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買い物や通勤・通学に欠かせない人も多い「排気量50ccの原付バイク」の生産が今月末で終了します。

【写真を見る】「翼を授かった」感動を忘れない 消える50cc原付バイク 通学20km近い高校生やライダーは

熊本県山都町にある矢部高校では、在校生約120人のうち半数が原付バイクで通っています。

2年生「自宅から高校まで18kmくらい」
3年生「距離的に言ったら13kmくらい。行きは下り坂だけど、帰りは上り坂なので、自転車だときつい」

熊本県内で3番目に広い山都町。そのほとんどが山間部で、アップダウンも多いことから自転車通学はごくわずかです。公共交通機関も少ないため、原付バイクは大切な移動手段の一つです。

なぜ、原付バイクの生産が終了するのでしょうか。

熊本県オートバイ事業協同組合 中川満徳 理事長「50ccでは排ガス規制に対応できない」

背景にあるのは、11月に始まる排気ガス規制の強化です。世界的な脱炭素の流れの中、原付バイクのエンジンは新たな規制への対応が技術的に難しく、対策にも多額の費用がかかるため、メーカー各社は生産終了を決めました。

こういった中で、今、起きているのが…

熊本県オートバイ事業協同組合 中川満徳 理事長「原付をオーダーはしているが、入荷するのはすごい少ない、限られた数になっている」

生産終了で駆け込み需要が起き、県内でも在庫が少なくなっています。

今後は125cc以下で最高出力を抑えた「新原付バイク」が登場します。

今の免許でも運転はできますが、これまでと違う点もあるようです。

熊本県オートバイ事業協同組合 中川満徳 理事長「50㏄は小さいのが魅力。取り回しもしやすい。女性や小柄な方は現在の50㏄の方が扱いやすいと思う」

新しい原付バイクは110ccの車体がベースになるため、今と比べるとサイズが大きくなります。

さらには…

熊本県オートバイ事業協同組合 中川満徳 理事長「現状の125㏄と同じくらいの値段になるので、新原付は25万円以上になるのでは。今の原付バイクを入手したい人は早めにお求めになった方が良い」

高校生からも心配する声が聞かれます。

2年生「来年から新車が無くなるので、大変そうだなって」
2年生「生産が減ってきてるから、もう高くなっている。在庫はあまりないと言われた」

学校側も今後の影響を危惧しています。

矢部高校 森田淳教諭「今後は、50㏄の原付に希少価値が出てくるのかなと。中古で出回っても価格が高くなって。これから通学を考える生徒が原付を買うことができないよとならないかすごく心配」

原付バイクの恩恵を受けているのは高校生だけではありません。

通勤で利用 60代「バスも今月から運賃が上がったでしょ?往復するなら、月に換算すると原付の方がものすごく安い」
買い物で利用 50代「私たちはこれくらいの大きさの方が小回りも利くし、運転もしやすい。一回り大きくなると、ちょっとどうかな」

新たな選択肢として注目を浴びる乗り物があります。それが…

記者「こちらが電動バイクです。試乗させてもらいます」

電動バイクは排ガス規制の対象外で、見た目や大きさも原付バイクと変わらないため関心が高まっているといいます。

ウイングナカヤマ 中山秀之社長「50㏄の免許をお持ちの方が乗れるバイクで、エンジンではなく、モーターで動く電気バイクになる。一番のメリットは音が静かで、ガソリンを使わないので、ガソリンスタンドに行く必要がない」

ただ、販売価格は約30万円と原付バイクと比べると高め。さらにフル充電での航続距離は約40㎞ですが、坂道を走れば、さらに短くなると言います。

ウイングナカヤマ 中山秀之社長「原付生産終了で20万円以下のバイクはなくなる。今後の主流は新原付になるか、電気バイクを選ぶか。まだ読めないところ・・・」

原付バイクの生産終了にライダーたちは…

ひばり工房 池田智巳社長「一番最初に社会に出る前に『翼を授かった』のが50㏄。人力ではなく動力で遠くに行けるのが50㏄なので。自分たちの原点である50㏄がなくなるというのは本当にさみしい限り」

経営する工房はバイクファンの憩いの場になっています。

ひばり工房 池田智巳社長「匂いだったり、振動だったり、形であったり、熱であったり。色んなものを50㏄のエンジンから学んできたので」

長年、人々の暮らしを支えてきた原付バイク。私たちの移動手段は大きな転換点を迎えているようです。