左から:総合メディカル 執行役員 薬局事業本部長の林田壮一郎氏、総合メディカルグループ 社長の多田荘一郎氏、社会医療法人一成会 木村病院 院長の木村玄先生、総合メディカル 執行役員 医業支援事業開発本部長の出森慎一氏

持続可能な医療提供体制を目指す総合メディカルグループは、社会構造の変化に即した次世代地域医療モデルの構築に向けて「成長戦略記者発表会 2026」を4月13日に開催した。発表会では、分断された地域医療体制を「患者の人生に沿った医療の連続性」を軸に再設計し、新たな「地域医療支援プラットフォーム」の構築を目指す戦略を発表した。また、社会医療法人一成会 木村病院 院長の木村玄先生を招き、地域医療の継続に向けた「4次元の医療」について講演を行った。


総合メディカルグループ 社長の多田荘一郎氏

「地域医療は、増やせば回る時代から、限られた資源をどうつなぎ直すかが問われる時代へとシフトしつつある。生産年齢人口の減少にともなう医療人材不足や、医療品供給の不安定化、病院施設の維持・再編と、ヒト・モノ・ハコのすべてに制約がかかる中で、訪問診療など提供範囲は広がっており、地域医療を支える基盤が大きく変化している」と、総合メディカルグループ 社長の多田荘一郎氏が、地域医療の現状について解説。「こうした構造変化によって、今まで吸収されていた“情報・役割・時間”の分断が顕在化してきている。例えば、患者では入院、外来、在宅の非連続や診療情報の断絶など。医療機関では、人材の配置不足や医療と非医療業務の混在など。地域では、急性期から在宅までの機能の分断や個別最適による経営不全などが挙げられる」と、地域医療の分断化が深刻な課題になっていると訴えた。

「この課題解消に向けて、当社では、『最適化』と『連続性』で地域医療を再設計していく。まず、第1フェーズでは、医療機関における個別最適を脱し、地域全体で資源をリアルタイムに『最適化』する。また、病院経営の重圧を当社が引き受け、現場の医師を守り抜く。そして、次のフェーズでは、医療を点(イベント)ではなく、患者の人生という線に沿って『連続』させる。このために、患者の生活に伴走し、医療の連続性を実装する『地域医療支援プラットフォーム』の構築を目指す」と、次世代地域医療モデル構築に向けた新たな成長戦略を発表。「地域全体での医療機関の最適化と、患者の人生に沿った連続した医療を通じて、分断されていた医療と生活をつなぎ、必要な医療が途切れずに届く社会を実現していく」と、同社が描く地域医療の将来像を示した。


社会医療法人一成会 木村病院 院長の木村玄先生

続いて、社会医療法人一成会 木村病院 院長の木村玄先生が、「荒川区に根差し、日本の未来を拓く『4次元の医療』」と題し、講演を行った。「当病院は、東京都荒川区で、地域医療に長年携わってきたが、築50年を超えた旧施設は老朽化が限界に達し、大きな危機に直面していた。しかし、移転を決意してから15年間、移転先の土地を見つけることができなかった。それは、これまでの患者やその家族を置き去りにはできないという想いで、『同じ荒川区内』にこだわり続けてきたから。候補地が出るたびに、投資効率で勝るマンションデベロッパーとの競り合いに敗れる日々が続いた」と、地域医療の継続に向けて移転という大きな壁が立ちはだかっていたと振り返る。「この停滞を打ち破るきっかけとなったのが、総合メディカルとの出会いだった。同社では、単なる土地情報だけでなく、行政との対話の進め方や最適な業者の選定プロセス、複雑な利害関係の調整手法、移転実務全般への伴走まで、当病院が持っていない移転のノウハウを提供してくれた」と、総合メディカルグループの支援を受け、2019年12月に土地取得を決定し、2022年5月には新病院を開院することができたという。

「2020年以降、建設コストは急激に上昇し、資材価格・人件費・金利、すべてが高騰。2019年12月の決断がなければ、この移転プロジェクトは成立しなかったか、大幅な規模縮小を余儀なくされていたと思っている。移転した新病院では、救急受入台数が3倍に拡大すると共に、新建物・最新設備・機動力のあるスタッフが揃い、地域の救急ニーズに応えられる体制が整った」と、新病院への移転によって医療体制を大幅に強化することができたと胸を張る。「新病院では、『点』から『線』、そして『面』から『時間』へと広がる4次元医療を展開していく。新病院を『点』として、在宅を支える訪問診療を『線』とし、荒川区全体の地域医療を『面』で守り、世代を超えて安心できる未来の『時間』を創っていく」と、これからも荒川区の「元気のパートナー」として地域に根差した医療を提供し続けていくと力を込めた。


総合メディカル 執行役員 医業支援事業開発本部長の出森慎一氏

次に、総合メディカル 執行役員 医業支援事業開発本部長の出森慎一氏が、医療機関の最適化に関する取り組みについて説明した。「現在、病院の経営は極めて厳しい状況であり、約7割の病院が本業赤字となっている。これは、『コスト高騰と収益の逆ざや』、『医療従事者の確保と働き方改革』、『診療報酬制度への対応』、『医療DXへの遅れ』という4つの構造的課題が病院経営を圧迫していると考えられる」と、多くの病院が赤字経営に陥っているのだと指摘する。「これらの課題を解決するためには、管理部門のプロフェッショナル化が急務となる。そして、バックオフィスの役割を従来のコストセンターから、経営を支える戦略拠点へと進化させる必要がある。そこで当社では、単なるツールの導入ではなく、4つの構造的課題を根本から解決する『経営のパートナー』として伴走支援を行っていく」と、赤字経営に悩む病院の管理部門を包括的に支援していく考えを示した。

「また、地域のクリニックの状況を見ると、都市部に過密する一方で地方部が空白になる『偏在化』と、後継者が決まっていない『後継者不在』という二重の危機に直面している。さらに、医師が一人で経営から事務・人事・会計のすべてを背負っているため、本来最も重要であるはずの診療時間が致命的に圧迫されている。こうした医師を押し潰す『経営の重圧』を当社が肩代わりするべく、単発的な支援から長期的・網羅的な伴走型支援の提供を目指す」と、クリニック向けの支援策についても言及。「伴走型支援では、事業継承時などの転換期において、経営支援を長期的に引き受け、医師が診療に専念できる環境を創出する。これによって、医師から経営を切り離し、最高の診療へと解放すると共に、世代交代を見据えた持続可能な経営インフラを実現していく」と、伴走型支援サービスの構想を明らかにした。


総合メディカル 執行役員 薬局事業本部長の林田壮一郎氏

最後に、同 執行役員 薬局事業本部長の林田壮一郎氏が、患者の人生に沿った医療の連続性に関わる取り組みについて説明した。「従来の薬局は、処方箋を預かり正確に調剤して、薬を渡すだけの役割であり、店舗では待ち時間が発生していた。当社では、このハコだけの薬局を変革していく。まずは、『生活の伴走』として、地域全体で支え合う薬剤師のオンライン連携網を構築する。これによって、特定の薬局の混雑を地域全体のネットワークで吸収し、待ち時間を解消。患者は自宅からリモートで薬剤師に相談することができる」と、新たな薬局の在り方を提示する。「次のフェーズでは『専門の伴走』として、退院後の患者を、高度な専門知識を持った薬剤師がリモートでサポートする。オンライン連携網を活かし、退院しても、病院の安心をそのまま自宅に接続する。将来的には、『人生の伴走』として、医療の枠を超え、食事支援から生活・介護支援、ウエルネスまで生活すべてに伴走していく。最後まで自宅で安心して過ごせるよう『生活に寄り添う医療』を提供する」と、今後も患者の人生の「伴走者」であり続けていくことを宣言した。

総合メディカルグループ=https://www.sogo-medical.co.jp/ja/index.html