「インフラ老朽化」で多くの命が奪われていた…!欧米で多発している「事故の実態」
日本はこのまま崩れ去ってしまうのか? 道路、鉄道、水道、インフラ、橋……なぜ全国各地で次々に事故が起きるのか? お金も人も足りない……打つ手はあるのか?
注目の新刊『日本のインフラ危機』では、私たちの暮らしを揺るがす「大問題の正体」を豊富なデータと事例から解き明かす。
(本記事は、岩城一郎『日本のインフラ危機』の一部を抜粋・編集しています)
諸外国における落橋事故
インフラを取り巻く現状にはさらに深刻な影が忍び寄っています。日本よりも早くインフラが整備された欧米の先進国では、建設から50年程度経った橋が老朽化によって落橋し、多くの人命が失われているのです。
いくつか実例を見てみましょう。ここでは事故の概要を大まかに理解することに主眼を置いており、専門用語による説明は省きます。
カナダ・モントリオール市郊外(デラコンコルド跨道橋)
このコンクリート橋は、カナダのモントリオール市郊外に1971年に建設され、2006年9月30日に崩落し、5名の方が亡くなりました。
橋の長さは61・8メートル、幅は27・4メートル。崩落の主な原因は、橋の設計や施工の際に鉄筋の配置が適切でなかったこと、橋台に使われたコンクリートの品質が悪かったことなどが挙げられています。さらに、橋の床部分に十分な防水対策が施されていなかったことや補修が不十分であったことも、事故を助長した原因とされています。
アメリカ・ミネアポリス(I-35W橋)
2007年8月1日、ミネソタ州州都セントポールと同州最大の都市ミネアポリス間のミシシッピ川に架かっていた州間高速道路35W号線(I-35W橋)が夕方のラッシュ時に崩落。13人が死亡、145人が負傷しました。この橋は1967年に開通し、一日に約14万台もの車が往来する鋼製のトラス橋でした。崩落に至った原因として、設計不備でトラスを構成する棒状の部材同士をつなぎとめている金属板(ガセットプレート)が薄すぎて裂けてしまい、荷重に耐えられなかったことが挙げられています。
イタリア・ジェノヴァ(モランディ橋)
2018年8月14日、イタリアのジェノヴァにある高速道路A10号線に架かるポルチェヴェーラ高架橋(通称:モランディ橋)が崩壊し、43名が犠牲となりました。1967年に完成した長さ1182メートルのコンクリート製の斜張橋で、陸上からタワーの頂上までの高さが90メートルもあります。崩壊の原因は橋桁を支えるケーブル(斜材)の破断であり、疲労か劣化によるものと推定されています。
ドイツの老朽化橋梁爆破解体
落橋の例ではありませんが、ドイツのアウトバーン(高速道路)でおこなわれている老朽化橋梁の爆破解体の実例を紹介します。
アウトバーンの総延長は1万3000キロメートル、橋の数は約4万で、その多くは供用から60年程度が経過しています。通行料金が無料のこともあり交通量(特に大型車)が増加し、橋が次々と損傷していきました。加えて凍結防止剤として路面に塩を散布したことで鋼材腐食が進行し、橋の耐荷力が低下していきました。
その結果、ドイツ政府とアウトバーン会社は重要幹線道路のA45(257キロメートル区間)を完全閉鎖せざるをえないと判断しました。この問題が深刻なのは、アウトバーン全体に言えるということ。約4万橋のうちの10%が早急に爆破解体し、架け替えせざるを得ない状態になっています。総合的な判断から、爆破解体し、同じ場所に新たな橋を建設した方がトータルコストを抑えられるとの考えなのです。
さらに、「日本はこのまま崩れ去ってしまうのか…意外と気づかない「インフラ危機」本当の実態」」では、いま大問題として迫っているインフラ老朽化問題をひきつづき見ていく。
