「僕、見えるんですよ」…『九条の大罪』が大ヒットの柳楽優弥が過去の取材でのぞかせた“狂気”
道行く人を血みどろに痛めつけていく
柳楽優弥(36)主演のNetflixドラマ『九条の大罪』が絶好調だ。4月2日の配信スタート以来、「今日のシリーズTOP10」で常に上位をキープ。SNS上でもその内容の是非についてさまざまな感想が飛び交っており、かなり多くの人がこの作品を視聴していることが分かる。
柳楽といえば、14歳で初出演した映画『誰も知らない』(’04年)で、いきなりカンヌ国際映画祭男優賞を受賞した。しかも日本人初、史上最年少という、あまりにも輝かし過ぎて押し潰されそうな経歴。その重圧に苦しむこともあったようだが、見事にはね返して大成したという圧巻の経歴の持ち主だ。今や出る作品は、映画、テレビ、配信系と場所を問わずヒット。押しも押されもせぬトップ俳優となっている。
そんな柳楽だけに、さまざまな作品から引っ張りだこである。ところが興味深いのは、その出演作に、奇妙なほどバイオレントな作品が多いことだ。しかもただ出演しているだけでなく、みずからがバイオレントで狂気的なキャラクターを演じており、これがまた非常に好評を博している。
「『誰も知らない』の後、なかなか新たな作品で存在感を示すことができずもがいていた柳楽さんが、一気に注目されたのが主演映画『ディストラクション・ベイビーズ』(’16年)です。陰鬱な地方都市で、何の感情も見せずただただ道行く人を血みどろに痛めつけていく……。ほとんどセリフもないのに、ものすごいインパクトでした。
他にも『今日から俺は!! 劇場版』(’20年)、『ガンニバル』シリーズ(’22年、’25年/Disney+)、最近だと映画『夏目アラタの結婚』(’24年)などで、やはりバイオレントな役どころが好評を博しました。もちろん好青年役もたくさん演じているのですが、柳楽さんの場合、どちらかというと“狂ったキャラ”のほうが圧倒的なインパクトを残しているのが実情です」(テレビ誌編集者)
一体なぜ、柳楽はこうもバイオレントな役どころが似合うのか。それは彼自身に狂気が潜んでいるからなのか。素の柳楽がどういう人物なのか気になり、さまざまな関係者に話を聞いてみた。
「やっぱり常人とは違う」
「柳楽さんを何度も取材したことがありますが、取材時の彼は狂気のカケラもありません。物静かで、ちょっと恥ずかしそうにニコニコ質問に答えてくれます。自分を大物だとはまったく思っていない感じで、いつも『モテたい』『人気者になりたい』と、エヘヘという感じで言うのが面白い。ちょっと天然で、ほんわかした人という印象です」(女性誌ライター)
別のライターも、次のように柳楽の狂気ゼロぶりを語っていた。
「とにかく謙虚。人気も実績も誰もが認めるところなのに、本人は全然そういう自覚がないようで、むしろちょっと自信がなさそうなぐらいです。若い読者層の媒体で取材したときは、『今の若い人は俺のことなんか知らないよね』と悲しそうに言っていたほど。
だからなのかどの質問にも丁寧に、真摯に答えてくれて。この人がなぜ、あんなに狂った役どころにハマるんだろうと不思議でたまりません」
しかし取材を続けていくと、それだけではない柳楽の秘めた一面が見えてきた……。柳楽を10代の頃から取材してきたというベテランライターは、次のようなエピソードを教えてくれた。
「彼が10代のときのことです。ホラー作品絡みでのインタビューだったので、『オバケは平気ですか?』と聞いてみました。すると、ドヤ顔で『僕、見えるんですよ』と言ったんです! 場を盛り上げるためとかではまったくなく、心の底から自慢げに言っていた。一見普通そうに見えても、やはりカンヌで賞を取るような人は常人とは違うもんだなあと、良い意味で納得したものです。
おそらく今は大人になって、そういう一面を見せなくなっただけ。奥底には普通じゃない何かを持っているからこそ、彼にしかできない演技で人々を惹きつけているんだと思います」
「まだ見たことのない引き出しを持っている人」
同志社女子大メディア創造学科教授の影山貴彦氏は柳楽について次のように評する。
「柳楽さんといえば『誰も知らない』の華々しいデビューがあったからこその苦労をいろいろ経てきて、ようやくここ何年かは“実り”の時期を迎えているように感じます。とくに豊田エリーさんと結婚してからは安定して活躍している印象です。
柳楽さんは眼が印象的ですが、一見力強く、時には怒りや狂気を帯びているけど、奥底には常に悲しみが漂っている。悪人を演じても真面目な役を演じてもいずれもどこかに悲しみがあって、それが多くの人を惹きつけるのだと思います。狂気を演じても上手いのですが、僕が好きなのは『ライオンの隠れ家』(TBS系・’24年)のようなデリケートな役を演じる柳楽さんですね」
その一方で、「オバケが見える!」とドヤ顔で力説するのも、また柳楽の一面なのだという。
「『僕、見えるんですよ!』と真顔で言ってしまうのも嘘ではなくて、彼の一面なんだと思います。でも、それはあくまで一部分であって、彼が持っている人間的にも俳優としてもたくさんある引き出しの一つなのでしょう。
本当の狂人に狂気は演じられません。理性がしっかりとベースにあって、これまでの経験値があるからこそ真に迫った狂気が演じられるし、デリケートな役柄も演じられるんです。柳楽さんには、これまでに僕らが見たことのない引き出しがまだあると思います。今の段階でまとめてしまうのは時期尚早で、これからも進化を続ける末恐ろしさを持った俳優です」
奥底に普通じゃない何かを持っている人だということは間違いなさそうだ。
取材・文:奈々子
