【木俣 正剛】「愛子天皇は認めない」高市総理発言で、皇室にもたらされる「静かな崩壊」の可能性

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秋篠宮家が「お金が足りない」とこぼされていたことが話題になりました。皇族には「内廷費」が支給され、しかも秋篠宮家は、皇嗣になられたことで、内廷費が増額されたにもかかわらず「さらなる増額を望んでいる」ということに、宮内庁の職員から疑問の声があがっていたのです。この背後には悠仁さまの「皇太子」としての立場がなかなか確定しないことへの苛立ちがあるのでは、とも考えられます。

一方で、高市氏が男系男子のみの天皇家存続を考え、女性天皇の可能性を考えていないと国会の場で発言したことで、天皇家、秋篠宮家は、どう感じたでしょうか。あくまでも、私の想像ですが、普通ならこう考えると思われることを列挙してみます。

記事前編は【秋篠宮家「お金が足りない」発言に隠された、紀子さまの苛立ち…「愛子さま人気」へのわだかまり】から。

「女性天皇」を認めない、高市発言に天皇家は…

一方、天皇家からみると、見方は異なります。皇后にふさわしい人をと、今後、国際社会での活躍が必要な天皇の夫人としてふさわしいと考えたため、時間をかけて、一生懸命、雅子妃を口説き、「一生お守りする」と宣言。天皇本人が宮内庁などに対して「人格否定」批判までして、妃殿下を守り、皇室との相性が悪く体調を壊した妃殿下を守って一人で公務に邁進し、そして、かなり体調が回復した雅子妃は愛子さまを英語だけでなくフランス語、スペイン語まで話せる立派な皇族に育て上げました。

男女同権の時代に、直系として、帝王学を学び、そして、それを娘にも伝えてきた愛子さまが天皇になって、なぜ悪いのか。悠仁殿下が天皇になれば、 眞子さんはともかく、そのお相手である家の怪しげな騒動を起こした母親まで親戚になっていいのか。自分は未来の天皇として、弟に比べていろんな我慢をし、自由にふるまう弟とその一家に比べて、はるかに抑制的に暮し、自由な発言も控えてきた。伝統ある皇統を守ることは一朝一夕にできるのか。

子供のときに皇籍離脱発言までした自由すぎる弟。そして、大学で交際していた紀子さまは、突然、父親が皇室に怒鳴り込んでくるという形で結婚まで強行しました。そういう皇室にはふさわしくない空気が、あの家にはある、そういう感覚があっても仕方ありません。

これは私の想像だけでなく、一般国民の平均的な感情だともいえます。一方、天皇家は女王も多く存在する世界の王族と交際し、今の男女平等の原理は世界的原理であり、日本だけが遅れた思想のまま、国民の支持をえられる皇統がつくれるのかという思いもあるでしょう。

それもこれも、天皇家について、早く問題を解決すべきだった政治家たちが、二十年以上、結論をださないまま、今度は急に準備もなく、それほど皇室に詳しいとも思えないメンバーによる、有識者の会議を中心に、国会で議論され、両家の運命がドタバタ騒動の中で決まることは、両家ともに、人権無視ではとないかと考えるのも当然ではないでしょうか。

軽視されてきた「皇族たちの人間性」

私は首相が高支持率を得て、与党が議席数で圧倒している間に、保守的な考えの支持層に支持をとれる方向で皇室典範の改正を性急にきめてしまおうとする行動をとても危険に感じています。皇室のことを真剣に考えているなら、せめてイランホルムズ海峡の危機が終わり、物価問題が落ち着いたところで、憲法改正の問題と一緒に議論すべきだと考えるのが、筋というものでしょう。

ここまで、どれほど、政治家や政府が、皇族たちの人間性を無視する行動をとってきたかは、皇室で起こった事件を省みればわかります。昭和以降、女性皇族は美智子さま(失語症)雅子さま(適応障害)眞子さん(PTSD)と三人もの「こころの病」がでています。これは皇族の人数に比べて、確率的にきわめて多いことを、政治家も宮内庁も真剣に反省しなければなりません。一方、男性にはほとんど心の病が出ていないことも、男女平等の思想について、皇室も国民ももっと考えなければならないという警鐘が、すでに三回も鳴っていると考えるべきではないでしょうか。

今回、もし、男系男子が性急に決まり、悠仁殿下の皇太子が決定。さらに、四宮家の復活など、あまりにアナクロな自民党的解決策(参照記事【「愛子天皇」実現に高い壁…高市早苗「男系男子に限定」発言に正当性はあるのか】)が決まれば、昔のような戦乱は起きなくとも、天皇家が静かに崩壊してゆく可能性を心配してしまいます。

愛子さまが臣籍降下される可能性も

まず、第一に、愛子さまが早々に臣籍降下される可能性です。天皇になるべく親子で訓練されてきた愛子さまですが、母親の雅子妃は、元々海外で外交官として活躍したい人でした。小和田家で一番皇室入りに反対していた母・優美子さんも、自ら海外で活躍したいとエールフランスに勤めていた女性です。天皇にならないなら、自らの才能を自由にいかすべく、海外にはばたかせたいと親が考えても無理はないし、本人も外国語が堪能なので、自由な暮しと活発な活動を望む可能性は十分に考えられます。

愛子さまのご結婚は日本人相手ではむつかしいという見方もありますが、臣籍降下するのなら外国人と結婚しても、何の問題もありません。いや、海外の皇族や貴族・セレブとの結婚の方が可能性は高いでしょう。

天皇家は臣籍降下はできませんが、今上陛下もすでに67歳。上皇陛下の例もあるので、一般社会の例に従い、 75歳程度で退位され、夫婦仲良く、海外旅行を愉しむこともしたいはずです。

英国のヘンリー王子のような暴露本は書かずとも、日本の男女同権の遅れを批判することくらいは、愛子さまだって国際的視点から日本人のために発言したい気持もあるはずです。

首相は国民感情を注視すべき

実際、最近、秋篠宮紀子さまと、佳子さまの不仲が伝えられますが、佳子さま愛子さまと仲もよく、男女同権が当然の世界に育っていますから、愛子天皇でいいのではないかというお考えをお持ちで、それが紀子さまへの反発につながっているという説もあります。姉の眞子さんに起こったことも含めて、皇室の自由のなさに愛想をつかしてもおかしくありません。

皇族間で、こういう分裂が起こったら、万世一系の天皇家を乱したのは、高市首相の決断のせいであるという議論になるでしょう。首相は、日本の政治家のガラスの壁を破った女性です。ならば、女性天皇を支持するのが当たり前。これが普通の国民感情だと思います。

しかし、結局は女性の外見をしているが保守的男性の支持を受けるために努力している人間であり、女性の味方ではないと若い支持層が考える可能性は十二分にあります。支持率下落、愛子天皇説に賛成する自民党の議員と保守派が分裂するか、あるいは愛子天皇に賛成する野党と分裂した自民党が組んで、総選挙になる可能性もありえます。

ちなみに、男系男子が絶えて、一度は断絶した神聖ローマ帝国のハプスブルグ家は、1740年女帝マリア・テレジアの誕生で、その後女系を続けることで第一次大戦でオーストリア・ハンガリー帝国が亡びるまで続いています。男系の維持も大切ですが、それ以上に、天皇家の存続の方が大事であるという視点は忘れてはいけません。

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