【今さら聞けないサッカー用語:アディショナルタイム】最もドラマが生まれやすい時間帯。限られた数分の中にあらゆる感情が凝縮される
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試合中に失われた時間を補うため、前半と後半の終了時に追加される時間。かつては「ロスタイム」の呼び方が一般的だったが、近年は国際サッカー連盟(FIFA)や日本サッカー協会(JFA)も「アディショナルタイム」の表現を用いている。
サッカーは前後半それぞれ45分の計90分で行なわれる。ワールドカップのような大会の決勝トーナメントでは、90分で決着が着かない場合、前後半で15分ずつの延長戦が行なわれ、そこでもアディショナルタイムは反映される。
前後半のそれぞれ45分になる寸前で、第4の審判が電光ボードで「+3」や「+5」などと表示する場面はおなじみだが、この数字は最低限追加される時間を意味する。アディショナルタイムの時間帯にもプレーが止まる事象があれば、さらに時間が延びることもある。
体力の消耗や戦い方の変化、心理状況も相まって、この時間帯にはサッカーのドラマが最も生まれやすい。リードする側は逃げ切りを狙い、追う側は最後の猛攻を仕掛ける。ワールドカップや欧州のチャンピオンズリーグでは、アディショナルタイムのゴールが歴史を変えてきた。
日本代表でも「ロストフの14秒」として語り継がれるロシア・ワールドカップのベルギー戦での逆転被弾や、カタール・ワールドカップのスペイン戦での「耐え切った7分間」は歴史的なシーンとして語り継がれる。
そのカタール・ワールドカップでは、従来よりも長いアディショナルタイムが話題となった。FIFAが「実際にボールが動いている時間を正確に確保する」方針を徹底したことで、前後半のアディショナルタイムが「+7分」や「+10分」となった試合が珍しくなくなったのだ。
その象徴が、当時カタール・ワールドカップを中継した『ABEMA』で現地解説を務めた本田圭佑のリアクションだ。前後半の終了間際に「+7分」が表示されるたびに「7分!?」「なんで7分なんですかね?」と驚く様子が話題となり、SNS上でも“本田の7分”として拡散された。
アディショナルタイムは単なる追加時間ではない。限られた数分の中に逆転劇や逃げ切り、歓喜や絶望といったサッカーのあらゆる感情が凝縮される。だからこそ、多くの名勝負は最後の笛が鳴る瞬間まで終わらないのだ。北中米ワールドカップでも、多くのアディショナルタイムのドラマが生まれるだろう。
文●河治良幸
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