トップ昇格が決まっている磐田U-18の石塚。スケールの大きいプレーが魅力のアタッカーだ。写真:森田将義

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 180センチのスラリとした身長を感じさせないほど動きは滑らかで、ボールを持ったらそう簡単には止められない。ゴール前まで持ち込めば振りが速く、パンチのある左足シュートでゴールを奪うこともできる。スケールの大きいプレーを披露するのは、ジュビロ磐田U-18のエースと主将を担うMF石塚蓮歩(3年)だ。

 チームの期待は大きく、今年に入りトップチームに2種登録されると、6月11日に行なわれた天皇杯2回戦のSC相模原戦では、スタメンとしてプロデビュー。27分に強烈な左足シュートでゴールを脅かすなど、60分にピッチを退くまで随所で持ち味を発揮した。

 そして25日には、中学時代からのチームメイトであるDF甲斐佑蒼(3年)とともに来季からのトップチーム昇格も発表された。

 28日に開催されたプリンスリーグ東海、第9節の清水エスパルスユース戦は、昇格が発表された直後の一戦だった。昇格が言い渡された際、チームスタッフから「思っている以上に周りの目が変わる。試合を見に来てくれる人が増えるようになって『あれが昇格する石塚蓮歩だ』とみられるようになる」と言われていたというが、流されることなく自らのプレーに集中できていた。
 
 この日は中学時代からしのぎを削ってきたライバルチームが相手とあり、「ジュビロでプレーしているからは絶対に負けてはいけない」と気合十分。「正直、高校レベルだったら自分でやりきって、ひとりで(ゴールまで)完結できるぐらいの能力があると思っている」と豪語する通り、前線から少し引いた位置やサイドから積極的に仕掛けて、ゴール前まで持っていく場面が目を惹いた。

 ドリブル一辺倒ではないのも彼の魅力で、清水の警戒が強まった後半は、相手を引き付けてからシンプルにボールを叩き、ゴール前でもらい直そうとした。狙い通りに行く場面も多く、前後半を通して惜しい場面は何本かあったが、最後までゴールは奪えず、チームは0−3で敗れた。

 この日は得点を奪えなかったが、プリンスリーグの前期に奪った9得点はリーグ2位。昨年までプレーしていたサイドではなく、今年になってよりゴールに近いトップ下で起用されているのは、得点感覚を期待されているからだろう。

 そうしたプレー面以上に、「点を取るために何回外しても下を向かずに打ち続ける。自分が決めるんだ、という気持ちを持ち続けることがゴールに繋がるのかなと思う」と口にするメンタル面も、ストライカー気質だ。
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 サックスブルーの近未来のエースとして期待される石塚が、理想の選手として挙げるのはアカデミーの先輩であるFW後藤啓介(アンデルレヒト/ベルギー)だ。

 純粋なセンタフォーワードタイプだった後藤とは違い、石塚はトップ下やウイングが主戦場。「タイプは違うのですが、身近にいたチームを勝たせられる選手だった。僕も目に見える結果を残せる選手になりたい」。

 年齢は2つ上だが、後藤が高3でプロ契約を結び、主戦場をトップチームに移したため、一緒にはプレーしていない。ただ、ピッチ内外で話す機会はあり、サッカーに対するマインド面で影響を受けたという。

「啓介の性格は少し日本人離れしている。日本人なら周りの目を気にした発言になってしまうことが多いと思うのですが、啓介はそういうのを気にせず『自分は上手い』、『点を取るんだ』とちゃんと言える。言うけど自分にも厳しいし、結果で黙らせることができる。自分で自分を追い込むために厳しい目標を言っているのかなという気がしました」
 
 石塚自身、プレー中は周りの目が気にならないものの、トップチームに行くと遠慮もあり、まだまだ自分を出し切れないという。コンスタントに自分を出し切れるようになれば、トップチームでの活躍も見えてくるはずだ。

 将来は後藤と同じように、海外で活躍する選手になりたいと考えているが、ジュビロへの愛着は強い。

「中学校からジュビロでやっていくうちに愛着が湧いてきた。トップチームの選手やスタッフにも優しくしてもらっているので、そうした人たちに恩返ししていきたい。ジュビロで日本一になりたい」

「ジュビロの10番といえば石塚蓮歩と言ってもらえる選手になりたい。ジュビロといったら石塚蓮歩だとファンの人が思ってくれるような選手になりたい」

 そう意気込む石塚の活躍をサポーターたちは心待ちにしている。

取材・文●森田将義