奨学金400万円で「私大の文学部に入る」という娘…文系だと就職後「手取り20万円」ほどだと思うのですが、借金してまで通わせるべきですか?“月の負担額”をシミュレーション
新卒1年目の給料って手取りでどのくらい?
厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査(新規学卒者)」によると、大卒の平均初任給は約24万8300円です。ただし、文学部出身者が就きやすい一般職や事務職、あるいは中規模企業への就職を想定した場合、額面で22万~23万円前後からのスタートになるケースもあります。
会社員になると、額面の給与から「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「所得税」が天引きされます。天引きされる金額は年収などの条件によって異なりますが、額面の15~20%程度が目安です。
仮に額面を22万円とした場合、保険料や税金(約4万円前後)が引かれる結果、銀行口座に振り込まれる実際の手取り額は17万~18万円程度に落ち着きます。
奨学金400万円を借りた場合の毎月の返済金額は? 新卒でも支払える?
日本学生支援機構の第二種奨学金の金利は「在学中は無利息」で、卒業後に利息が発生します。
金利には「利率固定方式(返済完了まで金利が変わらない)」と「利率見直し方式(5年ごとに金利が変動する)」があり、どちらかを選択します。どちらを選択するかによっても、毎月の返済金額は大きく変わるでしょう。
とはいえ、どんなに世の中の金利が上昇しても、「年3.0%」が上限と定められており、法外な利息を請求されることはありません。返済金額は卒業するタイミングの市場金利によって決まりますが、令和8年3月に貸与を終了した場合は以下のとおりです。
利率固定方式:2.423%
利率見直し方式:1.600%
利率固定方式で金利を2.4%とし、元金400万円を、標準的な返済期間である20年間(240回払い)で返済した場合の、具体的な毎月の返済額(元金+利息)は以下のようになります。
毎月:2万1197円
最終月:2万1342円
返済総額:508万7425円
毎月の手取り額が17万円ほどであった場合、およそ12%程度を返済に充てる形になります。もちろん年収が低めの時期には大きな負担ですし、家賃支払いの有無などほかの生活費の状況にもよりますが、新卒の給与でも支払いは可能ではないでしょうか。
借金を背負わせる点に、親としては不安を感じるかもしれませんが、計画的に家計をやりくりすれば決して乗り越えられない壁ではありません。
卒業後の子どもの返済負担を減らす方法はない?
子どもの将来的な返済負担を確実に減らすには、日本政策金融公庫が提供する国の教育ローンを活用する手段も有効です。親名義で最大350万円(自宅外通学などの場合は450万円)まで借り入れられるため、奨学金として子どもが背負う借入額自体を大幅に減らせます。
例えば、2026年2月時点で、国の教育ローンの固定金利は年3.55%です。仮に親が200万円を金利3.55%で借りて15年間で返済する場合、毎月の支払額はおよそ1万4500円程度です。親と子どもで返済負担を分散できれば、それぞれの家計へのダメージを最小限にしつつ奨学金を借りられるでしょう。
まとめ
私立大学の文学部へ進学するために400万円の奨学金を借りても、卒業後の収入と返済額のバランスを把握しておくことで、過剰な心配をする必要を抑えることができるでしょう。
新卒1年目の手取り額はおよそ17万円程度になりますが、毎月約2万1000円の返済であればやりくり次第で生活していくことは可能です。
国の教育ローンなどをうまく活用すれば、子どもが背負う経済的な負担を大幅に減らすことも可能でしょう。
出典
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況
独立行政法人日本学生支援機構 第二種奨学金の利子と利率の算定方法
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級
