといい経験だと背中を押してくれて。実は、その半年前に夫もインストラクターの資格を取っていたんですよ。
−ご主人、ミュージシャンでしたよね?(元バナナギャングスの高橋剛さん)
松野:実は、スポーツジムジムでインストラクターもやっているんです。
−音楽一家だと思っていましたが、体育会系なんですね
松野:2人ともダンスが大好きで、私と主人が出会ったのも、ダンスレッスンだったんですよ。
−インストラクターになって、健康や美に対する考え方に変化はありましたか?
松野:インストラクターはお客さんにとって憧れの存在でなくてはいけないと思います。美に関しては5分で汗だくなんで、顔はいいとして(笑)スタイルや服装には気を配りますね。
自分の健康だけではなく、レッスンでは気分が悪くなったり、ケガをしたりしたときの対応も出来なくてはいけませんし、息が上がってる人を見つけたら、プログラムを柔軟に変えてペース調整もします。常にスタジオ全員の顔色や健康状態に目を光らせています。
−人に教えるというのは大変ですか?
松野:2008年にインストラクターデビューして、やっと5年目です。初めてのレッスンは今までに味わったことのない緊張感でした。前日は眠れないし、足はガクガクするし。自分が何を言っているのか分からないくらい緊張してました。
−大きな会場でコンサートをやったり、TVで歌っていたのにですか?
松野:ぜんっぜん別ですね。今まで甘いところにいさせてもらったんだなあっていうか、お客さんとの距離も近いし、皆さんに満足していただくにはどうしたらいいのかって。3ヶ月くらいは、毎朝3〜4時間練習してからレッスンに行くような日々でした。
その後、エアロビクスだけでなく、ヨガやピラティス、フラダンスと、講師の資格を増やし、いろんな授業を持つようになって。
エアロビクスは初級者、初中級者、上級者とクラスが分かれているんですが、その中で、自分らしさを少しずつ出せるようになってきて、ダンスに遊びでアイドルっぽい振り付けを入れてみたんですね。
普段しないアイドルポーズって、恥ずかしがりながらも意外と楽んでやってもらえて、そんなお客様を見たときに、「これだ!」って思いました。「だって私、元アイドルだもん」って吹っ切れちゃったというか。
それから私の振り付けにはアイドル的な手振りが多くなりました。照れるのは最初だけで、AKB48さんやモーニング娘。さんみたいな動きを楽しんでやってくださってます。
私のオリジナルプログラムに求められている事がもう一つありまして、それは「汗をかきたい」というご要望です。お客様から「ありみさんのレッスンって、なんでこんなに汗をかくの?」って2年目くらいから言われるようになってきて、そこから私のレッスンには汗をかきたい方たちと、笑顔になりたい方たちが、じょじょに集まってくれるようになりました。それが今回の本に出てくるダンスの基礎ですね。
本の出版も偶然の「ご縁」から
−今回、本を出版しようと思われたのはなぜですか?
松野:レッスンに参加していただいた方に声をかけてもらったのがきっかけです。旦那様が出版社にお勤めの方がいて、「今日のインストラクターすごく面白かった」って話をしていただいたらしいんですよ。で、たまたまその週のFLASHに私が1ページ出ていて、(http://ameblo.jp/arimin55/entry-11251385421.html)。それを旦那さんが偶然にも読んでいて、興味を持ってくれたみたいで。ご縁ですね。
−この「AgeAgeDance」はどんな本ですか?
松野:未経験、初心者の方でも、本に付属しているDVDを見ながら5分ですぐにできるステップから始まって、曲に合わせて踊ってもらえるプログラムになっています。
3曲、60分のDVDでだんだん難しくなっていくので、初心者から上級者まで、自分のレベルに合わせて楽しんでもらえると思います。
−5分で出来るんですか!?
松野:5分というのは完成系を踊るときの所要時間で、完成系の5分にいくまでに20分かけてダンスの動作を分解して、1個1個の動きをやっていきます。その20分で、私が誘導しながら動きを教えますので、見終わったころには、なんと不思議。5分のダンスが踊れるようになっています。しかも、20分一切足を止めることがない!
−某ブートキャンプみたいなものですか?
松野:そこまでキツクないです(笑)でも、ハードなのが好きな方は歩幅広げて大きく動けば、満足していただけると思います。
20分がAメロ、Bメロ、サビと、3ブロックくらいに分かれているので、今日はAメロだけとか、サビだけとか、完成系とか、どこをとっても5分くらいでトレーニングできます。3曲入りなので、体調と気分に合わせて自由に選んでもらえれば。
−DVDを見ながらのレッスンって、家で一人でやってると寂しくなりませんか?
松野:一緒にその場にいる気分になれるように心がけながら、カメラの前に立ちました。指導者なんだけど、指導者でいたくなかったので、同じ目線で一緒に踊っている感覚で、話しかけるようにいろいろ声がけしています。きっと寂しくないです(笑)
女性も男性も、お子さんも楽しんでもらえると思います。。意識して大きな筋肉を使う振り付けにして、手振りの動きもあるので心拍数もほどよく上がり、気持ちよく汗をかいていただけると思います。
−食事のアドバイスも掲載されているとか。
松野:普段食べている料理のレシピを書かせていただきました。私はすごく太りやすいので、食事には気をつけているんです。普段運動していることによって、おいしいものを沢山食べられるという。プラスマイナスゼロで(笑)
なので食事のバランスはすごく考えていて、朝・昼・夜、おつまみと20レシピほど紹介しています。共通しているのは「まごはやさしい」という、食品研究家で医学博士の吉村裕之先生が提唱されている、食材の組み合わせ方が基本になっています。
ま「まめ」ご「ごま」は(わ)「わかめ(海草)」や「やさい」さ「魚」し「しいたけ(きのこ類)」い「いも」
という覚えやすい語呂あわせなんですけど、例えば朝食として紹介している豆乳スムージーは、「まごはやさしい」のうち、4種類が入ってます。毎食7種類を取るのは大変なので、朝昼夜で7種類が揃えばOKにしているんです。あとはお酒が好きなので、「飲むときにはヘルシーなおつまみがいいんじゃないか?」という提案をさせてもらっています。
他には、ここ5年で愛用している美容グッズも紹介していて、飽き性ですぐ新しいものに行ってしまう私が長年愛用しているものたちで、むくみを取るものが多いです。お酒を飲みすぎた朝に大活躍している実績があります(笑)
−今回の本は、アイドル時代の歌と踊り、専業主婦時代のレシピ、インストラクターの指導と、松野さんの人生が凝縮しているような気がするのですが。
松野:40歳にしてこの本が出せたことが、ミラクルなんです。ダンスレッスンがタダで受けたくて乙女塾に応募して、ribbonになって、主婦になりお料理の勉強して、ふくらはぎを見初められてインストラクターになって、まさか本まで出せるとは思ってもみなかったですね。本当にありがたいです。
ジムで出会った仲間がいたからこそ、今の私がいると思いますし、一人でも欠けてはいけない出会いがこれまでにあって。皆さんの力をお借りして本ができた、という感じです。
−本を出すことで、一番伝えたいことは?
松野:この本とDVDを見ながら踊ることで、スポーツジムに行かない方にも、汗をかくことの楽しさや、1曲踊れる達成感を味わってもらいたいんです。その達成感が少しでもその方の生活にプラスになってくれたらいいなと思っています。
メディアに出て行くことも機会があればしたいですけど、それよりもいろいろなところでイベントを開いて、より多くの方に踊っていただいて、ダンスがきっかけで新しい服が着られるようになったり、お化粧の乗りが良くなったり、生活に潤いが出たりしてくれると嬉しいです。
スポーツジムに来てくれる人口って、そこまで多くないんですよ。ジムを飛び出して、より多くの方にお会いしたい!そんな想いでいっぱいです。
(取材・執筆・撮影 田野幸伸)
◆プロフィール
松野有里巳(まつの ありみ)
1973年生まれ、東京都出身。
3人グループribbon(佐藤愛子、永作博美、松野有里巳)のメンバー。
音楽制作会社を設立し経営する傍ら、自らも女優として舞台に立つ。
前々から特技であったダンスも生かし、都内各地のスポーツジムで、有酸素系のダンスエクササイズや、伝統のあるフラダンス、骨盤などを動かす調整系エクササイズなど数々のプログラムを提供している。
・松野有里巳オフィシャルブログ おいしい毎日