能登抱きしめ癒やされて 被災者の声で枕開発、石川

2024年元日の能登半島地震で被災した石川県七尾市で寝具店を営む中川裕介さん(50)が、能登半島をかたどった抱き枕「のとハグ」を開発し、好評を得ている。地震後に眠れなくなったという地域住民の声がきっかけとなり、約1年かけ完成。「枕を抱くことで癒やしにつながる。能登を盛り上げるための商品作りを続けたい」と意気込む。(共同通信=田島里紗)
のとハグは長さ約110センチ。吸湿性に優れた能登産のケイ藻土を練り込んだ生地にスノービーズを詰め、もちもちとした手触りが特徴だ。中央の七尾湾に当たる部分を足で挟むことで、骨盤が支えられるという。
中川さんは七尾市出身で、1919年創業の寝具店に生まれた。「人生の3分の1を占める眠りに携われる仕事にやりがいを感じた」といい、2022年に、寝具店「Sleep inn(スリープイン)」を開業した。
能登地震では建物に大きな被害はなかったが、約1カ月断水が続いた。中川さんは地震から4日後に店を再開。「店の明かりをともし日常を取り戻すことで、地域の方に安心してもらえると思った」と振り返る。店に立ち寄った地域住民から「途中で目が覚める」「寝た気がしない」との訴えを聞き、商品開発を決意した。
耐久性と触り心地にこだわり、抱いても腕が落ちないように中に入れるビーズの量も調節。店を訪れた人にも実際に抱いてもらい、試作を重ねた。2025年8月に発売し、日本の優れた商品やサービスを国内外に発信する「おもてなしセレクション」で金賞を受賞。売り上げの一部を復興支援のために寄付していることも評価された。
購入した被災者から「安心して眠れるようになった」との感想を聞いたと中川さん。価格は1万9800円でオンラインでも販売しており「毎日の眠りのパートナーとして使うことで、少しでも能登のことを思い出してほしい」と語った。

