「権利がなくなる」ISUの“採点批判禁止案”が波紋 露名伯楽は怒り爆発「私たち指導者がフィギュアを理解していないとでも?」

タラソワ氏は草案段階とされる新ルールに怒りを露わにした(C)Getty Images
何かと議論を呼ぶフィギュアスケートにおける“採点”。いわゆる採点競技において切っても切れない問題は、この冬のミラノ・コルティナ五輪でも物議を醸した。
【写真】なんて美しい瞬間!世界に配信されたアリサ・リウと中井亜美の抱擁シーン
そうした中でフィギュア界の重鎮が放った発言が新たな波紋を生んでいる。現地時間2月28日にタチアナ・タラソワ氏は、母国ロシア・メディア『Sport24』で国際スケート連盟(ISU)に対して「私たちはバカだって言うの?」と怒りを露わにした。
かつて浅田真央ら世界的な名手を指導した伝説的なコーチでもあるタラソワ氏。フィギュア界の酸いも甘いも知るレジェンドが怒るキッカケとなったのは、ある報道だった。
ロシアの国営通信社『RIA Novosti』は「ISUはフィギュアスケートの採点に対する批判を禁止する方針だ」と報道。「選手やコーチが直接または第三者を通じてジャッジ決定に不適切な意見を表明した場合には懲戒委員会が制裁を科す可能性がある」とした。
あくまで「不適切な意見」を述べた場合とされているものの、関係者たちへの厳しい取り締まりとも取れる。ゆえにISUにタラソワ氏は「ジャッジ批判の禁止? だけど、誰だって批判できるはず。指導者、政府、政党、傑出した芸術家。全ての人間」と切り出し、「全くもってナンセンスね」と切り捨てた。
「一流の専門家やフィギュアスケーター自身が採点に疑問を抱いているのに、なんで話し合えないというの? 議論を禁止する措置が私たちの仕事とどう関係があるというの? そもそも審判は人間じゃないの? 審判は職業じゃないのか? もし彼らが不当なことをしたら、それを指摘してはいけなくなるわけね」
いわば「ジャッジは絶対」というISUの強気な姿勢の表れでもある。しかし、「世界中で議論ができるというのに、なぜ選手や関係者たちが議論できないというの」と投げかけるタラソワ氏は、不満をぶつけている。
「私は70年間もフィギュアスケートに携わり、数多くのチャンピオンを育ててきた。そんな私ですら意見する権利がなくなる。じゃあ私たちのような指導者が、彼らよりもフィギュアスケートを理解していないとでもいうわけ? 彼らはとても賢く、教養があって、全く非難の余地がないとでも? 誰もが意見を表明する権利を持っているはずよ」
あくまで草案段階という規制だが、実行への動きが加速すれば、賛否両論を生むのは間違いなさそうだ。
