大福の井島、団子の松岡、桜餅の輔老、たい焼きの菜々山、各ライターが担当した甘味の「いいね!」を語り合います。

調査・取材でわかった甘味の大事なこととは

松岡(以下・松)「江戸時代の街道の茶屋=団子とお茶を出すというイメージ通り、団子の販売が店の始まりって店が多かった。やっぱ団子は和菓子の原点なんだね」

『Dango Chaya So−so』こしあんDANGO260円、くるみ味噌DANGO260円、みたらしDANGO250円

『Dango Chaya So−so』(手前から)こしあんDANGO 260円、くるみ味噌DANGO 260円、みたらしDANGO 250円

輔老(以下・輔)「そうそう。参道とか観光地とか、いわゆるお屋敷町に付き物だね」

松「『桃六』はどら焼きが有名なんだけど、最初は団子、赤飯、大福などを売っていたらしいよ。一方、『羽二重団子』はそのまま団子ひと筋200年。生地も“よそが300回搗つくなら、うちは600回搗け”と言い伝えられているくらい、手間をかけて作っていた。お団子はシンプルだから、味の決め手は生地。米の品種だったり搗き方だったり各店でこだわりがあったなあ」

『桃六』桃太郎だんご(あんこ、しょうゆ)各150円

『桃六』桃太郎だんご(あんこ、しょうゆ) 各150円

柔い?硬い?餅の質感で好みを見つけて

井島(以下・井)「生地といえば、私が担当した大福もそれぞれ餅の質感の違いを楽しめたよ」

菜々山(以下・菜)「柔らかいとか硬めとか?」

井「ネオ的な店はとろけるようなふわふわ&やわやわな餅で個性を出していたり、老舗の『つる瀬』とかは王道のコシのある食感だったり二極化していると思う。とはいえ割と新しい『高松屋』は、今時に寄せてるかと思いきや、店主は豆大福で有名な『松島屋』で修業された方っていうのもあって、素朴で馴染み深い味が印象的。ちなみに今回は東京三大豆大福って言われる店は敢えて触れてないの。もう有名だしおいしいのはわかっているから」

『高松屋』豆大福1個230円

『高松屋』豆大福 1個230円 小豆は北海道十勝産。たっぷり練り込まれた赤えんどう豆は北海道富良野産など、素材選びにもこだわっている

輔「僕は桜餅担当。西の生まれだから道明寺が基本だったけど関東風もいい。葉・餡・皮の3パーツのみ。ソリッドな感じが粋だね」

桜の葉を食べるか、食べないか食べ方に意味あり

松「桜餅の葉っぱって食べるor食べない問題あるじゃない?」

輔「僕は食べる派。ただ元祖の『長命寺』や『三原堂』は、最初から外して食べる設計なんだって。『志むら』で聞いた葉っぱの出来不出来が年によって違うという話が面白かった。今年は特に良いらしいよ」

『栄泉堂岡埜』桜餅、道明寺ともに259円

『栄泉堂岡埜』(右)桜餅、(左)道明寺ともに259円 創業明治35年。関東風の皮は白玉粉と小麦粉を焼いたもの。関西風は乾燥餅米を粗く砕いた道明寺粉を炊いて餡を包む

井「それ聞いたら今すぐ買いに行きたくなった!」

輔「でしょう。食べると口の中から鼻腔をそそる“香り返し”がきてワインや葉巻のような楽しみ方ができるんだな、桜餅は」

菜「季節感と風情があるよねえ。一方こちらで担当した、たい焼きはいつも寄り添ってくれる、心強き庶民派おやつ」

井「たい焼きこそ新しい店ってなさそうな印象」

菜「あったのよ。『奥萬屋』は大阪から移転した店で、王道の小豆餡に加えてクリームチーズ入りなんかのアレンジ系も作りつつ、おかず系たい焼きとお酒でちょい飲みセットも出してたり」

松「たい焼き飲みか、斬新。でも試してみたい!」

菜「変わるものと変わらないもの、両方を守っていくのが大事だね」

輔「うんうん、和菓子は惜しまれつつ消えゆく店が多いジャンルだけど、日本人として守っていかなきゃいけないな、と改めて思った取材だったよ」

文/菜々山いく子、撮影/鵜澤昭彦

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