7時間の壁を越えられない働き手 睡眠不足が常態化する職場の現実
眠れていない自覚はあるが、変えられない。そんな状態が広がっている。株式会社マイナビが実施した調査から、正社員の睡眠と仕事の関係に、見過ごせない実態が浮かび上がった。個人の生活習慣の問題にとどまらず、働き方そのものが影響している可能性がある。
調査は2026年2月、20代から50代の正社員600人を対象に行われた。平均睡眠時間は6時間14分で、6時間未満は26.9%と約4人に1人にのぼる。一方、理想の睡眠時間は平均7時間13分で、現実との差はおよそ1時間ある。厚生労働省の睡眠ガイドでは6時間以上が推奨されており、一定数が基準を下回っている計算だ。
寝不足の頻度を見ると「週2〜4日」38.8%、「週5〜7日」31.7%と、慢性的な状態が目立つ。原因は「仕事時間や通勤時間の負担」38.1%、「仕事や人間関係のストレス」38.1%が上位を占めた。特に30代では労働時間の影響が強く、20代では将来不安や精神的負荷を挙げる割合が高い。勤務時間が長いほど寝不足の頻度も高く、全体平均との差は約50分に達した。
影響は仕事の質にも及ぶ。「やる気が湧かず取りかかるまで時間がかかる」22.8%が最多で、「注意力の低下によるミス」21.8%、「強い眠気」21.8%と続く。集中力の低下が作業の遅れを招き、結果として労働時間が伸びるという循環も想定される。50代では業務中の強い眠気の割合が27.2%と高く、年齢による影響の違いも見られる。
その一方で、睡眠の重要性は広く認識されている。「ミス防止のために重要」62.5%、「成果を出すために重要」61.0%、「職場の雰囲気に影響」59.2%、「人間関係に必要」58.8%と、いずれも半数を超えた。年収が高い層ほどこうした認識が強い傾向も確認されている。重要だと分かっていても確保できない現状は、個人の意識だけでは解決しにくい問題であることを示している。
調査結果は、睡眠不足を個人の自己管理に委ねるだけでは限界があることを示唆する。長時間労働や通勤負担といった構造的な要因に踏み込まなければ、改善は進まない可能性が高い。仕事と休息の配分をどう設計するか。働き方の見直しが、パフォーマンスの前提条件として問われている。
