スコットランド戦で代表デビューを飾った塩貝=吉野拓也撮影

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 サッカー日本代表は前回のワールドカップ(W杯)カタール大会以降、ドイツ、ブラジル、イングランドとW杯優勝経験のある強豪を次々と破り、初優勝を掲げて北中米3か国大会に臨む。

 世界の背中を追いかけてきた日本サッカーの「現在地」を探る。

[日本の現在地]<2>

 2024年夏、19歳のストライカーがオランダ1部リーグのNECナイメヘンに加入した。慶大に所属していた塩貝健人は横浜M入りが内定し、特別指定選手としてJ1デビューもしていた。しかし、「W杯を目指すため」欧州でのプレーを選んだ。その後、オランダで得点を重ね、26年1月に約20億円の移籍金でドイツ1部のウォルフスブルクへ移籍。3月には代表初出場を果たした。

 塩貝にはオランダに移籍した当時、海外のクラブから複数のオファーが届いていた。代理人の龍後昌弥氏は「有力な選手は、学生でも早めにプロ契約していく流れが強まっていくと思う」と話す。

 日本人選手に欧州のクラブから熱い視線が注がれている。人気の理由は能力とは不釣り合いな移籍金だ。Jクラブから海外への移籍金は数千万〜2、3億円程度が相場とされる。一方、次に欧州クラブ間で移籍する時は、その10倍に跳ね上がることも珍しくない。

 選手はステップアップのため、世界のサッカーの中心となっている欧州を目指す。Jクラブとしては、「移籍できないクラブ」という評判が広がると選手獲得に影響が出る可能性があり、簡単に移籍金を高く設定することはできない。また、多くのクラブが若手の起用に消極的なJリーグに比べ、戦略的に選手を育てて高値で移籍させるクラブが多い欧州の方が出場のハードルが低いこともある。

 龍後氏は「ブラジル人なら渡欧時の移籍金が20億、30億円になることも多い。日本人も世界と対等のレベルになってきているので、グローバルスタンダードに追いつく必要がある」と指摘する。

 Jリーグは「移籍金収益の拡大」を掲げ、動き出している。リーグ戦の開催時期を欧州に合わせることで移籍が活発化し、高額の移籍金をクラブが得られるようになると期待する。

 さらに、「Jリーグヨーロッパ」(ロンドン)の秋山祐輔社長は「欧州のクラブにとって、選手が活躍しなくても、移籍金が安ければ『お試しだったから』で済む。そういった日本のためにならない移籍を減らしたい」と話す。

 助成金を新設し、Jクラブが26〜27年シーズンの開幕前に欧州でキャンプを行うことを後押しするなど、欧州市場にJリーグやクラブの売り込みをかける。秋山氏は「日本サッカーを欧州に融合させたい」と意気込んでいる。

 ◆特別指定選手=Jクラブへの加入が内定している高校生や大学生が、プロ契約前にJリーグの公式戦に出場できる制度。

 ◆移籍金=選手が契約期間内に移籍する際、契約を解除するために、移籍先のクラブが元のクラブに支払う違約金。契約時に取り決められることが多く、残りの契約期間や年齢、実績などで変わる。