FIA世界耐久選手権の2026年カレンダーは全8戦。過去2シーズンと同じサーキットで開催されるが、開幕は2025年より1カ月遅い。3月22〜23日にルサイル・インターナショナル・サーキットで合同プロローグテスト、3月28日に開幕戦カタール1812kmが行われる。その後、イモラ(4月19日)、スパ・フランコルシャン(5月9日)、ル・マン(6月13〜14日)、サンパウロ(7月12日)、COTA(9月6日)、富士(9月27日)、サヒール(11月7日)と続く。

チーム首脳陣は、連覇への道のりが容易ではないことを強調する。耐久レースおよびコルセ・クリエンティ・グローバル責任者アントネッロ・コレッタは、2025年に築いたリードを守ることが2026年の使命だと語る。ライバルの戦力向上を認めつつも、499Pそのものの競争力を信頼し、1戦ごとに最大限の結果を積み重ねていく姿勢を崩さないという。過去の栄光に安住することなく、常に前を向く。それがフェラーリの哲学である。

技術面を統括するフェルディナンド・カンニッツォは、再ホモロゲーションと新タイヤ導入という環境変化への対応を課題に挙げる。FIAによる新風洞での再計測により、499Pのパフォーマンス・ウインドウ内での位置付けは変化した。これを受け、空力パッケージを見直し、アンダーボディを中心に開発を実施。ドラッグとダウンフォースの目標値に合わせた再調整と空力マッピングの再キャリブレーションを進めている。さらに新しいミシュランタイヤとの相関性確立も重要テーマであり、主にミディアム・コンパウンドを軸に検証を続けている段階だという。開幕までにマシン本来のバランスを取り戻す考えだ。

ドライバー陣もまた現実を直視する。50号車のアントニオ・フォコは、全8戦を通じてミスを最小限に抑え、着実にポイントを積み重ねることが鍵だと語る。ミゲル・モリーナは、開幕戦カタールがシーズンの勢力図を占う重要な一戦になると見ている。加えて、ダブルポイントが与えられるル・マンの重みを強調し、サンパウロと富士を難所に挙げる。

ニクラス・ニールセンは、世界タイトル奪還を明確な目標に掲げつつ、2023年の復帰以降に築いてきた進歩をさらに深化させる必要性を指摘する。とりわけ過去に苦戦した富士やサンパウロでの向上が課題だという。

51号車のアレッサンドロ・ピエール・グイディは、防衛の難しさを率直に認める。全員がゼロポイントからの再出発である以上、昨年の実績は保証にならない。ル・マンでのさらなる上位進出を目標に、シーズン全体の完成度向上を目指す構えだ。

ジェームズ・カラードは、一貫性こそが選手権を左右すると語る。ル・マンの結果が最終順位に与える影響は大きく、2025年に犯したミスやペナルティを教訓に、より精度の高い戦いを目指す。

そしてアントニオ・ジョヴィナッツィ。世界チャンピオンとして迎える新シーズンの重圧を自覚しつつ、開幕戦カタールでの勢力確認を重要視する。ル・マンが年間最大の山場であることは変わらないが、2025年にティフォシの前で勝利を収めたイモラへの特別な思いも語っている。

世界タイトルを取り戻したフェラーリ。マシンが纏うロッソス・クーデリアは、過去の栄光の色であると同時に、未来への挑戦の色でもある。499Pの2026年リバリーは、勝者として迎える新章の始まりを告げている。