【特集】「まずは知ってもらうことから」 高校生が能登の観光ツアーを企画 ありのままの“姿”伝えて
豊かな自然にあたたかい住民たち。こうした能登の魅力をありのままに伝えようと、観光ツアーを企画した高校生が石川県にいます。能登を盛り上げようと立ち上がる高校生を取材しました。
石川県能登町の宇出津港で競りの様子を見学する学生と生徒たち。
しかし、これは、学校の授業などではなく、れっきとした観光ツアーです。
「まず、どれにするか…」
「ウマヅラハギとかヒラメとか」
企画したのは能登町の高校生、森泰一郎さん。
このツアーの実施には、ある思いが込められていました。
取材班が、森さんと初めて出会ったのは去年の11月。
森 泰一郎 さん:
「ネパールの貧しい子どもたちや障がい者施設に、お米を届けに行く活動をしています」
この時は金沢駅前で募金活動をしていました。
「ありがとうございます」
自身も能登半島地震で被災した森さん。
自宅は全壊。そして、弟を亡くしました。
同時にその時に受けた被災地支援からボランティア活動に興味を持ったと話します。
森 泰一郎 さん:
「自分が受けた恩を、次の誰かに返したいという気持ちがあります。辛い思いをする人が、ひとりでも減ったらいいなという気持ちですね」
こうした思いから、ボランティア団体の国際ボランティアに参加した森さん。
向かった先はネパール。
1か月を1万円未満で暮らす国民が6割を超え、能登と同じく、2015年には大地震で大きな被害を受けた国でもあります。
現地では、能登の祭りで演奏する篠笛も披露。
かつて自分が助けられたように、自ら集めた食糧や衣類を住民たちに手渡しました。
そして…
「お疲れ様です」
「どう、10日ぶりの能登の空気は?」
「最高ですね」
帰国した森さんの胸には、ネパールでの経験からある思いが芽生えていました。
森 泰一郎 さん:
「自分が行ったラムチ村という所があるんですけれど、そこ、めちゃくちゃ田舎で、けど、めっちゃ景色きれいで人も良くて、俺めっちゃ好きになったんですけれど、知らないと好きになれないというのはやっぱりあると思うので。だから能登ももっと伝えて、色んな人に知ってもらえて、そこから少しでも好きになってもらえる人を増やしたいなと思っています」
こうした思いを胸に、実施したのが今回のツアー。
「刃を逆さにして、サーとこの辺まで入れていって」
企画から運営まですべてが手作り。
競り落とした魚をさばくのも、自身が通う高校の調理室です。
地元の人たちの手も借りながら、ツアーを進めます。
森 泰一郎 さん:
「友達っす。地震の時に初めて運転してもらって。それが友達の第一歩」
地元漁師・小川勝則さん:
「こんなことしたいんだけれどもという相談があったならば、全力で手伝いしたいなと思います。(Q. 友達として?) もちろん。仲間として頼まれれば、百倍返しに返してやろうかなと」
森さんが次に案内したのは、地元の仮設住宅。
「宇出津の市場で買ったタラで鍋を作ります。みんなでランチ、お話しに出てきてください」
うわべだけでない本当の能登と、被災地としての現状を知ってほしいという思いからこの場所を選びました。
森 泰一郎 さん:
「能登に来ても地元の人とあまり触れ合わないで観光地だけ見て帰るというのをよく聞くので、そういうツアーにならないように。(Q. 知ってほしいことは?) 地元の人はあたたかいし、面白いし、かっこいいっていうのを」
「いただきま~す」
住民との交流を通して、ツアーの参加者たちはありのままの能登に触れます。
「仮設住宅で大変なことってありますか」
「今は大分慣れて楽しいっていう感じです」
「能登でお土産って何がいいですか」
「塩とあとはいもがきか」
森さんが一番伝えたい能登の魅力は、そこに住むひとりひとりの人柄。
参加者は:
「あたたかくて皆さんが。それにびっくりしましたね」
「人とのつながりがすごく強くて、能登の人たちって。その人のつながりがあるからこそ、いろんな大人の人が支援してくれて、能登の高校生たちも、その支援に報いるために頑張るというような、すごくよい関係ができていて。能登ならではの企画かなと思います」
森 泰一郎 さん:
「街に歩いている人とかも他人は他人なんですけれど、都会の他人とは何か違う感じがしていて、皆一員みたいなイメージが皆に薄く根付いているのが能登の好きなところです。
そして、ツアーの参加者だけでなく、仮設住宅の住民にも笑顔が…
住民は:
「自己紹介したりお互いに。こんなことなかった。とってもうれしいです。きょうの一日、記念になりそう」
「最高です。ふふふ」
こうして、無事にツアーを終えた森さん。ですが、この時、すでにさらに先の目標を見据えていました。
森 泰一郎 さん:
「最終的な目標は、能登の祭りを盛り上げるという目標にしていて、そのためには、まず能登を知ってもらうことから、その知ってもらう入り口を僕たちが作ろうという目的で、能登は人がめちゃくちゃ入れ替わる時期だなと感じていて、逆にそれが今、チャンスであるのかなと捉えています」
より多くの人に能登の魅力を知ってもらうために。森さんの挑戦はこれからも続きます。
