本マグロの中トロのような脂の口溶け!愛知・三河一色産のめすうなぎ「艶鰻(えんまん)」のおいしさに松井珠理奈も驚愕
うなぎの数ある産地のひとつ、愛知県西尾市一色町。うなぎ屋さんで「三河一色産」と書かれているのを見かけた方が多いのではないでしょうか。その三河一色産のうなぎに新展開。メスのブランドうなぎ「艶鰻(えんまん)」が誕生しました。愛知在住のライター永谷が、松井珠理奈さん参加の「お披露目会」へ。そこから、取り扱いのあるうなぎ店へ実食しました。
新仔ながら大きくて太い「一色産うなぎ」
愛知県西尾市一色町といえば、一色産うなぎ。年明けから約180日間育てた「新仔」でありながら、大きくて太いのが特徴で、名古屋市内の有名うなぎ店はもちろんのこと、東京の老舗うなぎ店が好んで使うほど品質が高い。
一色産に限らず、どの養鰻場でも夏場の繁忙期に照準を合わせて多くのうなぎを出荷できるようにしているため、秋以降はどうしても出荷量が減ってしまう。
また、国産であっても生育期間が長ければ、うなぎ本来の旨みが味わえるものの新仔のような柔らかさがなくなるため、店から客足も遠のいていく。
身も皮も柔らかい秋冬限定の「めすうなぎ」
やはり、うなぎは暑い夏に食べるものなのである。と、結論づけるのはまだ早い。実は10年ほど前から愛知県水産試験場と一色のうなぎ事業者が共同で冬に食べてもおいしいうなぎを研究していたのだ。
それが「めすうなぎ」である。うなぎは成長に伴って性別が決まる性質があり、養殖するとほとんどが「おす」になるという。ごく稀に出回るメスは、オスとは味わいが異なり、その味は絶品といわれていた。

「めすうなぎ」。体表が青っぽいのが特徴
2018年に愛知県水産試験場が中心となって熊本大学や北海道大学、共立製薬などと研究グループを創設。シラスウナギに大豆イソフラボンを添加した飼料を与えることでメスを作ることに成功し、2021年には特許を取得。
一色うなぎ漁業協同組合をはじめ、一色のうなぎ事業者で「めすうなぎ」の普及活動を支援する「一色めすうなぎ研究会」も設立した。

「一色めすうなぎ研究会」理事(企画担当)の大石一史さん
「当初は資源保護の観点から大きく育てようと研究が始まりました。めすうなぎは成長しても身も皮も柔らかいのが特徴で、冬場でもおいしく食べられることから、秋以降に客足が伸びないうなぎ店にとっても大きなメリットになります」と話すのは、一色めすうなぎ研究会の理事(企画担当)、大石一史さんだ。
「艶鰻」2025年初出荷お披露目会へ
一色町内にあるうなぎ店では、2024年の冬から「めすうなぎ」の提供がはじまったが、去る2025年11月18日(火)、名古屋市内のホテルで「艶鰻(えんまん)2025年初出荷お披露目会」が開催された。

一色めすうなぎ研究会のメンバーや一色産うなぎの関係者が一同に会した「艶鰻2025年初出荷お披露目会」の1コマ
「艶鰻」とは、一色町で特許技術によって生産されためすうなぎのブランド名で、11月22日の「いい夫婦の日」を「三河一色うなぎの日」として日本記念日協会に申請し、登録されたという。「艶鰻を食べて夫婦円満!」を合言葉に一色産うなぎの普及を目指すとか。

艶鰻を試食する松井珠理奈さん
お披露目会には西尾市の鰻♡抹茶大好きPRアンバサダーの松井珠理奈さんが駆けつけて、艶鰻を実食、そのおいしさに驚いていた。
試食コーナーには、艶鰻の白焼きと蒲焼きが用意されていて、筆者もご相伴にあずからせてもらった。まずは白焼きから。つい先ほど松井珠理奈さんが話していた通り、身がしっとりとして柔らかい。皮も新仔のような食感。明らかにオスとは異なる。

試食コーナーの蒲焼き。これで食欲に火がついた
で、次に蒲焼きを。おーっ! こちらの方がよりオスとの違いがはっきりわかる。オスは皮と身の間にある脂のジューシーさが特徴だが、艶鰻は身にも脂がのっている。肉で例えるならば、オスは赤身で、艶鰻は霜降りといったところか。
試食したら、猛烈にうなぎ、それも艶鰻が食べたくなった。艶鰻を提供しているのは、一色うなぎ漁業協同組合の直営店『うなぎ処いっしき』と西尾市一色町にあるうなぎ問屋直営の『鰻義』と『うなぎの兼光』、うなぎ店では岐阜県各務原市にある『うなぎ屋たむろ グリュー各務原店』。
今から一色町や各務原市へ向かうには時間がかかりすぎる。今すぐにでも食べたいのだ。あっ、そういえば、名古屋・栄の中日ビルに『うなぎの兼光』が出店していたことを思い出した。それこそ、お披露目会会場のホテルから歩いていくことができる。
味のポイントは繊細で上品な脂
ということで、中日ビル3階の『うなぎの兼光 中日ビル店』へ。おっ、店の入口には「本日はメスうなぎ」と書かれたプレートが掲げられている。店員さんに尋ねてみると、
「今日はうなぎ丼やひつまぶし、うざくなどの一品料理などすべてのメニューに艶鰻を使っています」とのこと。

『うなぎの兼光 中日ビル店』外観。入口近くに「本日はメスうなぎ」と書かれたプレートを掲げている
店が混雑するピークは過ぎていたため、すぐにテーブル席へ案内された。席からは炭火でうなぎを焼いている職人さんの姿が見える、まさにベストポジション。
まずは「うざく」(1050円)と、「八幡巻き」と「うまき」、「肝焼き」が盛られた「おつまみ三種盛り」(1700円)をいただくことに。

炭焼きの香ばしさがアクセントの「うざく」
「うざく」はきゅうりの酢の物の酸味にうなぎが負けてしまうことが多々ある。しかし、ここのは、というか艶鰻を使った「うざく」は、とろけるようなうなぎの身の食感ときゅうりの酸味が絶妙にマッチしていて、互いの味を引き立て合っている。炭焼きならではの香ばしさも鼻腔をくすぐる。いやー、旨い!

八幡巻きとうまき、肝焼きが盛られた「おつまみ三種盛り」
「おつまみ三種盛り」もこれまで食べたものとは完全に一線を画していた。「八幡巻き」も「うまき」も味のポイントとなるのは脂だ。脂が繊細で上品な味わいだからこそ、先ほどの「うざく」と同様に他の食材を合わせてもそれぞれのおいしさを引き立て合うのだ。
圧巻だったのは「肝焼き」。もちろん、これも艶鰻からとったものだ。まず、大ぶりなことに驚いた。そして、味。臭みはまったくなく、ほんのりとした苦みが心地よい。ひと口味わうごとに滋味が広がり、全身に浸透していく。たまらんっ!
艶鰻のポテンシャルの高さに絶句!
もう、これでメインである「うな丼」を受け入れる態勢は整った。
「うな丼」は、うなぎの量に応じて「並」(2400円)と「上」(3150円)、「特上」(3900円)、「極上」(4650円)を用意しているほか、肝焼きをのせた数量限定の「うな肝」(3800円)や玉子でとじたお値打ちな「うな玉丼」(2200円)もある。せっかくなのでガッツリと食べたいと思い、「うな丼 特上」を注文した。

艶鰻を丸ごと一尾使用した「うな丼 特上」
目の前に運ばれた「うな丼 特上」を見て驚愕。大きなうなぎがご飯を覆い隠しているのだ。焦げる寸前まで火を入れた絶妙な焼き加減も最高としか言いようがない。では、いただきます!
うぉーっ! うっ、旨いっ! 焼きたての、それも炭火で焼いた艶鰻のポテンシャルの高さに思わず絶句してしまった。噛むごとに脂が溢れ出して、口の中でスッと消える。先ほど艶鰻を霜降り肉に例えたが、脂の口溶けは本マグロの中トロと言ってもよいだろう。
うなぎそのものの味と、辛さと甘さのバランスが調和したタレが相まって、もう、無限に食べられるのではないかと思うくらいご飯が進む。あっという間に完食してしまった。
夏の暑い日に食べるうなぎのおいしさは言うまでもないが、冬場の艶鰻もまた格別。1年を通じておいしいうなぎが食べられるようになったのはうれしい限りである。
取材・撮影/永谷正樹
1969年愛知県生まれ。株式会社つむぐ代表。カメラマン兼ライターとして東海地方の食の情報を雑誌やwebメディアなどで発信。「チャーラー祭り」など食による地域活性化プロジェクトも手掛けている。
